僕らのソウルフード。新潟みやげの定番、笹だんご。
ソウルフード・食べる
2019.06.05
「田中屋本店」さんで、笹だんごのあれこれ教えていただきました!
昔は、新潟のどこの家庭でも手作りされていたという笹だんご。現代では、新潟らしい手みやげの定番になっています。笹だんごがいつ頃からおみやげとして売られるようになったのか。笹だんごの由来やおいしく食べる方法などを、「田中屋本店みなと工房」の田中支配人にお聞きしました。

田中屋本店みなと工房
田中幸江 Yukie Tanaka
神奈川県生まれ。田中屋本店販売部長兼みなと工房支配人。昭和56年、大学の同級生だった田中屋本店の3代目社長との結婚を機に新潟へ移住。3人の子どものお母さん。現在、本業と平行してボランティア団体などの活動を続け、世界規模の奉仕活動団体「国際ソロプチミスト」など7団体で活動している。
笹だんごの生みの親は新潟の有名な戦国武将?
新潟のソウルフード・笹だんご。新潟に住んでいたら、誰もが一度は食べたことがあるはずです。そんな笹だんごが生まれた由来には、いくつかの説があるのをご存じですか? ひとつは上杉家に由来する説。「戦国武将の上杉謙信が考えた」という話は有名ですが、「謙信自身ではなく、家臣、または家臣の菓子役人が考えたのではないか」とする話もあります。ただ、謙信の拠点・上越地方では笹だんごを作る習慣がなかったことから、この上杉家発祥説の信憑性を疑う人も少なくありません。もう一説は、庶民によって作られるようになったというもの(時期は不明)。笹だんごの材料がすべて野山で手に入る身近なものであることから、元々庶民の味であると考られるのだとか。このようにはっきりした由来はわかっていないものの、今日まで新潟の人たちに愛され続け、現在では新潟みやげの代表になっている笹だんご。なかでも「田中屋本店」は、笹だんごをメインに作っているお店として、県内外を問わず高い知名度があります。

「田中屋本店」が、笹だんごで有名になったわけ。
「田中屋本店」のルーツは、昭和6年に古町で創業した「田中屋」。饅頭や大福をはじめ、カステラ、生菓子などの式菓子、クリスマスケーキ、アイスキャンデーなど様々なお菓子を製造販売していたそうです。その当時はまだ、笹だんごは節句などの行事に各家庭で作るのが一般的だったので、「田中屋」でも頼まれた時に限って作るくらい。普段は製造販売していませんでした。ちなみに笹だんごが「新潟のお土産」として認識されるようになったのは、昭和39年に開催された「第19回国民体育大会(新潟国体)」がきっかけ。新潟県のお土産として笹だんごを推奨する動きがあったからだそうです。「田中屋本店」も、その流れで笹だんごを扱うようになりました。(「田中屋」が「田中屋本店」という店名になったのは昭和36年のこと。この「本店」というのは暖簾分けした分店と区別するためだったそうです。)

2代目社長によって、多店舗展開をはじめた「田中屋」。その頃から米を原料にした商品を中心に製造販売するようになっていきました。「これからの時代、あまりいろいろな商品に手を出していては生き残れない。」という考え方があったためです。米にこだわったのは、米どころ新潟のお店ということもあったのだと思います。大福や餅菓子はもちろん、笹だんごなどのだんご類も餅米で作られています。
その後、昭和48年、新潟市江南区への工場移転を機に、おにぎり、おこわなどの製造販売もスタート。現在の3代目社長は、米を使った商品の中でも笹だんごに焦点をしぼり「笹だんごの地域一番店を目指す」という目標を立て、笹だんごの製造と販売に力を入れます。それによって「田中屋本店」の笹だんごは有名になっていきました。

