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オーストラリアの「当たり前」を。日常を彩る「FENNEL」の朝食。

今年の1月末、古町にオープンした「FENNEL(フェンネル)」。ここでは、オーストラリアのカフェで経験を積んだ、オーナー加藤さんの朝食を楽しむことができます。加藤さんのこれまでや、オーストラリアでの経験、お店のことなど、いろいろ聞いてきました。

 

FENNEL -All day breakfast-

加藤 こゆき Koyuki Kato

1991年新潟市出身。新潟市内の飲食店で働いた後、フィリピンに留学へ行く。その後2年間オーストラリアの飲食店で働き、新潟に戻る。戻った後は新潟市の「APARTMENT」で働き、2025年に「FENNEL」をオープンする。

オーストラリアが恋しい、からはじまったお店。

――今日はよろしくお願いします。早速ですが、加藤さんのこれまでを教えてください。

加藤さん:学生の頃は、美容師になりたくて市内の専門学校に通っていました。でも、卒業間近で入院することになって、学校をやめることにしたんです。その後学生の頃からバイトしていたカフェで、ホールと調理補助として働くことにしました。

 

――それから、フィリピンやオーストラリアに行かれたんですね。

加藤さん:25歳になったのをきっかけに行ったんです。美容師を目指していたときも、海外で働く美容師になりたいと思っていて。フィリピンには2ヶ月、オーストラリアには2年いました。オーストラリアでは、それはもう、激しく働きましたね(笑)

 

――オーストラリアではどんなことをしていたのでしょうか。

加藤さん:最初は日本人が多く働いているジャパニーズレストランで板前をしていました。実は私、魚がさばけたので(笑)。でも英語の環境に身を置きたくて、バリスタの学校に通いながら働けるカフェを探していたんです。

 

――ふむふむ。

加藤さん: そしたら知り合いの紹介でカフェで働けることになって。最初はキッチンハンドという雑用をしていました。あるとき、お店のオーナーが変わるタイミングがあったんです。オーストラリアでは、オーナーが変わることはよくあって。新しいオーナーは料理ができなかったので、私が料理長とお店のマネージャーを務めることになりました。

 

 

――おぉ、大抜擢ですね。オーストラリアのカフェって、どんな感じなんでしょうか。

加藤さん:まず、めっちゃしゃべります(笑)。「How are you?」からはじまるので、お客さんと絶対会話をするんですよ。だからお客さんを名前で呼ぶし、日本よりもお客さんとの距離が近いですね。オーストラリアは朝ごはんを食べにカフェに来る人が多いので、毎日来て、ごはんを食べたらサッと帰るんです。毎日80人くらいの常連さんが来てくれていたんです。

 

――それだけ、カフェが生活に馴染んでいるんですね。

加藤さん:そうそう。お店はすごくおしゃれだけど、作業着を来たおじさんたちが、朝、ハムチーズクロワッサンを食べに来ているのがごく当たり前で。それがすごくいいなと思って、今でも忘れられない光景ですね。

 

――「FENNEL」をつくろうと思ったきっかけはどんなものだったんでしょうか。

加藤さん:日本に帰ってきてから子どもができて、子育てをして。オーストラリアで信じられないような経験をしたのに、いつの間にか「お母さん」になっちゃったんだなって思ったんです。

 

――過去と今の自分とのギャップに気づいたんですね。

加藤さん:オーストラリアみたいに晴れていた日に、急に「オーストラリアに帰りたい!」って泣いちゃって。子どもがいるから、行くことはできないけど、オーストラリアにあったようなお店なら出せる!と思ったんです。それで、「APARTMENT」の社長にすぐ伝えて、お店の出す準備をはじめました。

 

ターゲットは、ビジネスマン。誰でも入れるお店づくり。

──お店を古町に出した理由って、何かあるのでしょうか?

加藤さん:働いている人がたくさんいるからですね。私の性格的に、自然に囲まれた静かなところより、こっちが性にあっているので(笑)。私の地元でもあったし、ここしかない!って思ってました。

 

――店内の内装は、深いグリーンが印象的です。

加藤さん:店内のデザインはもちろん、お店の設計も携わりました。お店は全部、こだわりたかったんです。 特に店内の色はこだわりましたね。最初はもっと明るいグリーンだったんですけど、全体的に明るさを落として落ち着きをもたせました。

 

 

――それは、どうしてなんでしょう。

加藤さん:どんな人でも馴染む店内にしたかったんです。オーストラリアのカフェみたいに、誰が入っても浮かなくて、入りやすいお店がいいなと思って。最初お店をはじめるときにターゲットを決めるじゃないですか。うちは、30〜40代のビジネスマンなんですよ。

 

――ピンポイントですね(笑)

加藤さん:男性がひとりでも入りやすいようなお店を目指しています。もうすでに平日の朝、店内が会社に行く前の人でいっぱいになっている日もあって。朝ごはんをここで食べながら、新聞を読んでくれているんです。そんなの見たら、もう最高じゃないですか(笑)

 

 

――加藤さんが狙っていたものが、もう実現しているんですね。ここではどんな朝食が食べられるのでしょうか。

加藤さん:トーストを中心に、サンドイッチやブルスケッタもご用意しています。毎日来ていただいても飽きないように、トーストは日替わりのメニューもつくっています。

 

――加藤さんのオススメをおしえてください。

加藤さん:「ベーコンサンド」はぜひ食べてほしいです。ビーツが中に入っていて、日本にはあまりないサンドだと思うし、オーストラリアっぽい味になっていますね。他のサンドイッチもオーストラリアでは定番のものばかりなんですよ。

 

――「アボカドトースト」や「ポーチドエッグトースト」も、定番なんですね。おしゃれ〜!

加藤さん:見た目は可愛いし、おしゃれなんですけど、「アボカドトースト」は納豆ごはん、「ポーチドエッグトースト」は卵かけごはんくらい、当たり前のものなんです。オーストラリアの「当たり前」が新潟にも広がってくれたらいいなと思います。

 

日常に溶け込んで、「当たり前」になりたい。

――改めてお店をみると、店舗設計からメニューまで、オーストラリアで経験したことがたくさん活かされているんですね。

加藤さん:それだけ濃い2年間だったんですよね。日本に帰ってきてから7年、料理の仕事をしていなかったんですけど、いざやってみると無意識に動けて。それだけ身体に染みついていたんですね。

 

――「FENNEL」はこれから、どんなお店になっていくんでしょう。

加藤さん:私がオーストラリアで経験した「当たり前」が、古町にも広がってくれると嬉しいです。今も、よく来てくれるお客さんが畑で採れた大根を持ってきてくれたり、最初はお化粧をしてた女の子がすっぴんで来てくれたり。こういうの、すっごく嬉しいんです(笑)

 

 

――お客さんの生活に「FENNEL」が馴染んでいるんですね。

加藤さん:そうだと嬉しいですね。私自身も、オーストラリアにいたときのように楽しめているんです。ワンオペでお店を回しているときは、常連さんが助けてくれるし、お隣のお店もショップカードをでっかくコピーしてお店に貼ってくれたり(笑)、支えてもらっていて、感謝ですね。

 

――これからの加藤さんの目標を教えてください。

加藤さん:インバウンドに対応していけるように、英語のメニューをつくりたいですね。うちのスタッフはみんな英語が喋れますし。ヴィーガンやベジタリアン、小麦アレルギーにも対応しているので、観光で新潟にいらっしゃった方も入りやすくしていきたいです。

 

 

 

FENNEL -All day breakfast-

新潟市中央区古町通6番町953-2

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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