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日常から離れて、日本の四季折々の風情を楽しむ老舗料亭「清雲亭 山重」。

落ち着いた街並みの風情から「越後の小京都」と呼ばれる加茂市。その町で180年以上も続いてきた老舗料亭が「清雲亭 山重(せいうんてい やまじゅう)」です。長い歴史の中で、どんなことを大切にし、どのように料亭を続けてきたのか。女将の霜出さんにお話を聞いてきました。

 

 

清雲亭 山重

霜出 朋子 Tomoko Shimoide

1969年加茂市生まれ。大学卒業後は東京で4年間OL生活を送り、加茂市に帰って「清雲亭 山重」の若女将となる。

 

創業180年以上。皇族が二度も立ち寄った老舗。

——「清雲亭 山重」は創業してどのくらい経つんですか?

霜出さん:江戸時代後期に創業したということなので180年以上経ちます。創業当時は「湯屋 長寿湯」という湯屋をやっておりまして、入浴後にお食事やお酒を楽しめる場所だったようです。大正時代に入ると日本でも洋食文化が受け入れられるようになってきたので洋食の提供も始めましたが、三代目の頃からは日本料理店として続けてきました。ちなみに屋号の「山重」は創業者が「上の山の重兵衛」と呼ばれていたことに由来しています。

 

——江戸時代から続いているんですね! 長い歴史の中にはいろんなエピソードがあったんじゃないですか?

霜出さん:そうですね、皇室の方が二度ほどお越しくださいました。最初は昭和39年の「新潟国体」のときに高松宮殿下がお見えになったんです。そのためにご来店の1ヵ月前から休業して店舗の改修工事をしたそうで、お風呂好きな殿下のためにお風呂を改修したのですが、結局お入りになることはなかったそうです(笑)

 

 

——すごい方がお見えになったんですね。

霜出さん:そうなんです。二度目は平成18年の「新潟国体」のとき、常陸宮殿下と華子妃殿下が仲町通店にお見えになりました。殿下はボクシングがお好きだということで、加茂市勤労者体育センターで行われたボクシング競技を観戦に来られたんです。二度も当店を選んでいただけて本当に光栄に思っています。

 

——最近のトピックスといったら何でしょうか?

霜出さん:昨年は「ミシュランガイド新潟2020年版」でミシュランプレートをいただきました。それと今年の7月には、本店店舗、仲町店の蔵と店舗が、国の登録有形文化財に答申されたんです。私の祖父が3歳のときの「山重」を写した写真が文化財登録の決め手になりました。

 

大変だけど勉強になる、女将の仕事。

——霜出さんは最初から「清雲亭 山重」を継ぐことを考えていたんですか?

霜出さん:特に考えておりませんでしたが、頭の片隅では「いつかは継がなくてはいけないのかも」と思っていました。大学を出て東京で会社務めの経験をして、新潟に戻ってきてからは「清雲亭 山重」に勤務することになったのです。

 

——じゃあ、女将業はお母様から教わったんですか?

霜出さん:そうです。実の親子ですからお互いに遠慮がなくて、言いたいことを言ってしまい今でもしょっちゅうケンカしています(笑)。でもお互いに言いたいことが言えるのは、いいことだと思っています。

 

——女将業をやってみて大変だと思うことってありますか?

霜出さん:それまでの会社勤めとは違って、経営する側になるとプライベートな時間がほとんどなくなります。お店が休みのときでも四六時中お店のことを考えているので、なかなか気が休まりません(笑)。とくに母の代までは高度成長やバブル景気で右肩上がりだったのに、私が帰ってきたのはバブルがはじけた後です。大変ですが頑張っております。

 

——さらに新型ウィルスまでかぶってきましたもんね……。逆にやっていて楽しいことは?

霜出さん:いろいろな方々と出会うことができるのは楽しいです。普段近くでお話しする機会もないような、大会社の社長さんのお話も間近で聞くことができ、中には経営のヒントになるようなお話もお伺いする機会もあり、大変勉強になります。

 

非日常的な空間で、日本の四季を楽しんでほしい。

——「清雲亭 山重」のお料理は、どんなことにこだわっているんですか?

