JR関屋駅から10秒くらいの場所にある、ちいさな食堂「nabaita(ナバイタ)」。食べることが大好きな夫婦が作るイタリアンが楽しめるお店です。今回はオーナーの中山さんに、お店ができるまでのコトやこだわりなどを聞いてきました。
nabaita
中山 友寿 Tomokazu Nakayama
1984年東京都生まれ。2歳から高校卒業までを新潟市西区で過ごす。神奈川大学卒業。営業マンとして5年勤め、東京、神奈川のレストランで10年修行。2019年「nabaita」をオープン。サウナと水風呂が大好き。
――今日はよろしくお願いします。昔から料理はお好きだったんですか?
中山さん:学生時代に台湾料理店や洋食店、居酒屋などでアルバイトをしていました。でも、料理が好きというよりは食べることが好きでしたね。休日になると頻繁に食べ歩きに繰り出していたほどです。
――食べる派だったんですね。それならどうして料理を作る仕事を?
中山さん:大学を卒業してからは、営業マンとして5年間働いていました。もちろん、学生時代と同様に食べ歩きは趣味として続けていて。雑誌やTV番組で紹介されていないお店をリサーチしてまわるのが私たち夫婦のいつものスタイルでした。それでいつも通りに食べ歩きをしているときに、ふと「料理を作るのも面白そう。ちょっとチャレンジしてみたいな」って思ったんです。この思い付きがキッカケとなって料理に対して興味が湧いてきました。
――なんか、その気持ちわかります。食べていると作ってみたくなりますよね。それで、その後はどうされたんですか?
中山さん:やってみたいという気持ちが2~3週間も続いたから「やってみないと料理ができるかなんてわからない」と思って、営業の仕事をスパッと辞めてレストランで働く決心をしました。
――かなり思い切りましたね(笑)。ちなみに奥さんの反応は? やっぱり反対されました?
中山さん:それが…「私も一緒にやるー!」って、ノリノリで賛同してくれました(笑)。それで東京や神奈川のレストランで各々の修行がスタートしたんです。
――今までの料理経験といったらアルバイトぐらいですよね? どんな料理ジャンルに挑戦しようかとか、どうやって考えたんですか?
中山さん:レストランで働く前提として「いずれはお店を持とう」という考えがあったんです。だから最も汎用性があると思っていたイタリアンを選びましたね。寿司屋はハードルが高そうだし(笑)。といっても、何がイタリアンで、何がフレンチなのかあやふやな知識しか持っていませんでしたけどね。
――それでイタリアンレストランで働きはじめたんですね。調理経験はないに等しかったわけですよね。大変じゃなかったですか?
中山さん:自分としては仕事だから、やるだけ、学ぶだけ。大変だと感じたことはありませんでしたね。でも、周りからは大変そうだなと思われていたと思います。だって包丁の使い方からはじまって、火の入れ方など、調理の初歩からのスタートでしたから。
――実際にゼロから料理をスタートしてみてどうでしたか?
中山さん:作った料理が美味しいか、不味いか、のジャッジは自分でするもんだと感じました。だって調理方法はひとそれぞれ違うし、自分で作った味に責任を持たないといけないから。
――なるほど。ちなみに、実際にお店を開くまでのいきさつは?
中山さん:レストランで働きはじめたときに「35歳までに自分の店を持つ」と決めていました。だから何かのキッカケがあったのではなくて、目標に向かって逆算していったイメージです。それでスケジュール通りに、35歳になった2019年に「nabaita」をオープンしたんですよ。
――しっかりと人生プランを立てられていたんですね。お店の場所で疑問があるのですが…どうして修行されていた東京や神奈川じゃなかったんですか?
中山さん:暮らす場所(お店の場所)は地方にしようと夫婦で話していたんです。都会の暮らしに疲れたわけじゃないけど、のびのびとした空間で自然豊かな環境に憧れていて。新潟は自分の実家があって頻繁に来ていたし、働いている人たちの雰囲気が気さくでとても気に入っていたんです。
――それではお店についても教えてください。どんなコンセプトやこだわりが詰まっているんですか?
中山さん:ご飯が食べられて、ちょっとお酒が飲めるような、近所にあったらいいなって思えるお店をコンセプトにしました。こだわりは…特にないですね(笑)。こだわりを詰め過ぎないのがこだわり? 美味しかったらそれでいいと思っているから、新潟県産にこだわることもしないし、自分たちが美味しいと感じた全世界の食材を使って料理を提供しています。
――そのこだわり、なんだか深いですね。
中山さん:そのせいもあるのか、「なんだかよくわからない店」になっています。入ってみないと何が食べられるのかよくわからないイメージになっているけど、それはそれで好奇心を持ってお客さんが来てくれるからありかなって。
――ちなみに料理はどんな内容なんですか?
中山さん:その質問も答えるのが難しいですね(笑)。仕入れに行って美味しそうな食材からイメージしてメニューを決めているから、どんな内容かと聞かれたら旬の食材としか言いようがないかな。でも、僕は南イタリア地域、妻はトスカーナなどの北イタリア地域の料理を学んできたから、イタリア全土のいろんな料理が食べられるのは確かです。
――わからないことがワクワクにつながって、食べに行くのが楽しく思えそうですね。それでは最後に、これから訪れる人たちにはどのようにお店を利用してもらいたいですか?
中山さん:「nabaita」は、友人の建築士と僕たち夫婦の3人が6ヶ月間かけて解体からすべてを手作りしたちいさな食堂です。切って、塗って、柱を入れ替えたり、コンクリートを塗ったり。だから高級なイタリアンレストランみたいに肩肘張らないでフランクに食事を楽しんでもらえる空間になっていると思います。もちろんイタリアンのメニューだからよくわからないメニュー名もあるけど、素直に何でも聞いてください。苦手な食材だって抜いて作りますから(笑)
(取材日:2020年4月15日)
nabaita
新潟県新潟市中央区関屋大川前2-3-12
025-378-5422