美味しい焼き鳥を食べて、キンキンに冷えたビールを飲み、仲間と語り合う。そんな串焼き屋のイメージを覆したお店が、JR新潟駅南にオープンしました。その名は「ゼッチョウ」。14年間修業してきた自慢の串焼きをメインに、北海道から届くポップなアイス、ストリートブランドとのアパレルコラボ展開など、今までにないスタイルを提供するお店です。今回はオーナーの木幡さんに、NEWスタイルの串焼き屋についてお話を聞いてきました。
ゼッチョウ
木幡 俊秀 Toshihide Kowata
1979年新潟市生まれ。ネイルの専門学校を卒業後、同校が運営するサロンに勤務。家業の鉄工業やアパレル業を経て、2007年に飲食業に足を踏み入れる。14年間の修行を実らせ、2021年に串焼き屋「ゼッチョウ」をオープン。レバーはタレ派。趣味はフットサルとバイク。
――木幡さんは、アパレルなどのお仕事をされていたそうですが、どんなキッカケで飲食の仕事に就いたんですか?
木幡さん:以前は違う仕事をしていたんですけどずっと飲食の仕事に興味があって、どこかでくすぶっていた部分があったんですよ。で、あるとき、仲良くさせてもらっていた居酒屋の店長さんに思いきって「飲食の仕事に興味がある」と、打ち明けてみたんです。そうしたら、「じゃー、やってみるか」って。そんな感じで飲食業に就きましたね(笑)
――めちゃくちゃサラッとした第一歩ですね(笑)。ちなみに、飲食業に興味があったというのは、働いてみたいという思いだったんですか? それとも、お店を自分でやってみたいという夢だったんですか?
木幡さん:自分のお店をやりたい、の方でしたね。
――ってことは、スタートから独立に向けて動き出したってことですね。
木幡さん:はい。どんなお店をやりたいかまではまだ描けていなかったんですけど、それまでアパレルショップなどで働いてきた経験から、どんな居場所を提供したらいいのか、どんな空間がいいのか、そういうのを第一優先に考えて、修行をスタートしました。
――そのなかで、「これが大切だ!」と思えたものってありましたか?
木幡さん:きちんと美味しい料理やお酒を提供していくことは大切だけど、やっぱりお店は「人」ありきだと思いましたね。お店というひとつの世界を作っていくのは人だから、仕事ができる人だけじゃなくて、楽しんでいる人も必要で。どれだけ有意義な時間を提供できて、居心地のいい居場所や空間を作れるかは、人が作りだすものなんですよね。
――それでは、晴れてオープンした「ゼッチョウ」について聞かせてください。どんなお店なんですか?
木幡さん:串焼き屋で14年間修行したこともあって、「ゼッチョウ」は串焼きがメインのお店です。あとは煮込みやポテトサラダとか、クラシックなメニューに加えて、季節に合わせた魚と野菜料理も日替わりで提供しています。ちなみに、料理に使っているタレや出汁は、どれも手作りにこだわっているんですよ。
――ふむふむ。メインの串焼きには、どんなこだわりがありますか?
木幡さん:串焼きに使用している鶏肉は、オリーブオイルと塩で仕込んで1日寝かしています。そうすることでうま味がギュッと凝縮されて、めちゃくちゃ美味しくなるんですよ。
――へ~、オリーブオイルと塩ですか。美味しそう。
木幡さん:あと、仕込みのやり方にもこだわっています。新鮮な鶏肉を仕入れたとしても、常温で仕込んでいる時間が長いと鮮度が落ちてしまうので、触れる、切る、刺すという基本的な作業をできるだけ短縮しています。新鮮な状態で焼いて、より美味しい串焼きを提供するのがポリシーなんです。
――1日寝かせる作業もそうだけど、仕込みで美味しさが決まるんですね。
木幡さん:ですね。仕込みで串焼きの美味しさの8割は決まっちゃいます。
――北海道のアイスが食べられたり、ストリートブランドとのコラボTシャツがあったり、いろんな展開をしていると聞きました。
木幡さん:「多様性」というコンセプトを掲げています。それで、ポップでインパクトのある北海道のアイス「ICETACHE(アイスタッシュ)」を取り扱ったり、「HELLBENDERS&CO(ヘルベンダーズアンドコー」というストリートブランドとコラボしてスタッフTシャツを作ったり、いろんな展開をしているんです。料理は僕たちが考えたメニューがベースなんですけど、お客さんからの「こんなの食べたい」「こういうお酒が飲みたい」にも全力で対応して、新しい要素も取り入れながらNEWスタイルの串焼き屋を目指しています。
――だからか! ティファニーブルーの壁紙やグラフィックのポスターとか、なんだか串焼き屋さんっぽくないと思っていたんですよね(笑)
木幡さん:そうそう。いろんな展開をしていくから、あえてTHE 串焼き屋みたいなお店作りにしなかったんですよ(笑)
――逆に、他業種とのイベントやコラボを行っていくと、ときには「ゼッチョウ」らしさが薄れてしまう場合もあるんじゃ……。
木幡さん:それはそれでOKなんです。むしろ「ゼッチョウ」を無視した多様性があってもいいと思っています。お酒が飲めて、コラボTシャツを作って、県外の面白いコンテンツがあって、アーティストのポップアップを開催して、エステとかまったく違う要素が違うイベントがあって……。いろんなものが集まるなかで、そのベースに僕たちの作っていく「ゼッチョウ」があれば、きっと楽しい場所になれると思っています。
――いや~、これからが楽しみですね。ここまで聞いて質問するのもおかしいですけど、最終的な「ゼッチョウ」のゴールとは?
木幡さん:結婚して、子どもが生まれて、家族を持つようになると、どうしても夜しかやっていない居酒屋に遊びに行く機会って減るじゃないですか。それが個人には嫌でね。だから、昼間に家族で遊べる空間を作って、家族でも気兼ねなく来られる場所にもすることで、いつまでも「ゼッチョウ」が居場所になれると思っています。次の世代にもつないでいけるように、「来られなくなる理由を作らない」ことがゴールですかね。
ゼッチョウ
新潟市中央区米山1-8-23
090-1545-9494