厳選した果物を使ったこだわりフルーツサンドで人気がある三条市の「カネギフルーツ」が、新潟市秋葉区にある森のなかでフルーツパーラーをオープンしました。その名も「FRUITS FOREST(フルーツフォレスト)」。フルーツサンドに加え、パフェやドリンクが楽しめるお店です。以前もThingsに登場した信賀さんから、新しいお店にかける思いを聞いてきました。
FRUITS FOREST
信賀 康宏 Yasuhiro Shinga
1984年三条市生まれ。100年以上の歴史を持つ、三条市にある青果店「カネギフルーツ」の5代目。東京の「千疋屋(せんびきや)」で修業した経験を生かしフルーツサンドの販売をはじめ、2013年に新潟市秋葉区にある「マチーシャの杜(もり)」でフルーツパーラー「FRUITS FOREST」をオープンする。
——まさか新津の中心地にこんな森があるなんて……。ここはいったいどういう場所なんですか?
信賀さん:「マチーシャの杜」といって、元は高塚医院という内科医院の敷地なんです。そこの院長が「この森を後世に残しつつ、新津の活性化に役立ててほしい」と町おこしに取り組む「馬場工務所」の社長に相談したことから実現したプロジェクトで、自然豊かな森のなかに色々なお店を作って、人の集まる空間を作ろうというものなんですよ。
——なるほど。「町医者の森」だから「マチーシャの杜」なんですね(笑)。「カネギフルーツ」さんがパーラーをはじめたのはどうしてなんですか?
信賀さん:東京の「千疋屋」さんで修業をさせていただいていた頃、僕はフルーツパーラーを担当していたこともあって、いつかは自分でもフルーツパーラーをやりたいという夢があったんです。せっかく美味しいフルーツを販売しても食べている姿までは見ることはできないので、目の前で美味しそうに食べているお客様の笑顔が見たかったんですよね。
——でも、三条じゃなくって新津でオープンしたのはどうして?
信賀さん:本店では諸事情でパーラーをやることができなかったんです。今まで色々なところからお誘いをいただいていたんですけど、なかなか条件が合うようなお話がありませんでした。でも「マチーシャの杜」にお誘いいただいて、駅や商店街に近い立地でありながら森のなかの隠れ家みたいな心地よい雰囲気が気に入ったので、ここでフルーツパーラーをオープンしようと思ったんです。
——ここの雰囲気が気に入ったということですね。
信賀さん:森は気に入ったんですけど、パーラーに使う建物には頭を抱えました(笑)。元々物置に使っていた建物だったんですけど見た目がもろ物置だったので、そのまま飲食店として使うのは難しかったんです。
——今からは想像もつきませんね。じゃあ、かなり手を加えたんですね。
信賀さん:瓦や柱、梁だけは残して、あとはすべてリノベーションしました。工務店さんからの提案もあり、森の中にある鳥の巣箱をイメージした店舗になっているんです。
——確かに鳥の巣箱みたいな外観ですね。
信賀さん:その他にも大きなガラス窓をはじめ、いろいろなところに巣箱のイメージが生かされているので探してみていただきたいです(笑)。壁の材料も鳥の巣をイメージしていて、柔らかくて暖かい雰囲気になっていると思います。
——全体的に内装のトーンが統一されているので落ち着きますね。
信賀さん:ありがとうございます。椅子やテーブルは加茂の桐製家具を使っています。女性スタッフが多いので、軽くて持ち運びしやすいものにしてあるんですよ。あと戸袋に全ての窓が収納できるようになっていて、完全に開放できる造りになっているんですけど、ここは虫が多いのでなかなか使う機会がないんです(笑)
——このお店ではどういったメニューが楽しめるんですか?
信賀さん:青果店が本気でこだわったフルーツを使った、パフェやフルーツサンドがお楽しみいただけます。本店でフルーツサンドをはじめたのは若者のフルーツ離れがきっかけで、たくさんの人にフルーツの美味しさを知ってほしいという思いがあったからなんです。「FRUITS FOREST」ではさらに踏み込んで、いろいろなフルーツメニューを楽しんでいただけたらと思っています。
——青果の加工品って規格外品や鮮度の落ちたものを使うイメージがあるんですけど……。
信賀さん:本店でフルーツサンドをはじめたばかりの頃は、食べ頃を迎えて贈答用に向かなくなった果物をロス対策の意味も込めてフルーツサンドにしておりましたが、段々とフルーツサンドでもっと色んな果物を食べて欲しいと考え方が代わり、フルーツサンド用としても仕入れる様になったでもやっているうちにだんだん意識が変わってきて、より美味しいフルーツサンドをお客様に食べてほしいと思うようになってきて、それからは新鮮なフルーツを使っています。だから価格が高いと言われることもありますが、フルーツの品質にはこだわり続けていきたいですね。
——青果店ならではの意地を感じますね。どんなフルーツを使っているのか教えてください。
信賀さん:これからのシーズンは「越後姫」や「あまおう」といった国産イチゴがメインになってくるんですが、3月から6月にかけては三条で作られている朝採りイチゴを使っています。ただでさえ美味しい「越後姫」が、イチゴの概念を覆すくらい美味しくなるんです。しっかりした果肉の食感を楽しんでいただきたいですね。
——おお、お話だけでも美味しそう。他にはどんなフルーツが楽しめるんでしょうか?
信賀さん:夏は宮崎のマンゴーですね。あとスイカや桃を使ったかき氷を予定しています。秋は和梨、洋梨、イチヂク、ブドウです。ひと房8,000円のシャインマスカットを使ったりしているんですよ。
——ひと房8,000円! 普段はなかなか食べられないようなフルーツですね。
信賀さん:そうですね。でも品質は最高なので、上質なフルーツの素晴らしさを少しでも多くの人に知ってほしいんです。そのためにもフルーツサンドやパフェという、気軽に食べていただける形でご提供していきたいんですよね。
——高級フルーツがお手頃な価格で食べられるのは嬉しいですね。作るときに心掛けていることはあるんでしょうか?
信賀さん:生クリームはフルーツの味を邪魔しないよう、甘さを控えめにしています。パンはフルーツの甘さを引き立てるため、塩味を強めにしているんです。お客様が幸せそうな笑顔を見せてくれたときはこちらも幸せを感じますね。
——信賀さんの夢が叶う瞬間ですね。今後はどんなふうに「FRUITS FOREST」を続けていきたいですか?
信賀さん:「マチーシャの杜」もどんどんお店が増えて充実していく予定なので、他のお店とも連携しながら新津の町を盛り上げるお役に立てたらと思っています。
FRUITS FOREST
新潟市秋葉区新津本町1-7-22
0250-25-7298
11:00-17:00(16:30L.O.)
水曜休(2024年2月より木曜休)