霜出さん:四季の季節感を大切にして「旬、はしり、なごり」にこだわった純日本料理です。「はしり」は季節感を先取りした食材、「なごり」は季節の終わり頃の食材のことをいいます。とくに季節の旬を一足先に味わう「はしり」の贅沢を楽しんでいただくために、広く全国から美味しい食材を取り寄せています。お料理を盛りつける器にもこだわっていて、季節ごとに変えながら使います。

 

 

——料理だけじゃなくて器にまでこだわっているんですね。

霜出さん:料理や器だけじゃなくて、お店すべてで四季の風情を感じていただければと思っております。お花、掛け軸、置物といったお座敷のしつらえも季節ごとに変えて、夏は襖をはずして簾や簾戸(すど)にして涼感を演出しています。エアコンがなかった頃は部屋の真ん中に氷柱を立てて、飲み物を冷やしたりしていたそうです。

 

 

——お祝いごとなどで利用されるお客さんも多いんでしょうか?

霜出さん:「清雲亭 山重」のお客様は、結婚式や法事、帯明け、年祝いといった人生の節目のお祝いごとで利用される方も多いんです。そうしたお祝いごとは家族の大切な思い出として残るものなので、お客様に寄り添いながらいい思い出づくりのお手伝いさせていただいています。

 

惣菜の販売や、カフェの営業など様々な展開。

——本店の営業以外にもいろいろなことをされていますよね。

霜出さん:はい。めんつゆや惣菜を製造し、当店のカフェやオンラインストアで販売しています。

 

——めんつゆの販売はどうして始めたんですか?

霜出さん:会席料理の〆でお出ししている蕎麦のつけ汁が好評で是非家庭でも味わいたいとの声から「重兵衛のめんつゆ」という商品名で販売を始めました。鰹だしがきいた無添加のめんつゆで、薄めずそのままお使いいただけて、一度食したら忘れられない味ということでリピーターの方も大変多いのです。

 

 

——今の季節はそうめんのつゆにもぴったりですね。惣菜の方は?

霜出さん:惣菜は新型ウイルス感染症の影響によりお客様からお店に足を運んでいただく機会が減ってしまったので、「清雲亭 山重」の味をご自宅でも楽しんでいただけるようにということで始めました。現在は「うなぎ蒲焼」「若鶏味噌漬炙焼」「鮭西京焼」の3種類を販売しています。

 

 

——どれも美味しそうですね。あと「Yama Cafe(ヤマカフェ)」というカフェもについても教えてください。

霜出さん:本店のアンテナショップのような気持ちでカフェを始めたんです。今は仲町通店の方で営業しています。

 

 

——仲町通店はもともと「清雲亭 山重」の持ち物だったんですか?

霜出さん:いいえ、加茂錦酒造さんの主屋と蔵を譲り受けてリノベーションしたんです。酒蔵はイベントホールとして貸し出したり、結婚式場、パーティー会場としてもご利用いただいています。

 

——最後に、「清雲亭 山重」に興味を持った方に伝えたいこと、ありますか?

霜出さん:新型ウイルス感染症拡大予防の自粛で、結婚式や披露宴を控えている方も多いと思いますが、少人数での披露宴を考えている方には「清雲亭 山重」でのお食事が大変おすすめです。思い出に残る披露宴やお食事会のお手伝いをさせていただきます。

 

 

今回初めて「清雲亭 山重」にお伺いしましたが、どこをとっても和の趣を感じることができる素敵なお店で、次回は取材ではなく、プライベートでゆったり食事を楽しみに来たいな、と思いました。これからも創業200年目を目指して、お客さんに日本の四季を感じられる癒しを提供していってください。

 

 

清雲亭 山重

新潟県加茂市仲町4-15

0256-52-0104

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