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材料にこだわった上質な味。マドレーヌ専門店「マギーア マドレーヌ」。

三条市上保内にあるマドレーヌの専門店「マギーア マドレーヌ」。保存料、着色料、合成香料、人口甘味料などを使用せず、こだわりの小麦粉やバター、新潟県産卵といった上質な素材で作られた種類豊富なマドレーヌを楽しめます。全国でも珍しいマドレーヌの専門店をオープンしたオーナーの稲村さんにお話を聞いてきました。

 

マギーア マドレーヌ

稲村 隆行 Takayuki Inamura

1986年新潟市生まれ。新潟大学卒業後、県内製造メーカーで機械設計などエンジニアとして8年間勤務。退職後県内のケーキ屋さんで修行し、2018年12月にマドレーヌ専門店「マギーア マドレーヌ」をオープン。

 

エンジニアを辞めて、マドレーヌの専門店をオープン。

――マドレーヌ専門店というのはとても珍しいと思うんですけど、どういった経緯でオープンに至ったんですか?

稲村さん:自分はもともとパティシエでもなんでもなかったんです。大学が新潟大学工学部で、そこを卒業して県内製造メーカーに入社しました。その後しばらくは機械設計とか図面を書いていましたので、仕事のキャリアのほとんどはエンジニアなんです。

 

――そこからマドレーヌというのは、かなりの方向転換ですね。

稲村さん:もともと大学生のときから「自分で起業したい」という願望はあったんですけど、やりたいことがなかったんです。工学部を選んだ理由も、数学が得意だったからで、その流れで県内の製造メーカーに入社しました。

 

――エンジニアの仕事をずっと続けようとは思わなかったんですか。

稲村さん:入社当初は、入ったからには一生懸命頑張ろうって思ってやってました。設計の仕事も面白かったです。でも「やっぱり自分で商売してみたいな」っていう気持ちもずっと心にありました。そうやって考えながらエンジニアを続けていたんですけど、あるとき、「ずっとこの会社で最後まで働くのか……」と真剣に考えたんです。そしたら、やっぱり一回辞めて自分でゼロから新しいことをやってみたいなと思いました。それで思い切って辞めたんです。

 

――辞めた時点では次に何をするか決めてたんですか?

稲村さん:辞めたときは決まってなかったですね。

 

お菓子どころか、料理すらまともに作ったことがなかった。

――そこからどうやってマドレーヌ専門店になるんですか?

稲村さん:ネットショップがいいなっていうのは最初から考えていました。実店舗を作るとなったら初期費用がたくさんかかるじゃないですか。だからネットショップは決まりとして、じゃあ何を売ろうかって考えていたら、「グルメのカテゴリだったら、面白い商品が提供できれば新規でも参入しやすい」っていう情報を見つけたんです。それで、お菓子が昔から好きだったんで、インターネットでスイーツを販売しようと考えました。でも生菓子だと日持ちしないので、配送するとなると問題がある。そこで日持ちのする焼き菓子のネットショップを始めようと決めたんです。

 

――肝心の焼き菓子は……?

稲村さん:実はお菓子どころか料理すらまともに作ったことがなかったんです。これは勉強しなきゃいけないなって思いました。でも今から専門学校に行くのは時間がかかりすぎる。そこで県内の焼き菓子が美味しいお店を探して、そこの社長に「インターネットでお菓子を販売したいと考えているので、焼き菓子の技術を教えてくれないでしょうか」と、いきなり電話をかけました。そしたらその社長が本当にいい人で「いいよいいよ」って(笑)。次の日から修行させてもらえることになりました。

 

――太っ腹な社長さんですね。そして稲村さんもすごい行動力。

稲村さん:思いついたことはすぐやっちゃうんです。なので今の状況も結構なりゆきです。

 

 

――そのお店での修行時代はどうでした?

稲村さん:シュークリームとかエクレアとか、ひたすら作ってました。それをやりながら空いた時間に、先輩から他のお菓子の作り方やコツを教えてもらってたんです。先輩っていっても周囲は20代前半の女の子ばっかりなんですけどね(笑)。そこに30歳のおっさんがいきなり入っていって、毎日「へたくそだなぁ」とか怒られながら必死でやってました (笑)

 

――その場面を想像すると面白いですね(笑)。そのお店にはどのくらいいたんですか?

稲村さん:1年間ですね。2017年の12月から2018年の12月まで。

 

――ん? マギーアマドレーヌのオープンが2018年ですよね?