信濃川を望む多目的笹だんごスペース「田中屋本店みなと工房」。
工場移転後も、古町の店舗には笹だんごの工場が残っていました。しかし、老朽化などにより食品工場としては限界を迎えつつあり、広くてきれいな笹だんご工場が望まれるようになりました。平成16年に新潟市中央区にオープンした店舗が、田中さんが支配人を務める「田中屋本店みなと工房」です。場所は信濃川をはさんで朱鷺メッセの向かい側。さまざまな理由を考えて場所を決めたそうですが、目の前に新潟のシンボルである信濃川が流れているロケーションがとっても素敵。そのロケーションを最大限に生かすため建物は全面ガラス張りにし、工場と店舗を併設する形態を取りました。「笹だんご屋」のイメージからはほど遠い建物なので、建築中当時、建物を見た人たちの中にはカーディーラーのショールームを作っていると勘違いしていた人もいたそうです。

「田中屋本店みなと工房」には、笹だんご工場、販売店の他に、「笹だんご講座」として笹だんご作りを体験できるセミナールームがあります。笹だんごを新潟の食文化として知ってもらおうという思いで始めたもので、現在では年間に170件も講座を開催しているそうです。講座で使っていないときはイートインスペースとして、信濃川や朱鷺メッセを眺めながら笹だんごやおにぎりを楽しむこともできます。

もっとおいしく食べる技。おいしさを復活させる技。聞きました。
「田中屋本店みなと工房」支配人の田中さんに、笹だんごをさらにおいしく楽しむことのできる食べ方、あまり知られていない食べ方をお聞きしました。
まずは、買ってきた笹だんごのおいしい食べ方。オーブントースターに、笹に包まれたままの笹だんごを入れます。3〜5分ほど焼くとよもぎの香ばしい香りと味、もちもちの食感を楽しむことができるそうです。つぎに、時間が経って固くなってしまった笹だんごのおいしさを復活させる食べ方。電子レンジを使って温めるのが一番手軽ですが、ラップで包んで加熱するのではなく、笹だんごを入れた丼に水を満たし2〜3分温めるのがベストだとか。すると、蒸したてと同じくらい、ふっくらやわらかに仕上がるそうです。蒸したてなんて、めったに食べらるものじゃないので、ちょっと試してみたくなる裏技です。

「田中屋本店」の笹だんご5種類と、観光客に人気の商品。
現在、「田中屋本店」で作っている笹だんごは5種類。スタンダードな「つぶあん」、「こしあん」。きんぴらごぼうが入った「きんぴら」。佐渡沖の「あらめ」という海藻を、くるみ、ひじきなどと甘辛く煮た具材の入った「あらめ」。そして、新潟県産の食材にこだわり黒埼茶豆であんを作った「茶豆あん」。平成20年度の「新潟市土産品コンクール」の菓子部門金賞を受賞し、定番商品にも引けを取らない人気です。

笹だんごの他には「きんぴらだんご」が人気。このきんぴらごぼうの入っただんごは新潟にしかないそうです。観光客に人気があり、新潟に来るたびに買っていく人がいるとか。ちなみに「田中屋本店みなと工房」限定で、醤油だんごの醤油だれを温かいものにしてくれます。イートイン利用の方はもちろん、テイクアウトのお客さんにも対応してくれるので、温かいたれで食べたい人は注文してみてくださいね。

これから「田中屋本店」が取り組んでいきたいこと。
「藤五郎梅とか越後姫のような地元の食材や、季節の食材をふんだんに使った大福や餅菓子などを作っていきたいですね。あと、近年は食物アレルギーのお子さんなども増えてますので、小麦アレルギーに対応して、グルテンフリーの商品を増やすことも考えています。『茶豆笹だんご』のような、新しい笹だんごのバリエーションも作ってみたいです。」と田中さん。昔ながらの製法にこだわったお菓子の歴史に、新たに変わるニューフェイス。これからの新商品が楽しみです。

ソウルフードとして新潟を代表する笹だんご。作っている会社やお店が意外と少ないように感じました。そんな中、笹だんごを販売するだけではなく「笹だんご講座」などを通じて、新潟の食文化のひとつとして紹介している「田中屋本店みなと工房」。これからも新潟土産としての笹だんごを盛り上げていってほしいと思います。新しい味の笹だんごにも期待が高まります。


田中屋本店みなと工房
新潟県新潟市中央区柳島町1-2-3
025-225-8822
9:00 — 18:00 ※12月~2月は9:00 — 17:30
無休
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