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[REPORT]息の長い継続的な支援を。豪雨被害の村上市・関川村の状況。

8月3日から4日にかけ、新潟県北を豪雨が襲いました。村上市の荒川地区や神林地区、また関川村では、中小河川の氾濫や山間部の崩落などにより、多くの家やお店が床上・床下浸水したほか、建物が流出してしまうほどの土石流に襲われた地域もあります。発災から1ヶ月以上が経過し、水道や道路など生活インフラの応急復旧、各家やお店での泥出し作業などは進んでいる一方で、土砂災害再発の危険から避難指示が継続している地域もあり、いまだに避難所や親類・知人宅での生活を余儀なくされている人もいます。現地の今(9月上旬時点)をレポートします。

 

旧村上市街は普段通り。神林や荒川、関川で大きな被害が。

「被災地」とひと口に言っても、被害の規模や程度はもちろん様々です。同じ村上市でも、中心部の旧村上市街はほぼ無被害。普段通りの生活や商売が営まれ、「城下町むらかみ町屋の屏風まつり」(9/15~10/15)や「いいねっか村上2022」(9/24)、「宵の竹灯籠まつり」(10/8-9)、岩船大祭(10/19本祭)といった秋のイベントも元気に開催されるようです。瀬波温泉、笹川流れといった観光名所も、直後は豪雨で流れ着いた倒木の処理に追われたようですが、現在は至って平穏に来訪者を迎えています。

 

一方で荒川流域に位置する坂町駅周辺の商店街や温泉地・関川村の鷹の巣温泉や湯沢温泉は大きな被害を受けました。坂町駅前では多くの住家やお店が床上浸水。鷹の巣温泉では堤防が決壊し旅館「四季の郷 喜久屋」さんは客室の一部などが川に流出し、キャンプ場も休止中。湯沢温泉では多量の土砂が流入し一時、中央の通りを塞ぎました。

 

 

現在は各所で復旧作業が進められ、逞しく営業を再開したお店も一部にありますが、災害救助法に基づき被害の程度に応じて罹災証明書が交付され公的支援が受けられる住家に比べ、事業所はいくら被災しても実質的に自力での再建を余儀なくされているのが現状です。そのため、一部ではクラウドファンディングで再建への資金を募る動きも出てきています。前出の喜久屋さんも、営業再開に向けクラウドファンディングに乗り出しました。

 

神林・小岩内は仮設住宅で長期避難へ。

今回の豪雨で最も大きな被害を受けた地域のひとつが、神林地区の荒川沿い、小岩内(こうわうち)という集落です。荒川からの越水はありませんでしたが、背後の山からの土石流が集落を襲い、6軒が全壊、6軒が半壊以上という被害をもたらしました。発生は深夜でしたが、現場を歩くと、人的被害がケガ人1名のみだったのが信じられないくらいの被害規模です。一時はおびただしい量の土砂や流木が集落を覆いましたが、24時間体制で復旧作業が進められ、まだまだ途上とはいえ当初に比べればだいぶ片付いてきたようです。ここには先日、岸田首相も視察に訪れました。

 

 

ただ、山の上流には大量の土砂倒木がまだ残っているようで、土石流再発の危険は解消されておらず、全戸に対する避難指示は継続中で、今後も長期化することが見込まれています。避難指示とは「そこにいると危険なので避難してくださいね」という意味で、つまり自分の家であってもそこで日常生活を送ることはできません。そのため、集落の住民には仮設住宅が用意され、そろそろ入居が始まるようです。入居期間は最長で2年(状況によっては延長の可能性もあり)。その間に住民たちは、家を建て直して再び小岩内に住み続けるのか、別の場所に転居するのかなど、じっくり考えることになります。

 

ボランティアへの感謝は各所共通。できる範囲の支援を継続的に。

この小岩内を含め被災地を歩いていると、住民の方々から異口同音に語られるのが「ボランティアへの感謝」です。村上市と関川村ではそれぞれの社会福祉協議会が災害ボランティアセンターをすぐに立ち上げ、ボランティアしたい人の受入・派遣と被災した人のボランティアニーズの受付・調査、そのマッチングなどに取り組んでいます。連日さまざまな技術や熱意を持ったボランティアの方々が現地に入り、復旧・復興の大きな力になっています。夏休み期間中だったこともあってか、中高生の部活単位や大学生グループの姿も多く見られました。

 

 

泥出しを済ませ乾燥に入っている家庭も増え、ボランティアのニーズは今後、次第に落ち着いてくるものと思われますが、現地ではまだまだ支援を必要としています。

そして今後の復興に向け、さらに必要になってくるのが「お金」です。両市村でも義援金・寄付金を受け付けています。ちなみに義援金は被災者に分配するもので、寄付は行政が復興の財源として活用するもの。また両市村は近年興隆を見せる「ふるさと納税」でも支援を受け付けています。助けになりたいけど現地にはなかなか行けない、という方は、ぜひ利用してみてはいかがでしょうか。

 

村上市の寄付・義援金受付

関川村の寄付・義援金受付

 

発災から1カ月以上が経過し、徐々にニュースの量も少なくなりつつあり早くも風化が懸念されていますが、現地では大変な人がまだまだ少なくありません。ひとりでも多くの方が村上・関川の被災地に引き続き関心を向け、無理のない範囲での支援を継続していくことが重要なのだな、と現地を回ってみて改めて感じました。

 

 

 

村上市災害ボランティアセンター

〒959-3423 村上市九日市501(パルパーク神林/神林総合体育館)

TEL(参加問合せ専用)0254-66-5834

 

関川村災害ボランティアセンター

〒959-3264岩船郡関川村上関1239(せきかわふれあいど~む)

TEL(参加問合せ専用)080-6879-9500

 

取材協力・写真提供:週刊地域新聞『サンデーいわふね』(いわふね新聞社)

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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