笹川流れの絶景を眺められる!塩工房に隣接する「Solt&Cafe」。
ものづくり・カフェ
2019.08.19
名勝・笹川流れの海水を使った塩づくりの方法とは。
村上市から山形県に向かう長さ11kmに及ぶ日本海の海岸線は「笹川流れ」と呼ばれています。透明度の高い海水と、岩礁や洞窟、奇岩が見られる変化に富んだ景観で、国指定の名勝や天然記念物になっている景勝地です。この「笹川流れ」の澄んだ海水を使って、薪を炊いた釜で塩づくりをしているのが、今回ご紹介する「笹川流れ塩工房」。隣接する「Solt&Cafe」では、塩工房で作った塩と地元食材を使った料理を味わえます。塩職人の小林さんに、塩づくりに関するお話を聞いてきました。

笹川流れ塩工房
小林 久 Hisashi Kobayashi
1939年村上市(旧山北町)生まれ。実家は船大工を家業としていた。建設会社で港湾関係の仕事をきて、定年前に笹川流れの海水を使った塩づくりを始め「笹川流れ塩工房」を立ち上げる。20年以上塩職人として塩づくりをしてきた。
天然素材だけでつくる昔ながらの塩づくり。
——今日はよろしくお願いします。大きな釜が横に5つ並んでますね。あれで塩を作るんですか?
小林さん:そう。裏の浜から笹川流れの海水を汲み出し、一度濾過してからこの塩釜に流し込んで、じっくり15時間くらいかけて煮詰めるの。5つある釜のうち真ん中に海水を入れて、アクや石灰を取り除きながら煮詰め、煮詰まってきたら左右の釜に移してまた煮詰める、一番外側の釜で純度の高い塩の結晶ができあがるんだね。そのあと、藁でできたツトを使って濾過して、海水塩ができ上がるってわけ。

——すごく手間がかかるんですね。手作りだからでしょうか?
小林さん:天然の材料だけを使った昔ながらのやり方で、じっくりていねいに塩を作ってるからね。海水だけを使って、薪の火で釜を炊いて作ってるんだから。時間もかかるし値段も少し高めになるんだけど、その分、まちがいなくおいしいと思うよ。

——海水から手作りした塩はどんな特徴があるんですか?
小林さん:塩化ナトリウムを使って作る塩に比べると、えぐみや角がなくてまろやかな塩気になるね。「やわらかなしょっぱさ」っていうかね。天然のものだけ使っているから、体にやさしいんだと思うよ。
——そのように作られた塩にはどんな種類がありますか?
小林さん:代表的なものは3種類。まずは「笹川流れの塩」。これが定番の商品だね。おにぎり、浅漬け、焼き魚におすすめ。

つぎに「塩の花」。海水を15時間炊き続けると、塩の結晶が浮き上がって来るんだね。その一番塩だけ集めたのがこの商品。甘みがあって、カリッとした大粒の食感が楽しめるから、ローストビーフ、生野菜、お酒のお供に合うね。

最後は「玉藻塩(たまもしお)」。ホンダワラという海藻のエキスを海水と合わせて煮詰めて作った塩で、ホンダワラのうま味やヨード分が溶け込んでるんだよね。天ぷら、お寿司、魚の塩焼きなどに使うとおいしいね。

