それぞれのヒトにフィットした空間を提案する「エチヲアーキ」。
ものづくり
2019.11.17
大学で出会ったふたり。越後から発信する「つくること」「すまうこと」。
越後から全国津々浦々、建築を通して「つくること」「すまうこと」の豊かさを発信している建築家ユニット「エチヲアーキ」の渡邉さんと小幡さん。大学時代に出会ったふたりが考える建築についてのコト、これからチャレンジしていきたいコト。懐かしい思い出も交えて、いろいろなお話をうかがいました。

エチヲアーキ
渡邉 晋太郎 Shintaro Watanabe
1989年三条市生まれ。一級建築士。三条東高校卒業後、東京電機大学大学院建築学専攻修士課程修了。田中洋人建築設計室での勤務を経て、2019年「エチヲアーキ」を設立。

エチヲアーキ
小幡 友樹 Tomoki Obata
1989年埼玉県生まれ。伊奈学園総合高校卒業後、東京電機大学大学院建築学専攻修士課程修了。株式会社マツモト&アソシエイツ一級建築士事務所での勤務を経て、2019年「エチヲアーキ」を設立。
ライバルから、同志になった大学時代。はじめは嫌いだった?
――「エチヲアーキ」のおふたりは、大学の同期なんですよね。出会った頃の話を聞かせてもらえますか?
渡邉さん:1年生の時は違うグループに属していて、ちょっとライバル視していた存在ですね。あまり会話をした記憶もないですし(笑)
――出会った頃から仲良しではないんですね。むしろ、仲が悪かった…?
小幡さん:そうかもしれないですね。凄い人がいるなって、ライバルとしてバチバチに意識していたので。
――仲良くなったキッカケは?
渡邉さん:建築学科って、とにかく課題が多い学科なんです。住宅やオフィスをグループワークで設計しているうちに、お互いのフィーリングが合って、自然と一緒に行動するようになりました。
小幡さん:「一緒にやらないか?」と声をかけて、学外のアイディアコンペにチャレンジしたこともありましたね。三条市のアーケード商店街(今はない)に共同のフリースペースを作るのがお題で。やりたいことをブレストしたり、話し合ったり。はじめての共同作業をしました(笑)
――ひとつの目標に向かうことで、ライバルから同志になれたんですね。
渡邉さん:そうですね。最終的には、ドイツ、イギリスの建築物を巡る卒業旅行にも一緒に行って。雨が降らない地域では軒がなかったり、寒い地域では壁ばかりで窓がほとんどなかったり、国や気候によって異なる建築に対する考え方を一緒に学びました。

建築に興味を持ったキッカケ。「エチヲアーキ」への道のり。
――同じ大学で建築を学んできたおふたりですが、そもそもどんなキッカケで建築に興味を持ったんですか?
渡邉さん:木材の表面をきれいに削るカンナって、あるじゃないですか。その木台に歯を入れる「台入れ」という仕事を父がしていたんです。なので、子どもの頃から木や設計に触れていて。進路を決める時期に、ファッションが好きだからファッションデザイナーになろうかなとも考えましたが、シンプルで長年愛されるようなデザインを考えられる気がしなくて、建築の道を選びました。
――お父さんは職人さんだったんですね。小幡さんは?
小幡さん:僕は単純に、好きだったテレビ番組が住宅を紹介する「渡辺篤史の建もの探訪」だったことが一番のキッカケですね。バリバリの理系高校生だったので、進路を考える時にも、無意識に建築を選んでいて。きっと、埼玉の田舎ですくすくと育ったのが良かったんでしょうね。あんまり関係ないけど(笑)

