デザイン事務所がはじめたカフェ。新津美術館2階の「cafe 2F」。
カフェ
2023.03.20
新津美術館の2階にカフェがあることをご存知でしょうか。その名も「cafe 2F」。美術館の落ち着いた雰囲気の中で、コーヒーやスイーツを楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごすことができます。実はこのカフェ、新潟のデザイン事務所「株式会社フレーム」が運営しているんだとか。「株式会社フレーム」代表の石川竜太さんにカフェをはじめた経緯について、カフェを担当している奥さまの千佳さんにメニューのことについてお話を聞いてきました。


株式会社フレーム
石川 竜太 Ryuta Ishikawa
1976年三条市生まれ。デザイン事務所「株式会社フレーム」代表。麒麟山酒造コーポレートデザイン及びパッケージデザイン、キリンビバレッジ「生茶」「yosa soda」、ダイニチ工業のロゴデザインなど、県内外企業ブランドのデザインを多数手がける。2021年に新津美術館内で「cafe 2F」をオープン。ときどき店頭に立って接客することもある。
はじまりは「デザインを身近に感じて欲しい」という思い。
——まず、デザイン事務所であるフレームさんがカフェをはじめられた経緯を教えてください。
竜太さん:そもそもうちのデザイン事務所としての考え方のなかで、「デザインを身近に」ということを掲げていまして。私たちは企業様から依頼を受けたものを何かしらのかたちにして、それがどこかに並んだり掲出されたりすると思うんですけど、関係ない人には関係ないじゃないですか。商品として手に取る機会はあっても、一般の方がデザインを依頼することはないわけですよね。
——確かに。何気なく目にすることはあっても、一般の方がデザインについて深く考えることってないですよね。
竜太さん:そうなると「デザイン」っていうものは、特別な才能を持った人がアート的な感覚でかたちにしているものなんだって思われがちだなって。そうではなくて、「企業の運営で役立てるものにしたい」とか「デザインがあることで誰かと誰かのコミュニケーションが活発になればいい」とか、そういった部分の一助になるようなことをできたらいいなと思って我々はやっているんです。

——ひとつのデザインをとっても、そこにいろんな人の思いや工夫が込められているわけですよね。
竜太さん:ただかわいいもの、ただ美しいものとして見て欲しくないんです。それにフレームという会社を知らない方や、「デザイン事務所って何?」って思っている方もたくさんいると思うので、そういう方に「デザインのお仕事」っていうレベルで何か認知してもらえる場所を作れたらいいなと思いました。
——そう感じたきっかけが何かあったんでしょうか。
竜太さん:2年前に燕の産業資料館で「フレームのデザイン展」という展示会をやらせていただいたんです。僕も何日かその場に立って、一般の方たちとお話しさせていただく機会をいただいたんですけど、やっぱり僕たちがやっていることって一般の方たちが見ても「面白い」と思って興味を持ってもらえる対象なんだと確信しました。

——デザインを依頼された企業さんとお話しすることはあっても、その先の一般の方たちちとお話しする機会ってきっと少ないですもんね。
竜太さん:じゃあそういう面白さをどういうふうに伝えていく、広げていくことができるんだろうって考えていたときに、たまたまこの場所の募集があって、カフェをはじめることになりました。
——デザイン事務所がやっているカフェだからこそ取り入れた要素ってありますか?
竜太さん:我々が実際にデザインした商品を食べていただけることぐらいですね。空間作りとして今までデザインした商品を展示していますけど、展覧会目的に来られた方がここでしたいことはデザインを見ることではなくて、美味しいコーヒーでも飲みながらゆっくりとした時間を過ごすことですから。
——あくまでカフェとしての役割を大切にされているんですね。展示されている商品をきっかけに、お客さんとコミュニケーションが生まれることもありますか?
竜太さん:「越後薬草」さんのクラフトジンを展示しているんですけど、結構よく「これって、ここで買えるんですか?」って聞かれるんです。免許がないのでお酒は売れないんですけどね。別に私たちに興味を持っていただかなくても、そういうふうにコミュニケーションができればいいんじゃないかなって。「新潟にこんなものがあるんですね」って知っていただける場づくりができていくといいなと思います。

——誰かひとりでも引っかかってくれる人がいたら、という思いで展示されているんですね。
竜太さん:あと、この場を活用して、デザイン事務所ができる取り組みがやれたらいいなと思っていて。忙しくてなかなかできていないんですけど、1度だけワークショップを開きました。
——それはどんな内容の?
竜太さん:うちの会社のスタッフで、お子さん相手のイラストレーション講座をやらせてもらいました。それも「講座を通じてデザイン事務所フレームを知ってほしい」というよりは、デザインそのものに興味を持つ子どもたちが増えれば、私たちがやっているデザインという業務が一般の方たちに親しんでもらえるようになるんじゃないかと思ってやっているんです。

——「cafe 2F」という店名、シンプルで分かりやすいですよね。分かりやすさ以外にも何か理由が?
竜太さん:なんて呼ばれるんだろうなって最初に想像したときに、例えばここが「フレームカフェ」って名前だったとしても、近隣の方とか美術館目的の方からは「美術館のカフェ」とか「美術館の二階のカフェ」って呼ばれるだろうなと。だったら最初からそういう名前にしておこうかなって思ったんです(笑)
——なるほど(笑)
竜太さん:それにこの建物、階段が特徴的なんですよね。それが分かっていたので、そこも絵として入れられたらいいなって。ちなみに新津美術館のロゴマークを逆さまにしたものが、「cafe 2F」のマークになっているんですよ。

このカフェが、訪れた人の「きっかけ」になってくれたら嬉しい。
——メニューのことは、カフェを担当されている奥さまの千佳さんにお聞きしたいと思います。カフェを任されることが決まってからは、どうやってメニューを決めていったんですか?
千佳さん:ここで40年ほどやっていた前の方がホットサンドを出していたらしくて、「パンみたいな軽食があるといいね」と周りから言われていたので、トーストをメニューに入れることにしました。あとは、コーヒーとスイーツはないといけないなと思って、試行錯誤しながら考えましたね。
——フレームさんがデザインされた商品も、メニューとして出しているんですよね。
千佳さん:「越後薬草」さんのクラフトコーラと「ほのかなのか」さんのビスコッティを提供させていただいています。あと、ガトーショコラを提供する器には「新潟漆器」さんの漆塗りの器を使っていますね。
——他にも人気のメニューはありますか?
千佳さん:自家製のプリンですね。いろんなレシピを組み合わせて、何回も練習しました(笑)。最近は年配の方も「ここ、プリンが美味しいんでしょ」って言って来てくれるので、ちょっと浸透してきたのかなって感じられて嬉しいですね。4月には新しいスイーツを出す予定ですよ。

——最後に、この場所がどういう場所になっていってほしいですか?
竜太さん:美術館にお越しになった方って、少なくともアートに興味があると思うんですよ。くつろぎの時間を過ごしてもらうことがいちばん大切な部分ではあるんですけど、ここに展示されているものを見て「こんな仕事をしている人たちがいるんだ」って興味をもってくれる人がひとりでも増えたらいいなと思います。
千佳さん:美術館の受付に「カフェ利用です」って言ってもらえれば、チケットがなくても入れるので、カフェだけ利用される方も徐々に増えてきているんですよ。カフェを目的に来た方が、美術館の展示に興味を持つきっかけにもなればいいですよね。

cafe 2F ※現・cafe38
新潟県新潟市中央区西船見町5932-499 ※移転しました
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