定年からの挑戦。試行錯誤の塩づくり。
——小林さんはどうして海水を使った塩作りを始めたんですか?
小林さん:ずっと建設会社に勤めて来たんだけど、定年目前のある日、見たテレビがきっかけだったね。沖縄の海水で塩作りしている様子が紹介されてたんだけど、それを見ていて「面白そうだなぁ。これだったら自分でもやれるんじゃないか?」って軽い気持ちで始めたんだよね。あと、それまで塩の販売は日本専売公社で行われてきたんだけど、平成14年から自由化されたのもきっかけになってるね。
——それにしても、いきなり塩づくりってできるものなんですか?
小林さん:もともと笹川流れ周辺の集落では、戦前まで海水で塩づくりをしていたんだよ。私のうちでも作ってたんだから。戦後に日本専売公社が塩の販売をするようになったんで、誰も作らなくなったんだけどね。だから、作り方のノウハウは地元に残っていたんだね。それでも最初はいろいろ試行錯誤したね。
——最初は何が大変だったんですか?
小林さん:まず釜づくりから始めたんだけど、煙がうまく煙突から吸い上げられなくて、煙だらけになったりさ。海水を煮ているとアクが出て来るんだけど、それを取り除くタイミングが難しかったりね。いろいろ手探りでやってきたところもあったよ。
——そんな苦労もあったんですね。今はどのような思いで塩を作っているんですか?
小林さん:最初は面白半分で始めたんだけど、始めてみるとそれだけでは続けられないよね。食べていかなきゃならないし。そのためには、お客さんによろこんでもらえるような塩を作らなきゃダメだし。あとは塩職人としての意地も出て来るからね。とにかくいい塩を作ってお客さんに提供したいという思いだね。

笹川流れの食材と塩を使った調理を、絶景のテラスで楽しめる。
——お隣にはカフェが併設されてるんですね。
小林さん:そうそう。食事やお茶を楽しんでもらえるようにね。食材はできるだけ地元山北産のものを使って、笹川流れ塩工房で作った塩で調理したメニューを提供してる。
——おすすめのメニューを教えてもらえますか?
小林さん:そうだねえ。「塩むすびセット」は人気があるかな。米はにがりを撒いて作っている、地元山北産の「笹川流れ米」を使ってるんだよ。セットについてくる漬物、焼き鮭もすべて山北、村上産の食材。塩むすびには、うちで作っている玉藻塩を使ってるよ。そのほかには「岩のりたらこスパゲッティ」もおすすめかな。食材の岩のり、たらこは地元のものを使っているし、ふたつの食材の相性もいいから人気があるメニューだね。

——塩工房の方でもカフェメニューを提供してるんですか?
小林さん:塩工房の方では「塩ソフトクリーム」を売ってるね。ソフトクリームに玉藻塩をかけてあるんだけど、塩がソフトクリームの甘さと冷たさを引き立てて、おいしく食べることができるんだよ。あとは「ゆでたまご」。テーブルにある玉藻塩をかけて食べてもらうと格別な味わいを楽しめるね。


——どれもおいしそうですね。笹川流れが見下ろせるテラス席で食べたいです。ここからの眺めは何時頃がおすすめですか?
小林さん:昼前くらいがおすすめなんじゃないかね。午後になると西陽が差し込んで来るからまぶしいし、暑くなってくるんだよね。午前中だと日陰になっているから、風も通って涼しいんだよ。

塩づくりはいつでも見学OK。
——「笹川流れ塩工房」は見学自由なんですよね?
小林さん:いつでも塩づくりをしているから、好きなときに来て見学してもらって大丈夫。ただ、10人以上で見学に来る場合は連絡してもらった方がいいかな。
——最後に笹川流れのおすすめポイントを教えてもらえますか?
小林さん:笹川流れの真ん中へんにある「眼鏡岩海水浴場」は駐車場も無料だし、トイレもあるし、一番のおすすめポイントだと思うよ。6月18日に起こった山形県沖地震の風評被害もあって、笹川流れに来るお客さんも減ったんだよね。笹川流れはいいとこだから、ぜひ遊びにきてほしいね。

笹川流れの清らかな海水を使って、天然の素材だけで塩づくりをしている「笹川流れ塩工房」。となりにある「Solt&Cafe」では、塩むすびセットや岩のりたらこスパゲッティなど、「塩工房」で作られた塩や地元山北の食材を使ったメニューを提供しています。笹川流れを見下ろせる絶景のテラス席で味わってみてはいかがでしょうか?
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