200種類のゲームがお出迎え
県央のボードゲームカフェ「ASOBO’s」
遊ぶ
2025.12.06
「ボードゲームをもっと身近なものにしていきたい」そう話すのは、三条市に新しくオープンしたボードゲームカフェ「ASOBO’s」の店長、清野さん。スマホが1台あれば、いつでもどこでもオンラインゲームを楽しめる時代、リアルなコミュニケーションが必須のボードゲームにハードルを感じる人も少なくないと言います。「ASOBO’s」では、初心者から上級者まで、誰でもボードゲームを楽しめます。初心者におすすめのゲームや楽しむコツ、魅力について、清野さんに詳しく教えていただきました。
清野 哲郎
Tetsuro Seino(ASOBO’s)
1990年三条市生まれ。大学時代、友人の勧めでボードゲームの魅力にハマる。卒業後、一般企業に就職。退職後はフリーランスとして独立したのち、2025年10月に「ASOBO’s」をオープン。趣味はひとり旅とサウナ巡り。
学生時代にハマったボードゲーム、
「自分のお店を持つ」夢を叶えた現在地。
――清野さんのボードゲームとの出会いについて教えてください。
清野さん:大学のときです。仲の良い友人から面白いゲームがあるよって教えてもらったドイツのボードゲームが「カタンの開拓者たち」というゲームでした。最初は慣れてなくて2時間くらいかけてゲームしたんですが、「こんなに面白いゲームがあるんだ!」って衝撃を受けて、何回も繰り返し遊びました。
――一気にハマったんですね。どういうゲームなのでしょうか?
清野さん:プレイヤーは入植者となって、カタンという無人島を開拓していき、誰がいちばん繁栄させることができるかを競うゲームです。戦略や交渉というボードゲームの醍醐味がたくさん詰まったゲームなんですが、運の要素も大きく関わってくるので、子供でも大人に勝てるゲームバランスなのが魅力です。
――お話を聞いているとやってみたくなりますね。清野さんがボードゲームでお店を出そう、と思うようになったのはいつ頃ですか?
清野さん:学生時代から「いつかお店をやれたらいいな」と周りには言っていました。僕が大学生の頃って、まだボードゲームカフェってほとんどなくて、都内でようやくでき始めたくらいのときだったと思います。卒業後すぐに開業する勇気もなかったので、普通に地元の会社に就職しました。
――そこから、いざお店を立ち上げるタイミングやきっかけはどこにあったのでしょうか?
清野さん:お店の立ち上げを手伝ってくれた後輩がいるんですが、彼が長野のボードゲームカフェに行ったときに、そのお店にめちゃくちゃ感銘受けたらしくて。ある日の朝、起きたら熱い長文メールが届いていたんです。
――どんな内容だったんですか?
清野さん:「三条でもボードゲームカフェやれるよ!やろうよ!」って、彼もずっとお店をやりたいって言っていたひとりだったんですよね。寝起きで長文メールを見たときは「怖!」って思ったんですけど(笑)。でも、すぐに「じゃあ、やろう」って返信したのを覚えています。

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約200種類のボードゲーム、
選ぶ基準はシンプルに「面白いかどうか」。
――「ASOBO’s」で遊べるボードゲームは何種類あるのでしょうか?
清野さん:この場で遊べるものは今、約200種類ですね。購入できるゲームは100種類以上あります。
――ボードゲームって人生ゲームとかドンジャラくらいしか経験がないのですが、どういうふうにこちらのお店を利用するのがいいですか?
清野さん:初心者の方であれば、来店された際にどんなゲームで遊んでみたいかを聞いて、その方やグループに合ったゲームをおすすめしています。なので、ボードゲームを知らない方も安心して遊びに来てください。2人から楽しめるゲームもあれば、多人数でできる手軽なパーティーゲームもあります。
――なるほど、それだと安心ですね。ここにあるゲームはどのような基準で選んでいるのでしょうか?
清野さん:基本的に自分が遊んでみて面白かったものを置いています。僕自身がそのゲームに魅力を感じていない場合「このゲーム面白いですよ」ってお客さんに説明できないんですよね。だから、自分がやって楽しかったもの、に限定しています。
――オープンして2か月ほどですが、お客さんはどんな方が多いですか?
清野さん:友人同士で来られたり、カップルの方も多いですね。小さなお子さんと一緒にご家族でいらっしゃる方もいます。来てくださる方はボードゲームがはじめての方も多い印象です。「新しいカフェができた」っていう面で知ってもらって、ボードゲームカフェが珍しいから、行ってみようかっていう感じで。
――これはどんなお店にも言えることですが、慣れていないとひとりではさすがに行きづらいですよね。
清野さん:ボードゲームに馴染みのある方はフラッとおひとりで来てくれますが、確かにハードルは高いですよね。なので、うちは毎週金曜日に相席デーを設けています。この日は、初対面の方同士で気軽に遊べる日になっているので、おひとりで来てもゲームを十分楽しんでいただけると思います。

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地域づくりと言ったら大袈裟だけど、
盛り上がるきっかけのひとつになれたら。
――近年、個人のひとり時間が増えて、家族や友人同士で集まって一定の時間を過ごすことが少なくなってきているように思います。
清野さん:そうですね、ボードゲームにはそこを解消する力があると僕は思っています。例えばドイツはボードゲームがとっても盛んな国なのですが、ドイツの人に「ボードゲームやってるの?」って聞くと「いや、俺なんか全然やらないよ」って言うんです。そういう人でも家に何十個もボードゲームがあるんですよね。子どもの頃から遊びの選択肢のなかにボードゲームがあって、文化として根付いているんです。
――それはすごいですね、子どもの学びにも良さそうです。
清野さん:日本って遊びながら学ぶことを良く捉えない風潮があると思っていて……。学ぶときは学ぶ、遊ぶときは遊ぶ、みたいな。そのメリハリはとってもいいと思うんですが、特に小さい子たちは自分の興味のあるところから様々なことを吸収して学んでいくので、押しつけることなく、遊びを通して楽しく学ぶことができるのはボードゲームの良さだと思っています。
――確かに「楽しく学ぶ」もっと浸透してほしいですね。
清野さん:学びという側面だけでなく、家族間のコミュニケーションツールとしてもボードゲームはおすすめですね。やったことのないゲームを急に買うのはハードルが高いと思うので、ぜひ試しに遊びにきてもらえたら嬉しいです。
――「ASOBO’s」は今後、どのようなお店にしていきたいですか?
清野さん:この広いスペースを使った「部活動コミュニティ」を展開していくことを考えています。人が集まるためには、ボードゲームだけがきっかけじゃなくていいと思っていて、様々なイベントや集まりの中でアイスブレイク的にボードゲームを使ってもらってもいいし、まったく使わなくてもいいし。何よりこの場所そのものが、まちが盛り上がるきっかけのひとつになれたらと思うんです。地域おこしみたいな大それたことを考えているわけではないですが、商店街に人が来るひとつのきっかけになりたいと思いますし、何か楽しいことをやりたいという方の後押しをしたいです。世代を超えたいろんな人が、気軽に来られるような場所にしたいですね。


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