美容師の顔も持っているイラストレーター「KAZUKI AIDA」。
カルチャー
2020.03.02
線画イラストを海外ストリートにアレンジしたオリジナルアート。
有名人のサンプルイラストや写真とラインアートを組合わせたコラージュ作品を発表しているイラストレーター「KAZUKI AIDA」こと、相田一樹さん。新潟市古町にあるインテリアショップ「APAREMENT(アパートメント)」で初となる個展「【 37°37’06.6″N 138°59’12.0″E 】solo art exhibition 2020 illustrator kazuki Aida At apartment in NIIGTA CITY」が開催されているとの情報をキャッチし、早速行ってきました。今回は、彼の作品に対するアーティストとしてのこだわりや、美容師としてのもうひとつの一面についてのインタビューです。

KAZUKI AIDA
1988年三条市生まれ。新潟理容美容専門学校卒業。美容師歴12年。2018年よりイラストレーター「KAZUKI AIDA」として本格的にアーティスト活動をスタート。バンクシーやバスキア、アンディ・ウォーホルが好き。
美容師からはじまった、イラストレーターとしての活動。
――今日はよろしくお願いします。どんなキッカケでイラストレーターとしての活動をはじめたんですか?
相田さん:僕は新潟理容美容専門学校を卒業して、今でも美容師として活動をしています。数年前にお客さんのつながりであるイベントに参加することになって、自分は何ができるかを考えたんです。そのときに、昔から好きで興味もあったアートにチャレンジしてみようと思ったのがキッカケですね。
――昔からアートは好きだったんですね。どんなアートが好きでしたか?
相田さん:イギリスを拠点に活動しているストリートアーティストのバンクシーが好きで、彼の作品やドキュメンタリー映画も観ていました。もちろん同系統のバスキアやアンディ・ウォーホルなんかも昔から好きでしたね。自分の作品もそうですけど、ストリートアートといわれるジャンルが好きです。

――なるほど。本格的にイラストレーターとしての活動を始めたのは?
相田さん:美容師の仕事は、街にお洒落な人を増やすことだと思っています。ヘアスタイルが変化することで新しい洋服が欲しくなったり、アクセサリーをそろえたり、そういう買い物をすることで街全体の活性化につながります。その考えが変化して、アートも根源的に同じだと思いました。アートを高めれば、美容師としても高められる。自分の技術が上がればお客さんのお洒落も高められる。そう考えて、2018年からイラストレーターとしての活動も本格的にスタートしました。

キレイに描くことを追求した初期のラインアートからの進化。
――活動をスタートした当初は、どんな作品を描いていたんですか?
相田さん:美容師の仕事もそうなんですけど、何に対してもとにかくマーケット調査をします。どんなニーズがあるのか、どんなモノが流行っているのか、年代やカラーなどなど。それで行き着いたのがラインアートでした。でも線と線の継ぎ目を空けた最近流行りのタッチではなくて、とにかくキレイに線を描き上げるスタイルで。あと美容師であるからこそ、ヘアスタイルやボディラインはめちゃくちゃこだわって描いています。こんな感じです。

――シンプルなのにオリジナリティーがあって、外国人っぽいタッチですね。
相田さん:日本人を描くと春画になりやすいんですよ。それに美容業界でもクセ毛風のパーマやちょっと派手なカラーで外国人らしさを求める傾向にあって。それを自分のアートにも落とし込んでいます。
――なるほど。美容とアートが作品でつながっているんですね。初開催となる今回の個展では、その初期のラインアートからの変化が感じられる作品がありますね。
相田さん:そうですね。常に新しいモノを発信し続けて進化していきたいから、ラインアートからスタートして、有名人のサンプルイラストやシルクスクリーンとキャンバス、アクリル絵の具などを使ったコラージュアートにも挑戦しています。だから新しい作品ではあえてラインアートの要素を含んでいないものも作りました。

――もうひとつ気になったことがあります。人やキャラクターの顔(目の部分)にモザイク? アイコン?が描かれていますが、これはどういった意図ですか?
相田さん:ただカッコイイだけでは駄目で、アートには意味が込められていないといけないと思っています。それで考えたのが、目にかかっているモザイク風のアイコンです。人物やキャラクターを描くときに目は重要なポイントです。だからあえてアイコンで目を隠すことによって、ヘアスタイルなどほかのパーツが強調されて全体の魅力を観てもらえるように考えました。

作品に価値はない。観てくれる人たちに価値がある。
――美容師としての活動もされていますよね。その経験でアート制作に役立ったことはありますか?
相田さん:美容師としての活動は、コンテスト作品を作り上げる「クリエイティブ」、髪の毛のニュアンスや骨格のデザインにフィットさせる「サロンワーク」のふたつがあるんですけど、それぞれの考え方で人物を描くようになりました。だから作品は2Dだけど、3Dのように捉えた考え方ができていると思います。
――作品から、どんなことを観る人たちに感じてもらいたいですか?
相田さん:何も考えないで、ただただ感じて欲しい。それだけですね。自分の作品はアートだけど、作品を観に来てくれている人もアートだし、展示している環境もアートだと思っています。美容師としても、イラストレーターとしても、作品を通じてライフスタイルが輝くお手伝いができたら嬉しいですね。

これからは、ライフプランニングの場を作りたい。
インタビューの最後に今後の展開をうかがうと「今回の個展に向けて描いた作品で資産ができた。だからアート制作は小休止。これからはアートに触れてもらえるギャラリー併設の美容室を出店する予定だから、それに向けて動きたい。それと東京でも個展を開きたい」と相田さん。イラストレーターと美容師、それぞれの活動に対して邁進していく決意を語ってくれました。進化し続ける「KAZUKI AIDA」のアートから、目が離せません。

KAZUKI AIDA
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