僕らの工場。#37 ここでしか作れない贅沢なニット「no+af」。
僕らの工場。
2022.11.27
日本で唯一稼働している特殊な編機で編み立てた”FF30G”ニット。細かく整った美しい編み目と抜群の伸縮性が特徴の上質なニットです。そんな”FF30G”ニットをメインに展開しているニットブランド「no+af」のブランド事業に携わっている内藤さんに、入社のきっかけやモノづくりへの思いなどいろいろお聞きしてきました。

no+af
内藤 貴政 Takamasa Naito
1985年三条市生まれ。高校卒業後、服飾系の大学に進学。卒業後はアパレル業に就職し、カットソーの企画を担当。
洋服作りを依頼する側から、依頼される側への転職。
――まずは入社の経緯を教えてください。
内藤さん:2011年の大震災をきっかけに地元に帰ってきました。新潟県内でアパレルの仕事ができると思っていませんでしたし、「あったとしても販売くらいだろうな」という気持ちだったので、アパレル業界で働くのは諦めて違う仕事をしようと思っていたんです。でも、そんなときに前職の常務から「第一ニットマーケティング株式会社」を紹介してもらって見学することになりました。紹介された手前、「見学くらいは行かないと」と思って行ったんですけど、そのとき聞いたお話に感銘を受けて入社させてもらうことになりました。
――入社当時はどんなことを?
内藤さん:会社自体はOEMをずっと行っていて、アパレルブランドさんから仕様書をもらってセーターを作る仕事をしていました。僕は営業として入社して、アパレルのデザイナーさんと工場の現場の橋渡し役として動いていました。
――入社してから苦労したことはありますか?
内藤さん:前職は工場に依頼を出す側だったんですけど、今度は立場が逆転して依頼を受ける側になりました。先方の希望通りにできることとできないことがあるので、その辺の歯がゆさは感じましたね。例えば「FF30」っていう日本だとうちしか所有していない古い機械があるんですけど、今流行りの大きいシルエットのものが作れなかったり、柄が入れられなかったりします。最新の小型機械であれば簡単にできるようなことも、機械的に難しいっていうことがあるんです。「FF30を使いたいけど柄を入れたい」「大きいシルエットを出したい」ってなると全部を叶えることは難しいんですね。この辺りをお客様にしっかり理解して納得してもらうのが難しい部分ではありましたね。

――FF30って「ジョンスメドレー」を作るときに使われている編機って聞いたことあります。
内藤さん:よくご存知ですね。新規のお客様からしても「第一ニットってFF30のメーカーだよね」っていうイメージがやっぱ強いんです。なのでうちに依頼をくれる新規のお客様からは「FF30を使いたい」っていう要望が多いですね。

お客様の期待以上のものが作れたときに、やりがいを感じる。
――どんなときにやりがいを感じますか?
内藤さん:お客様の期待以上のものを作りだせたときですね。例えばニットは平面のものなんですけど、うちでは着たときに立体になるようなパターンで作っています。昔からデザインものよりベーシックなものを多く作ってきていますが、ベーシックなものってパッと見で差別化できないから、つい安いもの買ってしまいがちになると思うんです。じゃあどうやったらベーシックなもので勝負できるかって考えたときに、やっぱり着心地とか風合いで差別化していくしかないなって。日本製でわざわざ高いものを作る意味ってそこにあると思っています。
――ベーシックだからこそ、作り手のこだわりが細部に表れるわけですね。ところで、自社ブランドの「no+af」はどんな経緯でできたんでしょうか。
内藤さん:コロナ以前からアパレル業界全体の勢いがちょっとなくなってきていて、うちもその影響を受けてOEMの受注が減っていたんです。「OEMに頼っているだけではダメだ」ということでファクトリーブランド事業に力を入れるようになりました。「自社のファクトリーブランドを作っていかなきゃいけないよね」って話は、かなり前から常々出てはいたんですけどね。「no+af」を立ち上げたのは2020年秋冬で、その1年くらい前から企画をはじめた感じですね。
デザインはベーシックにこだわり、着心地などの質で勝負する。
――「no+af」のコンセプトを教えてください。
内藤さん:「ユニセックス/ジェンダーレス」っていうところはひとつのコンセプトですね。夫婦とかカップルで同じものをシェアできるようなイメージです。女性が着たら少しゆったりめのサイズにはなるんですけど、ちょうど世間的にも大きいサイズが流行りだした頃だったのもあったし、ベーシックなので長く着てもらいたいっていう思いもありました。

――FF30を使って編んだニットがメインなんでしょうか。
内藤さん:立ち上げ当初は使っていなかったんですけど、今はFF30を主軸にしています。ジャケットとかコートっていうのはブランドを認知してもらうために見せるアイテムとしてスタートしたんですけど、やっぱり「ベーシックのFFを認知してもらいたい」っていうところで徐々に比率を変えていきました。
――いつ頃からFF30に切り替えていったんですか?
内藤さん:ブランド2年目くらいからですね。アイテム構成の比率も軌道修正しながら、よりシンプルに特化していった感じです。実際に手に取って着てもらわないと良さなかなか伝わらないんすけど、私たちとしてはそれでいいと思っています。ブランドものだから着るっていうのではなくて、着心地とかを気に入って長く着てもらいたいですね。去年はFF30と初年度のシリーズを半々くらいでやっていましたけど、今年はFF30の比率をさらに増やして展開しています。当面はデザインではなく質で勝負していくつもりです。

――お客さんの反応はいかがですか?
内藤さん:リピーターになってくれるお客様も多いです。実際売れるようになってきているので自信を持っていきたいなと思います。お客さんからは「去年は黒を買ったから今年は色違いを買いたい」とか、同じシーズン内でも「よかったから色違いを買いにきた」っていう声がありますね。ハマる人にはハマるんだなって実感しています。SSはコットン100%、AWはウール100%で作っていて素材にもこだわっています。FF30に合う素材を特注で作っているんです。
薄いのにタフ、伸縮性があって型崩れしにくいFF30ニット。
――他にもFF30ニットの特徴があれば教えてください。
内藤さん:薄いけどタフなところがいいですね。伸縮性があるのでヘタれにくいし型崩れしにくいです。薄いのでインナーとして使えるし、1枚で着ても高級感があるので使いまわしがききます。カジュアルだけどジャケットインとかしてもドレスニットとして立ち振る舞いができるニットです。FF30のよさって満足度だと思うんです。人から褒められたり、着心地もよければ満足度が高まりますよね。

――「no+af」のニットはどちらで購入できるんでしょうか。
内藤さん:新潟県内だと伊勢丹さんで常設してもらっていますし、鳥屋野にあるS.H.Sの「BLOOM shoe lounge」さんではポップアップで置いてもらっています。県外だと京阪百貨店さんとかですね。ネット販売はまだ行っていなくて、今は再構築し直している最中です。「no+af」のホームページからお問い合わせいただければ、ご案内ができるかと思うのでぜひお気軽にお問い合わせください。

no+af
TEL: 0258-66-4513
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