お金ではなく心で物と人をつなげる
子育ての味方「つなぐマーケット」
買う
2026.06.28
子どもが成長して着られなくなった衣類や、遊ばなくなったおもちゃってありますよね。中古品販売店やフリーマーケットで販売する人も多いと思いますが、今回紹介する「つなぐマーケット」では、お金を介さずに譲ったりもらったりできる、衣類やおもちゃの共有・循環の場を提供しています。多くの親子で賑わう会場におじゃまして、共同代表の大崎さんと大湊さんのおふたりにお話を聞いてきました。
大崎 佳子
Keiko Osaki(つなぐマーケット)
1986年長岡市生まれ。大学卒業後に一般企業へ就職。結婚後は夫の転勤で県内各地を転々とし、2020年に新潟へ戻る。2022年より大湊さんと一緒に「つなぐマーケット」の活動をはじめる。趣味は読書と美術館めぐり。
大湊 優貴
Yuki Ominato(つなぐマーケット)
1985年新潟市南区生まれ。専門学校卒業後に保育士として働き、子育て期間を経て、2022年より大崎さんと一緒に「つなぐマーケット」の活動をはじめる。菌カウンセラーとしても活動中。
同じ思いのふたりが運命的に出会い、
はじまった「つなぐマーケット」。
――「つなぐマーケット」をはじめたいきさつを教えてください。
大崎さん:結婚して子どもが生まれた頃はまだ、夫の転勤で新潟県内を転々としていたんです。ある山間部に住んだとき、近所の方からお下がりの子ども服を譲っていただいたり、お茶飲みにお家に誘っていただいたりして、人と人との距離感の近さをとても感じました。ところが新潟市へ戻ってきてからは、人とのつながりの薄さを感じるようになったんです。
――なるほど、そのときの気持ちから「新潟のモノ・ヒト・コトをつなぐ」というコンセプトが生まれたんですね。
大崎さん:ベビー服を買わずに済めば、ママも自分のことにお金を使えるし、美味しいもののひとつも食べることができるんじゃないかと思っていました。私にも経験があるんですけど、家の中で子どもとふたりきりの子育て期間って、話し相手もいなくて孤独を感じるんですよね。他のママにそんな思いをさせたくないという思いもあったんです。
――大湊さんはどんな思いでこちらの活動に?
大湊さん:私は物心ついたときから「地球を守りたい」という気持ちが強かったんです。「もったいない」と思う気持ちも強くて、簡単に物を捨てることに対して抵抗を感じていました。特に貧困国の人たちを安く雇用して、短期間で大量生産・大量廃棄をする一部のアパレル産業には強い疑問を持っていて、自分たちにできることは何だろうと考え続けていたんです。
――その答えは見つかったんでしょうか?
大湊さん:「必要ないものを買わず、今あるものを大切にする」ということでした。そんなときに「ぐるり」という0円お譲り交換会の存在を知ったんです。普段はめったに開かないFacebookを開いたら、偶然、大崎さんの不要品を募集している投稿を目にしました。全国の人が利用するコミュニティなのに、新潟県の、しかもお隣の地区に住んでいる人だったので、すぐに返信しました(笑)
――それがおふたりの出会いだったんですね。
大崎さん:不要品を譲り受けるために大湊さんと直接会って、お互いの思いを話し合う内に意気投合したので、一緒に「つなぐマーケット」を立ち上げたんです。

