板金屋さんがはじめた「マタゼンカフェ」が生む、地域のつながり。
カフェ
2022.04.27
昨年12月16日、三条市下田にある板金工務店が「マタゼンカフェ」という新しいお店をオープンしました。どうして板金屋さんがカフェを開くことにしたのでしょうか。オープンまでの経緯や店作りのこだわりについて、神田さんご夫婦にいろいろとお話を聞いてきました。


マタゼンカフェ
神田 晃 Akira Kanda
1979年生まれ。高校卒業後に父の経営する「有限会社神田板金」に就職し、現在社長に就任。2021年12月に「マタゼンカフェ」をオープン。

マタゼンカフェ
神田 亜由美 Ayumi Kanda
1978年生まれ。これから挑戦してみたいことは体を動かすこと。
振り子時計が「つながり」のシンボル。
――晃さんは「有限会社神田板金」の社長さんなんですよね。普段はどんなお仕事をされているんですか?
晃さん:メインは屋根の張替えや外壁工事をやっています。例えば災害が起きたときの雨漏りとか、雪の影響で傷んでしまった外壁の修繕をしています。お客さんの要望によっては、外壁だけじゃなく内装の仕事に関わることもありますよ。
――屋根の張替えや外壁工事って、カフェと全然違う種類のお仕事ですよね? お店を開こうと思ったキッカケはなんだったんですか?
晃さん:私は高校を卒業してからずっと建設業をやってきたんですけど、他の仕事にも興味があったんですよね。それであるとき知り合いの自動車屋さんから「ロビーでカフェを開こうと思っているんだけど、どう思う?」という相談をされたことがあって、話を聞いてみたら、カフェをやるのに調理師免許は必要ないことが分かったんです。それなら自分もやってみようと思って、去年の9月から店作りをはじめました。
――それまでとまったく違うことをはじめる不安はなかったんですか?
晃さん:前例があることは知っていましたし、下田には人が集まれる場所があまりないので、ちょうどいいと思ったんですよね。それにこのカフェはあくまで人とのつながりを生むために作ったので、ここで利益を出そうとは思っていません。「お客さんが困ったときにうちを思い出してくれればいいな」くらいの気持ちでやっています。
――このお店はもともと事務所として使われていた場所をリノベーションしたと聞きました。
晃さん:そうです。でもそれは、従業員が増えて事務所を移動させようと思っていた時期と、カフェを作るタイミングがたまたま重なっただけなんです(笑)

――内装のデザインはすべて晃さんがされたんですか?
晃さん:私がやったのは間取りとキッチンの一部を建てることで、壁や床のデザインは「PARTITA」というアトリエをやっている友人にお願いしました。店内に置いてある花は、妻の弟が趣味で作っているドライフラワーと、あとお客さんからいただいたものです。
――こちらにある振り子時計はかなり古いものですね。
晃さん:この振り子時計はうちの実家に100年以上前からあるもので、「つながり」を表すシンボルとしてどうしても店に置きたかったものです。店の名前である「マタゼン」は先祖の屋号から取ったものなんですが、そういった古くからのつながりの大切さも空間として表現したかったんですよね。

――晃さんは「つながり」という言葉を大切にされていますね。
晃さん: そうですね。コロナ禍に入ってから下田では集会場や人の家に集まる習慣がなくなって、近況が分からなくなる人が増えてしまいました。なかにはオンラインで連絡が取れないお年寄りもたくさんいましたし、それに「会って話さないと楽しくないな」とも感じたんですよね。この状況をどうにか改善したくて、もう一度みんなの集まれる場所が必要だと思ったんです。そういう想いもあって「人が集まりつながれるカフェ」というコンセプトにしました。
ここでしか味わえない、特別感。
――それではお店のメニューについても教えてください。まずはコーヒーから。
亜由美さん:知り合いの方に紹介していただいた「珈琲味覚研究所」という焙煎所から豆を仕入れています。UCCに長年勤めていた方が一粒一粒、丁寧に仕分けをして、豆によって焙煎方法を変えているそうなんです。うちでは焙煎したてを飲むことができます。
――自家製のジンジャーエールもあるんですね。
亜由美さん:うちのジンジャーエールは市販で売っている甘いものとは違って、辛口に作ってあります。お客さんにはぜひ長居をしてもらいたいので、量を多めに入れています。

――お菓子はどんなラインアップですか?
亜由美さん:キャラメルナッツやスノーボール、カップケーキ、他にも和洋菓子合わせて全部で10種のお菓子を仕入れています。同級生が作って県外から送ってくれるキャラメルナッツはキャラメル独特のネバネバした食感がなくて、サックサクで少し苦みのあるところがコーヒーとよく合うんです。スノーボールは、下田で採れたクルミを使っているんですよ。友人が作っている「The Ugly duckling」のカップケーキはビルボードプレイスでも販売されている人気のスイーツなんです。「下田の小さなお店でも食べられる」という特別感をここで味わってみてほしいです。

カフェを開いてから変わったこと。
――オープンしてからおよそ4ヶ月経ちましたが、地元の方の反響はいかがですか?
亜由美さん:「散歩がてらに寄りました」と言って来てくれる近所のおばあちゃんがいたり、この前は中学生の子がひとりで来てくれたりしたこともありました。あと、中学を卒業して以来会っていなかった同級生が一族みんなを連れて来てくれたこともあって。それにはビックリしましたね(笑)
晃さん:最近はいろんなメディアにも取り上げてもらえることが多くて、それを見た友人が連絡をくれたりするのはやっぱり嬉しいですね。
――今後やってみたいことなどありますか?
晃さん:ゆくゆくは高校生がアルバイトできるような店を目指したいです。下田は年々お店の数が減ってきていて、バイト先を見つけても親御さんの送迎がないと続けられない子が多いんですよ。ちょっとでもそういう子が働ける場所にしたい、というのが今の目標ですかね。
亜由美さん:時期によってお菓子の内容を少し変えてみたいですね。もし「うちのお菓子を置いて欲しい」という人がいたら、ぜひ連絡してほしいです。

マタゼンカフェ
三条市荻堀1088-8
営業時間 10:00-16:00
火曜、水曜、土曜休
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