今年5月、青山海岸からほど近い住宅街に、パッチワークとシフォンケーキのお店「BLUE HOUSE」がオープンしました。こちらをはじめたのが堀さんご夫婦。シフォンケーキがメインのカフェとして営業しつつ、お店が休みの日は奥さんがパッチワーク教室を開いています。香さんと一浩さんのおふたりに、オープンまでの経緯やシフォンケーキへのこだわりについて、いろいろ聞いてきました。
BLUE HOUSE
堀 香 Kaori Hori
上越市生まれ。20年以上前に「BLUE HOUSE」の名前でパッチワーク作品を製作、販売しはじめる。8年前に自宅でパッチワーク教室を開く。今年5月、新潟市西区にパッチワーク教室とカフェを兼ねた「BLUE HOUSE」をオープン。
――海の近くが似合う素敵な建物ですね~! こちらはご自宅ですか?
一浩さん:いえ、違うんです。もともと海の近くに家を建てようと思ってこの土地を買ったんですけど、それだったらここでパッチワークの教室とシフォンケーキの販売をやろうかなと考えて店にしました。
――最初はカフェにするつもりはなくて、販売だけするつもりだったんですね。
香さん:オープンの準備をしていくうちに、せっかくお店に来てもらうのにテイクアウトだけじゃ寂しいかなと思うようになって。場所もいいですし、イートインできたらいいよねってことでカフェにしました。そもそもは、「BLUE HOUSE」という名前でパッチワーク教室を開いたり、フリーマーケットに出店したりしていたのがはじまりなんです。
――パッチワークはどのくらい前から続けているんですか?
香さん:小さい頃からものづくりは好きだったんですけど、本格的にパッチワークを習いはじめたのは25年くらい前です。フリーマーケットとかがすごく流行った時期で、手作り品を販売するにあたって屋号が必要になって。自宅の外壁が青いので「BLUE HOUSE」に決めました(笑)
――パッチワーク教室を開くようになったのはいつからなんでしょう?
香さん:8年前です。それまでは仕事をしながら休みの日に作ったものを販売して活動していたんですけど、退職して「教室をやりたいな」と思っていたときに、知り合いの方が「パッチワーク教室をやってみない?」と声をかけてくださって。それをきっかけに自宅で教室を開くようになりました。
――どんな教室にしようと思ってはじめたんですか?
香さん:私もいろいろな教室に通ったことありますけど、作る作品が決められていたり、提出期限があったりすると、教室に行くのがプレッシャーに感じてしまうこともあって。なので自分が教室をやるんだったら、楽しく縛りのない方がいいかなと思いました。作りたいものを自由に作ってもらえるようにして、月謝制じゃなくて来れるときに来てもらう。材料を準備できないっていう人がいれば私が準備する。材料を集めるのもけっこう大変なんですよ。
――パッチワークっていろんな布を使いますもんね。
香さん:あと、長時間チクチクしつづけるのってけっこうきついじゃないですか(笑)。それならティータイムがあった方がいいなと思ったんです。コーヒーとかドリンクは簡単に出せますけど、何か甘いものが欲しいなって考えたときに、「シフォンケーキが焼ける!」と思って。パッチワーク教室に来た生徒さんへ、手作りのシフォンケーキを出すようになりました。
――そこでシフォンケーキにつながるんですね! シフォンケーキには何か思い入れが?
香さん:子どもが生まれてから、雑誌を見ていたらシフォンケーキのレシピが載っていたんですよ。私、そのときはシフォンケーキを知らなかったんですけど、思いのほかうまく焼けて。すごく口当たりが軽いし、添加物もないから、子どものおやつに焼くようになりました。それから教室だけじゃなくてハンドメイドのイベントで出店したときにも、シフォンケーキを販売するようになったんです。
――SNSで「新潟美肌シフォン」と紹介していましたけど、「美肌」っていうのは……?
香さん:シフォンケーキって焼いた後、型から取り出した状態が完成形なので、綺麗に焼けても型外しがうまくいかないと表面がボロボロになって、残念な見た目になってしまうんですよ。でもあるときInstagramを見ていたら、福井のカフェのオーナーが独自開発した、シフォン専用のナイフを見つけて。それを使うとすごく綺麗に型から外せるんですよ。
――へ~、シフォンケーキの型外しに特化したナイフがあるんですね。
香さん:最初はなかなか上手くいかなかったんですけど、最近は綺麗に外せるようになりましたね。Instagramで知り合った方が「美肌シフォン」と呼んでいて、その方からもいろいろレクチャーを受けて許可をもらったので「新潟美肌シフォン」と言っています。食感は「ふわしゅわ」で美味しいですよ。
――メニューにある「トーストシフォン」ってどういうものなんですか?
香さん:カットシフォンをバターで焼いたものが「トーストシフォン」です。バターの塩味とシフォンの甘さが組み合わさって、これがまた美味しいんですよ。
一浩さん:ノーマルのシフォンとトーストしたシフォンを食べ比べできる「ハーフ&ハーフ」も用意しています。イチ押しですよ。
――テイクアウト用に、カップに入ったシフォンケーキも置いているようですね。手土産にも良さそう。
香さん:インスタグラムを見ていたときに「こんな背の高いカップがあるんだ」って知って、カップに入れて焼いてみたんです。それでハンドメイドのイベントのときに出してみたら好評で。お土産にできるし、子どもも紙を破きながら食べられるからいいかなと思います。
――ドリンクにもこだわりはありますか?
一浩さん:コーヒーは、東京の「BUCKLE COFFEE」さんというお店のコーヒー豆を使っています。今月は東ティモールのコーヒー豆を使っていて、3ヶ月ごとに変えていくつもりです。あと紅茶は「LUPICIA」という紅茶専門店の、自由が丘でしか売っていない「自由が丘ブレンド」を仕入れてきて、それを提供しています。
――自由が丘の味をここで楽しめるわけですね(笑)
一浩さん:そうそう(笑)。緑茶とアッサムティーのブレンドで、ちょっと変わっている味わいで評判なんです。
――パッチワーク教室はどのくらいのペースで開いているんですか?
香さん:基本的に毎週土曜の午前中にやっています。あとは月曜と水曜に月2回くらいずつ。カフェがお休みのときに教室をやっています。
――パッチワークの面白さってどういうところなんでしょう。
香さん:作品が完成したときの達成感がいちばんの魅力かな。布1枚から自分の手で作品を作り上げていくわけですよね。「こんなふうにしたらどうかな」とかいろいろ考えて、チクチクするときは無心になれて。それがやっぱり楽しいですね。
――黙々と作業するのが好きな人は向いていそうですね。
香さん:それにパッチワークってミシンと違って手縫いなので、どこでもできるんですよ。本当にちょっとした空き時間に、リビングでも、寝室でもできる。私は勤めていたとき、お昼休みにやっていました(笑)
――これから「BLUE HOUSE」をどんな場所にしていきたいですか?
一浩さん:ご近所の方がすごく来てくださっていて、年齢層も幅広いんです。カジュアルカフェなので、そういうふうに気軽に来てほっと落ち着ける店にしたいですね。「ランチはやらないのか」「夜はやらないのか」って声もいただくようになって(笑)。私も賑やかなのが好きなので、夜もできたらいいなとは思うんですけどね。
香さん:ランチの要望に応えて、今後はお食事系の甘くないシフォンも提供する予定です。シフォンですから口当たりは軽いんですけど、お砂糖が入っていないのでお食事代わりになるんじゃないかな。
BLUE HOUSE
新潟市西区松海が丘4-3-4