――大学を卒業してから「エチヲアーキ」を設立するまでの期間は、お互いにどうされていたんですか?
小幡さん:東京の「株式会社マツモト&アソシエイツ一級建築士事務所」で勤めていました。この事務所は集合住宅、幼稚園、保育園…、大人数が暮らしたり、活動したりする建築が多かったですね。
渡邉さん:僕は新潟市の医学町ビルにある「田中洋人建築設計室」で、主に住宅や店舗の仕事をしていました。具体的には、カフェ「THE COFFEE TABLE(ザコーヒーテーブル)」、セレクトショップ「Rafie(ラフィー)」などがあります。

酒を飲み、未来の夢を語り合う。「エチヲアーキ」のふたり。
――特色の異なった事務所に属されていたんですね。ちなみに、いつから一緒に建築事務所をやりたいと思っていたんですか?
渡邉さん:大学時代から、「いつかは一緒にやりたいね」と、居酒屋で夢を語り合っていました。
――大学時代からだったんですね。…小幡さんって、新潟にゆかりは?
小幡さん:実は、あるんですよ。大学の時に「大地の芸術祭」で「越後妻有トリエンナーレ」に作品を出展していて。集落の人たちとご飯を食べたり、冬には雪かきを手伝ったり、ちょこちょこと滞在していた経験があるんです。それに社会人になってからも、「今週、遊びに行くね」って、急に渡邉家へ遊びに行っていたので、新潟との距離は近いんですよ。

――なるほど。でも、どうしてふたりは新潟を選んだんですか? 東京とか、都会の方がいいのでは?
小幡さん:僕は末っ子なのでどこへでも行ける立場なので、同じ志の渡邉のもとへ行ってみようかと。「大地の芸術祭」で新潟には縁もありましたし。
渡邉さん:建築は、もちろん東京でもできます。むしろ、何でもできるチャンスがあります。ただ、僕たちはあえて“しがらみ”を作りたかったんです。雪がたくさん降るとか、人口減少とか過疎化とか、そういう地方の問題に対して建築で答えを出したいと思って。ふたりともゆかりのある新潟を選びました。

「エチヲアーキ」の強みは、ふたりでするコト。
――では、ふたりでスタートした「エチヲアーキ」についてお聞きします。まずはコンセプトを教えてください。ちなみにそれは、どちらかが考えたんですか?
小幡さん:コンセプト、ロゴは僕が考えました。建築は、考えて、作って、伝えるものだと思っているので、ただ図面を書くだけでなくて、どう伝えられるかも考えます。なので、「W(渡邉)とO(小幡)が建築を通してつくること・すまうことの豊かさを伝える」をコンセプトに、越後から発信する意味を込めて「エチヲアーキ」としました。
――そうなんですね。実際にはこれまでどのような物件を手掛けられていますか?
渡邉さん:主に古いビルや建物、長屋のリノベーションです。それこそ、「エチヲアーキ」の事務所がある古町エリアは中心地の空洞化が問題となっています。でも素晴らしい建物はたくさんあるんです。それなのに使われていないのは勿体ないと考えて、ちょっと手を入れて、まだまだこんなに使えるんだよってことを発信しています。
小幡さん:あとは新築住宅の提案の他に、リノベーション住宅の提案もしています。例えば200万円で古い住宅を買って、コツコツと直しながら暮らすもの、ひとつの可能性です。「こんな家に住みたい」という願望や施主さんの個性、それぞれの暮らしにフィットした空間を掘り出して、そのヒトに合った提案をしていきたいと思っています。木を使う、コンクリートを使う、そういう「エチヲアーキ」としての個性はありませんが、売りがないのが売り。お客さんの求めているイメージを、より良い完成形へと導きたいと思います。

ふたりが組むことで、可能性は大きく変わる。
大学時代に出会った「エチヲアーキ」のふたり。2019年4月、縁あって新潟で事務所を立ち上げました。店舗や住宅、あるいは公共的建築、これまで学んできた現場はそれぞれ異なりますが、建築に対しての考え方は一緒。クライアントの要望を叶えて、より良い空間を生み出したい気持ちには変わりはありません。これからが楽しみで仕方ない、そんなユニットでした。
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