関川村の老舗割烹にオープンした
洋食も和食も味わえる「104 TOSHI」
2026.04.16
関川村にある老舗割烹「丸勝会館(まるかつかいかん)」のなかに「104 TOSHI(トシ)」というレストランがオープンしました。店主の伊藤さんは、割烹に生まれ、ホテルのフランス料理の経験も積んできた方で、本格的な洋食や和食が楽しめるお店になっています。宴会の準備で時間のない中、伊藤さんに取材に応じていただきました。
伊藤 俊勝
Toshikatsu Ito(104 TOSHI)
1977年岩船郡関川村生まれ。新潟市の調理師専門学校で洋食を学び、在学中にアルバイトしていたホテルに就職する。約6年間にわたる修業の後、家業の「丸勝会館」に就業し、2025年に「104 TOSHI」をオープン。
老舗割烹の跡取り息子が
ホテルでフランス料理を学んだ理由。
――宴会の準備でお忙しいのに、取材に対応していただきありがとうございます。早速ですが、こちらの店名は「104」と書いて「トシ」と読むんですね。
伊藤さん:そうです。僕の名前からつけました。ロゴにも「十四」という漢数字が使われています。
――こちらの「丸勝会館」はご実家なんですか?
伊藤さん:はい、割烹として地元の方々から長い間親しまれてきました。葬儀や法事のお斎にご利用いただくことが多かったんですよ。
――じゃあ、伊藤さんはいつか家業を継ぐつもりだったんですね。
伊藤さん:そのために新潟市の調理師専門学校に通って、洋食を学びました。
――あれ? 割烹を継ぐのに、和食じゃなく洋食を学んだんですか?
伊藤さん:和食は家でも学べますから、洋食を学んで、どちらもできるようにしようと思ったんです。卒業後は在学中にアルバイトをしていた新潟市内のホテルに就職しました。
――ホテルでの修業はいかがでした?
伊藤さん:きつかったですね(笑)。何より困ったのは、レシピがすべてフランス語で書かれていたことです。スマホもネットもなかった時代ですから、和仏辞典で調べながら勉強していました。
――料理の前に、言葉を覚えなければならないとは……(笑)
伊藤さん:当時は、ホテルの事情もあったんでしょうけど、料理に原価や時間をかけることができないことに疑問を感じていました。その反動が、素材にこだわり手間を惜しまない、今の自分の料理に影響しているのかもしれないですね。
――いつから実家の「丸勝会館」でお仕事を?
伊藤さん:父が体調を崩したこともあり、2002年に戻ってきて家業に就きました。もう少しホテルで経験を積みたかったという思いもありましたね。

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レストランオープンのきっかけは
3年前に関川村を襲った豪雨水害。
――それでは「104 TOSHI」をはじめたいきさつを教えてください。
伊藤さん:本格的な和食や洋食が気軽に楽しめるようなレストランを、いつかオープンしたいという夢があったんです。年配の方々は葬儀や法事のお斎の席に「丸勝会館」を当たり前のように利用してくださるんですが、若い世代の方々はそこまで地元にこだわらないので、お斎や宴会でのご利用は減ってきていたのもあって。
――利用者の減少にはコロナ禍の影響もありますか?
伊藤さん:そうですね。でもオープンするきっかけになったのは、2022年に起こった水害なんです。うちも80cmほどの浸水被害を受けて、お座敷の床や畳が水浸しになってしまいました。
――それは大変でしたね……。
伊藤さん:被害を受けた建物を一部補修する際に、レストランとして新築することにしたんです。内装はテーブル席とお座敷を両方備えた和モダンな空間を目指しました。オブジェをはじめ、テーブルや椅子はインテリアショップと相談しながら決めたんです。
――落ち着いた色味のインテリアで居心地がいいですね。
伊藤さん:ありがとうございます。この椅子は背もたれにも角度がついているせいか、長時間座っていても疲れにくいんですよ。ですから年配のお客様にも居心地よくお過ごしいただいています。料理はもちろん、雰囲気も味わっていただけたら嬉しいですね。

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素材にこだわり手間を惜しまずつくる
ローストビーフ丼や海鮮料理。
――お料理についても、こだわりを教えていただきたいと思います。
伊藤さん:肉も魚も素材には強いこだわりを持っています。肉は国産牛か和牛を使って、すべてを手切りしています。魚は朝早く市場へ行って、自分の目で確かめながら仕入れるようにしているんです。それは父の代からやってきた「丸勝会館」の伝統でもあります。
――安心して楽しめる素材を使っているわけですね。他にもこだわっていることがあったら教えてください。
伊藤さん:調理の手間を惜しまず、100パーセント手づくりしています。「ローストビーフ丼」って2〜3時間でもつくることのできるメニューなんですよ。でも、僕は2日間かけてつくっているんです。
――2〜3時間でつくれる料理を、2日間かけてつくっているんですか?
伊藤さん:牛肉を香味野菜や塩麹と一緒に24時間マリネしておくことで、ものすごく柔らかくなるんですよ。それから60度もいかない温度で、3〜4時間じっくりと火入れをして、氷水で1日寝かせてからご提供しています。
――すごく手間をかけてつくっているんですね。料理への愛情を感じます。
伊藤さん:スイーツは、ホテルで働いているときに基本を学んで、あとは独学で身につけたんです。基本的なレシピをベースにしながら素材や分量をアレンジして、自分なりのスイーツをつくっています。
――最後に、これからどんなお店にしていきたいかお聞かせください。
伊藤さん:地元では「特別な席のための割烹」というイメージが強いみたいで、敷居の高さを感じている方も多いようですが、気軽にふらっと寄っていただきたいですね。本格的な料理が食べられるファミレスのような店を目指していきたいです。

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