地元の人たちに愛され続ける肉料理のお店「箱岩」。

小さな人気店の秘密を店主の箱岩さんに聞く。

新津駅にほど近い商店街に「箱岩」という肉料理のお店があります。駐車場もなく、そんなに大きな店でもないのに、ランチタイムにはつねに混雑している人気店。なぜ、そんなに人気があるでしょうか?その秘密を探るべく、ランチタイムの終わり際にお店にうかがって、店主の箱岩さんにお話を聞いてきました。

 

 

箱岩

箱岩 裕二 Yuji Hakoiwa

1963年新潟市秋葉区生まれ。有限会社はこいわ代表。東京の洋食店で5年修行した後、新潟に戻って「箱岩」を継ぐ。趣味はゴルフと街中華めぐり。あっさり系のラーメンが好きで、自分でもラーメン店をやりたいと言っているほど。

 

さまざまなお客さんの人生に関わっているお店。

——今日はよろしくお願いします。まだお客さんが何人も残っていますね。いつもはどんなお客さんが多いんですか?

箱岩さん:平日はランチで利用するサラリーマンが多いです。ですからランチタイムはサラリーマン向けのメニューになっていて、レギュラーメニューをお休みさせてもらってます。土日になると家族連れが多くなるので、ファミリー向けのメニューを用意しています。たとえば、お子さんでも食べられるミニサイズメニューとかですね。

 

——お座敷もあって家族連れも来やすいお店ですよね。そもそも、こちらのお店はいつから営業しているんですか?

箱岩さん:料理店としては昭和45年に創業しました。新潟県が豚肉消費量で全国ベスト3に入る頃だったんですよ。その前は戦後間もなくから続いていた、コロッケやとんかつとかの惣菜も売っている精肉店でした。創業時にはすき焼きを出したり、入り口が2階にある料理店なんかお客が入らないって言われたそうです。実際、営業が軌道に乗るまで数年かかったんじゃないでしょうか。

 

——歴史が古いお店だけあって常連さんが多いイメージですよね。

箱岩さん:最近はSNSの影響なのか初めてのお客さんが増えてきましたね。もちろん、昔から来てくれている常連のお客さんは多いですよ。とてもありがたく思ってます。

 

——そんな常連さんのエピソードで印象に残っていることはありますか?

箱岩さん:よく来てくれる60歳くらいの夫婦がいたんです。旦那さんの初月給で初めてデートしたのが、うちの店だったそうです。結婚した後もお子さんやお孫さんを連れてきたりしていました。でも、先日奥さんが来られたときに旦那さんが亡くなったと聞いたんです。それを聞いて、一人の女性の人生にお店として関わってこれたのかなって思いましたね。

 

——なんか感動しちゃいましたけど、老舗ならではのエピソードですよね。

箱岩さん:長くやってると、お客さんも何代にもわたって来てくれたりしますよね。子どもの頃、うちの店に食事に来ていたっていう30代の男性が、何十年かぶりに来店してくれたんです。「こんなに小さいお店でしたっけ?」ってしきりに言ってました。子どもの目線で見ると、うちの店も大きく見えていたんでしょうね(笑)

 

胸焼けせず食べ飽きしないように作っているとんかつ。

——「箱岩」さんのおすすめメニューを教えてください。

箱岩さん:一番多く出るのは「とんかつ定食」と「かつ丼」ですね。「とんかつ定食」を1日中作っているみたいな時期もありました。とんかつには新潟県産の豚肉を使っています。精肉組合に入ってるから卸価格で仕入れることができて、リーズナブルに食べてもらうことができるんですよ。じつはメニューに表示してある重量より多めに出しているんです(笑)

 

——多め!すごい。もともとお肉屋さんだった強みですね。調理でこだわっていることってありますか?

箱岩さん:胸焼けしなくて食べ飽きないよう、とんかつを揚げる油にはこだわっています。それから、とんかつの衣の、目の細かいドライパン粉をさらに手でもんでもっと細かくしてから使っています。そうすることで、油を吸いにくい衣になるんですよ。

 

 

——いろいろ気を使っているんですね。とんかつの他に人気のあるメニューを教えてもらっていいですか?

箱岩さん:豚肉の照り焼きをご飯の乗せた「肉丼」でしょうか。ブラックペッパーを強めに振りかけて、スパイシーな味付けにしてあります。あまり人気がなかったので、しばらくお休みしていたんですが、10年くらい前に目玉焼きをトッピングしてみたら人気が出たんです(笑)

 

——ちょっとしたことで人気が出たりするんですね(笑)。それともタイミングの問題なんでしょうか?

箱岩さん:「スパかつ」っていう、ナポリタンととんかつのセットも人気がいまいちでお休みしていたメニューです。ところが3年前に復活させてみたら人気が出たんですよ。時期やタイミングっていうのもあるんでしょうね。

 

1年のうちに2回手術したものの、たった2ヶ月でお店に復帰。

——箱岩さんは2代目なんですよね。最初からお店を継がれたんですか?

箱岩さん:洋食店で働きながら5年ほど東京で生活してました。若かったから東京での暮らしが楽しかったんですね(笑)。いろいろあって22歳の頃に新潟へ帰ってきて実家の「箱岩」で働き始めたんです。当時のコックさんたちからお店の味を教わりました。

 

——それからずっと「箱岩」の味を守ってきたんですね。長くやっていて職業病のようなものってありますか?

箱岩さん:職業病じゃなくて本当の病気になったことがあったんですよ。3年前に腸が破裂しちゃって、1年のうちに2回も手術することになったんです。でも、お店が気になってしょうがなかったので、2ヶ月後には厨房に復帰してました。もちろん立ってられないから、座って料理してましたけど。

 

——大変だったんですね…。今は大丈夫なんでしょうか?

箱岩さん:おかげさまで大丈夫です。今年の3月に、中央区のステーキ店で働いていた長男が「箱岩」の厨房に入ってくれて、今はお店の味を教えているところです。3代目として「箱岩」を続けていってほしいですね。

 

——今後はどのようにお店を続けていこうと思っていますか?

箱岩さん:とくに新しいことをしようとは思っていません。代々続いてきた王道のメニューを、これからも守っていけたらいいですね。

 

 

昭和45年から新津の商店街で代々続けてきた肉料理のお店「箱岩」。地元の人たちから長く愛され、それぞれの思い出に関わっていることも多いのではないでしょうか。現在2代目から3代目にお店の味が受け継がれつつあり、これからも地元の人たちに愛される店として続いていくことでしょう。

 

 

箱岩

〒956-0864 新潟県新潟市秋葉区新津本町3-11-10

0250-22-4516

11:30-14:00/17:30-21:00

水曜休

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