SNSの影響もあってか、最近は再び喫茶店がブームになっているそうです。クラシカルなお店の内観や、懐かしめのメニューが若い世代の目には新鮮に映るのでしょうか。今回ご紹介するのは、自家焙煎コーヒーが売りの喫茶店でありながら、メニューの数が豊富なレストランでもあるという「珈琲屋」。マスターの青野さんに、コーヒーや料理のこだわりを聞いてきました。
珈琲屋
青野 教示 Kyoji Aono
1954年新潟市生まれ。農業高校卒業。仕出し屋や洋食店で経験を重ね、いとこがはじめた三条の喫茶店に雇われるかたちでマスターデビュー。1995年に加茂で「珈琲屋」をオープンする。以前はバンドやソロで音楽を楽しんでいたことも。
——「珈琲屋」さんは、いつから続いているお店なんですか?
青野さん:ちょうど30年を迎えたばかり。
——そうなんですね! おめでとうございます。料理には昔から興味があったんですか?
青野さん:料理に興味があったというよりは、物を作ることが好きだったんだよね。うちが農家だったから、継ぐつもりで農業学校へ行ったんさ。でも、時代が変わってきて、農業で食べて行くのは大変だと思ったから、三条にある仕出し屋で働きはじめたんさね。
——最初は板前さんだったんですか。修業は厳しかったんじゃ……?
青野さん:親方と自分だけだったから、そんなことはなかったかな。でも注文が空いているときは、お得意様のところを回って魚を売って歩かなければならなかったっけ、それは嫌だったなぁ……。自分には営業が向いてなかったんだろうね(笑)
——料理の仕事だけじゃなかったんですね。でも、和食から洋食の道に変わったのはどうしてなんですか?
青野さん:知り合いが洋食屋をオープンすることになったので、料理人として誘われたんさ。今までと違った料理や環境に興味津々で、自分と似たような年代の若いスタッフばかりだったので、とても和気あいあいと楽しく過ごせたね。仕事が終わったら飲みに行ったり、遊びに行ったりしてさ。
——まさに青春時代ですね。「珈琲屋」さんで提供している料理の基礎は、そこで覚えたものなんですね。
青野さん:そうだね。その後、いとこが三条で喫茶店を経営したいということだったので、マスターとして店を任されることになったんだよね。当時は喫茶店ブームの真っ只中だったから、半径50m以内に5軒も6軒も喫茶店があったりしたんだよ(笑)
——その頃から喫茶店のマスターをやってきたんですね。
青野さん:雇われマスターとして3年間働いた後、その店を買い取って自分で経営するようになったんさ。それから12〜3年くらい続けたのかな。高校生のお客様の多い店で、ときには高校生だらけになるくらいだったね。でも、僕もだんだん年をとるし、高校生とのジェネレーションギャップを感じるようになっていったんだよね。
——なるほど。
青野さん:その頃は子どもが生まれたばかりだったんだけど、両親に預けて僕と奥さんは加茂から三条の店に通い続けていたんさ。そんなこともあって、自宅でお店ができないかと思いはじめて、1992年に「珈琲屋」をオープンしたんだよね。農機具を収納する小屋があった場所に店と駐車場を作ったの。
——自分の店をオープンするにあたって、不安はありました?
青野さん:それよりも、準備期間中は何もしてない状態で1ヶ月半過ごしていたので、やっと仕事ができるっていう気持ちが大きかったね。
——「珈琲屋」さんは、どんなお店なんですか?
青野さん:自家焙煎のコーヒーと、自分の料理経験を生かしたメニューが特徴かな。特にパスタメニューのレパートリーは多い(笑)
——本当だ(笑)。もう、パスタ専門店じゃないですか。
青野さん:減らそうと思っているのに、どんどん増えていっちゃう(笑)。うちのパスタはオーダーが入ってから茹でているから、茹でたてのパスタを食べてもらえるんだよね。
——他におすすめの料理ってありますか?
青野さん:料理はすべて自家製にこだわっているんだけど、カレーもスパイスを配合して作った自家製インドカレーなんだよね。パスタと一緒で、いろいろなアレンジやトッピングに合わせながら、どんどんメニューが増えていったんさ。今一番おすすめしたいのは「いかすみカレー」だね。
——「いかすみパスタ」じゃなくて「いかすみカレー」?
青野さん:そう。うちのカレーはどっちかっていうと辛めなんだけど、いかすみの甘みとよく合うんだよね。いかすみって見た目は真っ黒でよくないんだけど、抗菌、整腸、血行促進作用があって、コレステロール低下、動脈硬化やがん予防に効果があるらしいんさ。
——美味しいだけじゃなくて、身体にも優しいメニューなんですね。肝心のコーヒーについてもこだわりを教えてもらえますか。
青野さん:うちは産地じゃなくて農園まで指定して豆を仕入れているんさ。自家焙煎しているのも、安心できる豆を使ってお客様にコーヒーを提供したいから。直火型焙煎機を使って、香りがつくように焙煎しているんだけど、やり過ぎると豆に火がついて燃えちゃうから、ギリギリのところを見極めるのが難しいんだよね(笑)。小さい焙煎機でちょこちょこと細かく焙煎しているっけ、いつでも新鮮なコーヒーが飲めるんだよ。
——そこまで気を遣ってくれていると、お客様も安心して味わうことができますね。
青野さん:じつは観葉も兼ねて、テラスでコーヒーの樹を栽培しているんさ。いつか自家栽培した豆でコーヒーを淹れてみたいんだよね。最初はビニールハウスで栽培しようと思ったんだけど、さすがにそれはあきらめたんさ(笑)
——コーヒー豆の自家栽培って、すごいですね(笑)。ところで、30年もやっていると常連のお客さんも多いんじゃないですか?
青野さん:そうだね。三条の店からの常連さんも来てくれるね。なかには「珈琲屋の信者」なんて言ってくれるお客様もいるから嬉しいよね。僕は料理をやっていて、美味しいものができると嬉しくて、それをお客様にもぜひ食べてもらいたくなる。その繰り返しで今まで続けてこれたんさ。
——それが、あのメニューの多さに繋がっているんですね(笑)。今日はありがとうございました。
珈琲屋
加茂市加茂新田8400
0256-53-3800
10:30-19:30
日曜休