古いものが、新しい縁を連れてくる。
中央区 「古箪笥川崎」
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2026.08.21
西堀通にある建築士事務所「カワサキジムショ」の中に、レトロ家具と雑貨のお店「古箪笥川崎」がオープンしました。急な階段やLARKのゴミ箱など、「昔ながらの良さをいかした住宅」を得意とするカワサキジムショらしさが建物全体に漂っています。今回お話を聞いたのは、古箪笥川崎の店長・サカイさん。新しいお店の誕生には、社員を思う社長の優しさがありました。
店長 サカイ
sakai(古箪笥川崎)
1995年新潟市生まれ。建築・インテリア系の専門学校を卒業後、一級建築士事務所「カワサキジムショ」へ入社。設計や施工のアシスタントとして経験を積む。2026年7月にオープンした「古箪笥川崎」で店長を務める。編み物やDIYが趣味で、古いものを暮らしに取り入れることを楽しんでいる。
いつの間にか、
古箪笥、古時計が集まってきて。
――建築事務所の中にある「古箪笥川崎」とは、いったいどんなお店なんでしょう?
サカイさん:店名の通り、長く愛用されていた箪笥を中心に、古時計や雑貨などを扱っているお店です。住宅の建て替えや空き家の整理の際に、「これも引き取ってもらえないか」と相談されることがたびたびあったんですね。もともとは社長が古時計を譲り受けたことからはじまりました。
――家具だけでなく、照明もいくつもあって目を引きます。
サカイさん:あの照明も、知り合いの業者さんが倉庫を閉めるときに、「こういうものを必要としてくれるのは、カワサキさんしかいないだろう」と譲ってくださったものです。
――ここがお店だとは、ぱっと見では気づかないですよね。
サカイさん:お店をはじめるまでは、ここに設計事務所があることも知られていなかったと思います。社長も私も現場に出ていることが多いので、地域との関わりがほとんどなくて。でも「お店をはじめます」とお知らせしてからは、「どんな人があの建物にいるのか気になっていたんだよ」と、ご近所さんたちが温かく受け入れてくれました(笑)
――昭和の雰囲気が漂う建物に、懐かしさを感じますね。
サカイさん:この建物には3年ほど前に越してきました。もとは縫製工場として営まれていた場所で、2階の事務所にはまだミシンが数台残っています。空き家になるとき、この通りで商売をしている社長の知人から「せっかくの建物がもったいない。残すにはカワサキさんしかいない」と頼まれたんだそうです。


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社長から託された、新しい居場所。
知らなかった自分に出会う。
――古家具のお店をはじめることになったのは、どうしてでしょう?
サカイさん:「自然と集まってきたアイテムを並べて、お店を開いたら面白いだろうね」という話は以前からあったんですけど、誰が店長職を担うのかまったく見当がつかずにいました。私も消極的だったというか、まさか自分が店長になるなんてぜんぜん想像していなかったんです。
――でも次第に気持ちに変化が?
サカイさん:少し前に体調を崩して、しばらく会社をお休みさせてもらっていました。復帰したとき、社長が「環境を変えてみたらどうだろう」と、それまでの建築アシスタント業務を少し減らして、「古箪笥川崎」の店長という新しい仕事を託してくれました。誰でも一度は「自分のお店を持ってみたい」という夢を持ったことがあるんじゃないかと思うんです。お話を聞いて、「私がそんな大役を任せてもらっていいんですか」と気持ちが高まっていきました(笑)
――どうですか? 店長のお仕事は?
サカイさん:思った以上に楽しめています(笑)。社長から「好きにやってみて」と任せてもらったので、イベントを企画したり、コラボアイテムを作ったり、思う存分挑戦させてもらっています。
――ほぉ、イベントも。
サカイさん:お店に来てもらうだけじゃなくて、「何かを楽しめる場所」にしたいと思っていて、先日は近くのコーヒーショップさんとのコラボ企画を開催しました。次は、おすすめの本を紹介する時間を計画中です。イベントを開催するたびに、「この辺りって素敵な人ばかり」と嬉しくなります。
――そもそもサカイさんは、どうして「カワサキジムショ」さんにお勤めすることにしたんですか?
サカイさん:社長が造る住宅って、ちょっと古民家チックで、懐かしくて落ち着くお家ばかりなんです。そういう雰囲気が好きで、入社を決めました。それに建築家ってスマートなイメージがあったんですけど、社長はとても人間臭いというか、人とのつながりをとても大事にしているんですよね。ものづくりだけじゃなく、人との向き合い方も含めて尊敬しています。
――きっとカワサキ社長は、サカイさんが楽しんで店長業をされている様子を喜ばれていますね。
サカイさん:「予想以上の動きをしている」と驚かれました(笑)。アルバイトもマニュアルがしっかりしている大手チェーン店でしか経験していなかったので、「0から1を作り出す仕事が私にできるのか?」と不安だったんですけど、案外こういう仕事が好きみたいです。自分でもびっくりしました(笑)


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その傷もシールの跡も、
家具だけが知る物語。
――「古箪笥川崎」さんで扱っている古家具は、大量生産されたものとは別の温かみがありますね。
サカイさん:当社にご依頼くださるお客さまは、古箪笥などを大切に使っていらっしゃる方が多くって。長い間、愛情深く使われてきた家具のありのままの姿を見ていただきたいと思っています。箪笥はお掃除だけを済ませた状態で並べていて、あえて修理はしていません。シールの跡や傷にも惹かれるものがあるんですよね。そういうところから「自分だけのお気に入りポイント」を見つけてもらえたら嬉しいです。
――傷や跡も含めて、その家具だけの個性として楽しめるのが面白いですね。
サカイさん:古い箪笥や時計、レトロな照明も、空間の「顔」になるアイテムです。箪笥の引き出しが故障していて、収納としての使い勝手はイマイチだけど飾り棚として使いたい、などのご相談をいただくこともあります。暮らしに重厚感や温かみを与えてくれるところも、古家具ならではの魅力です。
――どういう人に「古箪笥川崎」を楽しんでもらいたいですか?
サカイさん:古い家具に興味があるかどうかは関係なく、ここに来たら「ついつい好きなものを見つけたくなる」お店にしたいと思っています。実用性だけではなく、置いてあるだけで空間を楽しませてくれるものがそろっていることを知ってもらいたいです。
――最後に、店長としての意気込みを教えてください。
サカイさん:お店ができた理由が、「社長のコレクションが増えてきて」というところからなので、商品を販売することだけが目的ではありません。ここで会話が生まれたり、イベントを催すうちに、みなさんの好きなものが見つかるといいな、と思っています。私自身が「好きなもの」を見つけることで救われてきた人生だったので、同じようなきっかけをこの場所から届けたいんです。


古箪笥川崎
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