稲村さん:はい。2018年12月です。オープンする直前まで修行していました。オープンの半年前から修行と同時並行で、インターネットで焼き菓子の販売をはじめたんですよ。そのときは自分で販売するお菓子の製造場所を持ってなかったので、修行先の社長に「僕がこういう商品作ってほしいってお願いするんで、それを僕が買い取って、それを僕のネットショップで販売していいですか?」ってお願いしたんです。そしたらまた、「いいよいいよ」って(笑)

 

――社長、すごくいい人! (笑)

 

インターネット販売で、断トツに売れたマドレーヌ。

――最初からマドレーヌのネットショップをはじめたわけじゃなかったんですね。

稲村さん:ネットショップをはじめた当初は、マドレーヌとか焼きドーナツとかパウンドケーキとか厚焼きクッキーとか、色々な焼き菓子を販売していました。その中でマドレーヌの売上が断トツだったんですよ。最初は、「なんかマドレーヌばっかり売れるよな……」って思っていただけだったんですけど、段々と「だったらマドレーヌ専門店にしたほうがいいんじゃないか」って考え始めるようになりました。マドレーヌ専門店って日本では東京に1店舗しかないんですよ。尖った面白い店になりそうだなと思いました。

 

――ネットショップがいいテストになったんですね。

稲村さん:そうですね。当初はインターネット販売だけでずっとやっていこうと考えていたんですけど、結果的には、それがテストマーケティングの形になりました。マドレーヌって人気があるけど専門店ってないんだなって。

 

実店舗を立ち上げるために考えたこと。

――でもそこから店舗を作ろうって思ったのはなぜですか?

稲村さん:マドレーヌ専門店で経営が成り立つかを考えはじめたら、すごくいいことがいっぱいあるなって思ったんです。洋菓子業界の課題のひとつに、労働時間が長いということがあります。そしてその労働時間が長くなる理由のひとつは、ケーキの種類をたくさん作りすぎていることが原因だと思うんです。いっぱいお菓子があった方がお客さんも選ぶ楽しみがあって喜ぶから、洋菓子店はたくさんの種類のお菓子を作るんですよ。でも、そうするとお菓子一個一個それぞれレシピが違うし、使う材料も違うし、オーブンで焼く温度とか時間も違うわけですよ。だからたくさんの種類を作れば作るほど作業効率が悪くなると思っています。

 

――確かにそうですね。

稲村さん:うちのマドレーヌはいろんな種類の味がありますけど、作る流れはほとんど一緒なんです。材料がちょっと変わるだけで、オーブンで焼く温度も一緒。そう考えたときに、かなり製造時間が短縮できるなと思いました。ストックする場所もコンパクトでいいし、冷蔵庫も少なくて済むから電気代も安くなる。マドレーヌしか販売しないので接客のオペレーションもシンプルになるから、新しいスタッフさんでもすぐ覚えて対応できる。製造コストや光熱費が下がった分、高級な材料を使える。考え始めたら「いいことがいっぱいある」って思いました。

 

――完璧な発想と計画ですね。

稲村さん:そう、自分では「めちゃくちゃいいこと思いついた」って思ってました。でもこのアイディアをまわりに話すと、ほとんどの人から「失敗するからやめておけ」と止められました(笑)。「マドレーヌ専門店なんて誰が行くの? 需要ある?」「いっぱい借金作って後悔するよ」とか。家族や仲の良い友だちからもだいたいそんなふうに言われていたので、ちょっと葛藤はありました。

 

――そこをどうやって乗り越えたんですか?

稲村さん:もともと根拠のない自信みたいなものが常にあるタイプなんです(笑)。何事もやってみないと分からないっていうことを根本的な考えとして持っています。どれだけ時間をかけて事業計画を立てたって、突っ込みどころなんていくらでも出てくるし、100%成功する事業なんてないと思っています。だから、自分が心から「うまくいく」「楽しそう」と思えることは、とりあえずやってみようと思いました。結果的には、県内唯一のマドレーヌ専門店ということで今回のように取材していただくこともたくさんあるし、思い切ってやってよかったです。

 

新しいことを考えるのが好き。毎日わくわくして生きていたい。

――やっぱり起業願望がすごく強かったんですね。

稲村さん:新しいことを考えるのがすごく好きなんです。サラリーマン辞めてからさらに加速しました。新しいことを考えていかないと死ぬって状況に身をおいたのが大きいです。

 

――じゃあ、他にもまだ考えていることがあったり?

稲村さん:実は最近、燕市にサブスク型のインターネットカフェをオープンしました。自分で調べた限りでは、これも県内唯一なんじゃないかと思っています。はじめた目的は、そういう個性的なお店を作ったら、個性的な人が集まって、その人たちと一緒に新しい面白い事業ができるんじゃないかと。で、案の定、いい意味で変な人たちが集まって、新しい事業が動き始めてます。

 

――すごいですね(笑)。今後もいろいろと事業が立ち上がりそうですね。

稲村さん:私は毎日わくわく楽しく生きていたいです。ありがたいことに自分がずっと目指していたその状態になりつつあります。心からそう思って、それを目指して前向きに行動する人が増えれば世界はもっとハッピーになるんじゃないかと考えていますし、実際そうなるように自分自身、行動し続けようと思ってます。

 

――マギーアマドレーヌとしての今後の目標はありますか?

稲村さん:「手土産といえばマギーアマドレーヌ」と言われるように、仲間と一緒にこれからも頑張っていきたいです。

 

 

マギーア マドレーヌ

〒955-0022 新潟県三条市上保内乙313-3

TEL 0256-47-1837

10:00~18:00

定休日 火曜日、金曜日

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