Advertisement
目的や思いを理解してもらうため、
利用ルールを設ける。
――「つなぐマーケット」を初開催したのはいつですか?
大崎さん:2022年12月に江南区のかめっこ広場で開催しました。大変な豪雪の日だったんですけど、そんな悪天候でも多くの人が集まってくれて、品物を補充してもすぐ無くなりました。「絶対に来ようと思っていました」という方もいて、皆さんから必要とされていることを強く感じたんです。
大湊さん:ありがたいことに、ママ友のネットワークでどんどん広まっていきました。当初はシーズンごとに年4回開催することを目標にしていたんですけど、いろいろなところからお声がけいただくようになり、間もなく月2回のペースになっていました(笑)
――活動するなかで難しさを感じることはありますか?
大湊さん:様々な価値観のパパママがいますので、「今あるものを大切に使いたい」という思いをわかってもらえないこともあるんです。
――「つなぐマーケット」の目的が、理解してもらえないこともあるんですね。
大湊さん:ですから自分たちの思いを知っていただき、皆さんに気持ちよく参加していただくために、ルールをつくることにしました。例えば、持ち寄っていただく子ども用品は、大切なお友達に譲れる程度のものをお願いしていますし、今必要なものを今必要な分だけ持ち帰るようにしていただいています。

Advertisement
物と人をつなぐだけではなく、
人と人ともつないでいきたい。
――会場の様子を見ていると、和やかな雰囲気で開催されているんですね。
大湊さん:ありがとうございます。ママさんの中には疲れた表情で品物を見てる方もいたりして、ひとりで悩みを抱えているのかなと思ったりするので、できるだけ話しかけてコミュニケーションをとるようにしています。自分が話しかけるだけではなく、ママさん同士が仲良くなるきっかけをつくったりもしているんです。
大崎さん:親戚ほど親しくはないけど顔見知りではある、近所のおばちゃんみたいなスタンスでしょうか(笑)。先輩ママとして悩みを聞いたり、子どもの相手を代わることで落ち着いて品物を選べるように配慮しています。とにかくママさん達には、気持ちに余裕を持ってほしいんですよ。
――先輩ママだからこそ、共感できる部分も大きいんでしょうね。おふたりはどんな子育てでした?
大湊さん:はじめての子育ては、すっごく大変でしたね。背負っている命に対して、責任の大きさを常に意識していました。わけもなく涙が出てきたりして、メンタルもやられていたのかなと思います。
大崎さん:私は転勤でいろんなところに移り住んだので、知り合いが周りにいない「アウェイ育児」だったんです。相談できる先輩ママもいなかったので、自分のやっている育児が正しいのかどうかもわからず、いつも不安を抱えていました。
――自分たちも悩んだり苦しんだりしてきたから、新米ママの気持ちがわかるんでしょうね。
大崎さん:子育て中は辛いことも多くて大変だけど、後になってみれば素敵な思い出になると思うんです。
大湊さん:若いママさんには気持ちにゆとりを持ってほしいですね。ママが笑顔で元気なら子どもも家庭も明るく元気になるんですよ。そのためにできることはお手伝いしたいと考えています。
――とても頼もしいです。今後はどのような活動に取り組んでいきたいですか?
大崎さん:これからは、より人と人をつないでいく活動に取り組んでいきたいと考えています。「私有から共有へ」という考え方を広げることで、対面での情報交換がしやすくなったり、人同士の輪が広がったりすると思います。
大湊さん:行政からの依頼でイベントを企画運営する機会も増えてきたので、今後も連携しながら子育てのお手伝いや地域相互の場づくりに携わっていきたいですね。

つなぐマーケット
Advertisement
関連記事
新しい記事
食べる
日々、パンと向き合う職人がいる、
十日町のパン屋さん「BAUMRINGE」
2026.06.29
買う
お金ではなく心で物と人をつなげる
子育ての味方「つなぐマーケット」
2026.06.28
食べる
十日町の四季を1枚に乗せて。
「Pizzeria Remo」のナポリピッツァ。
2026.06.27
カルチャー
ものを作る人が集まる場所、
北区のレンタルギャラリー「のらごや」
2026.06.26
食べる
グルテンフリーのお菓子が楽しめる
「米粉シフォンのお店 chuchu」
2026.06.25
New Eyes Niigata
New Eyes Niigata #09 石井圭
2026.06.25


