新潟市西区の寺尾台にあった「らーめん源次郎」が、新潟バイパス新通インターチェンジ近くに移転し、昨年12月から新築した店舗で営業をはじめています。落ち着いた雰囲気のお洒落な新店舗にお邪魔して、店主の今泉さんから移転の理由を含めたお話をいろいろと聞いてきました。なかでも独学でラーメン作りを覚えたという、驚きの事実が……!
らーめん源次郎
今泉 圭一 Keiichi Imaizumi
1980年新潟市西区生まれ。製菓専門学校を卒業し、イタリアンレストラン、アパレルショップ、携帯ショップ、家具店、焼肉居酒屋で働く。知り合いが営む惣菜店「山小屋」を間借りして週末限定のラーメン店をはじめ、2012年に寺尾台で「らーめん源次郎」をオープン。2022年には建物の老朽化に伴い新通に移転オープンする。趣味はスポーツ鑑賞全般で、フィギュアなどを集めることが好き。
——今さらですけど、リニューアルオープンおめでとうございます。お店も駐車場も広いんですね。
今泉さん:ここは農家をやっている実家の土地なんです。畑や小屋があった場所にお店を作らせてもらったんですよ。協力してくれた両親にはとても感謝しています。
——そうだったんですね。バイパスのインターチェンジも近くて、車でも来やすい場所じゃないですか。
今泉さん:以前は寺尾台にある物件を借りて営業していたんですけど、建物の老朽化に伴って移転しなければならなくなったんです。条件に合った物件がなかなか見つからなかったので、思い切って店舗を新築することにしました。
——それは大変でしたね。そもそも、今泉さんはどこのラーメン店で修業をしてきたんですか?
今泉さん:実は僕、ラーメン店で修業をしたことがないんですよ(笑)
——えっ! じゃあ、どこでラーメンの作り方を覚えたんですか?
今泉さん:まあ、全部独学で……。
——そのあたりのお話を詳しく聞いていいでしょうか? ラーメン以外の飲食店で働いてこられたっていうことですか?
今泉さん:元々ラーメンを含めて食べることが好きだったんです。料理を作るのも好きで、ときどき家族の食事も作ったりしていました。それで料理人になろうとイタリアンレストランに勤めたんですけど、自分にとって料理っていうのは、仕事として作るよりもお客さんとして食べに行くものなんだなって思えてきたんです。
——好きなことを仕事にできないタイプだったんですね。
今泉さん:若かったこともあって、そのときはそう思ったんですよね。それからはアパレルショップ、携帯ショップ、家具店で販売スタッフとして働きながら、自分が本当にやりたいことを探しました。そうしているうちに、いつかは自分の店を持ちたいと思うようになっていたんです。
——それでラーメン店を?
今泉さん:そうですね。実家で作っている生産物を使って商売ができたら素敵だなと考えていたら、ラーメン店が思い浮かんだんです。僕自身、ラーメンが大好きだったので、家でもラーメンを自作していたほどなんです(笑)
——ラーメンって、家庭でも作れるんですね。
今泉さん:テレビ番組で得た知識を元に、家庭用コンロと鍋を使ってスープ作りをしていました。角煮を作ったタレを元にラーメンの返しを作ったらめちゃめちゃ甘い味になってしまって、自作ラーメンの第1号は大失敗に終わりましたけど(笑)
——あらら……。でも、そこで諦めようとは思わなかったんですね。
今泉さん:そのラーメンは当然家族からも不評だったんですが、唯一ばーちゃんだけは「うんめぇ、うんめぇ」って喜んで食べてくれたんです(笑)。それが嬉しくて「もっと美味いラーメンを作りたい」って思えたことで、その後もラーメン作りを続けてこられたんですよね。
——独学で覚えたラーメンで、いきなり「らーめん源次郎」をはじめちゃったんですか?
今泉さん:その前にJR関屋駅前の小さな惣菜店をやっている知り合いから、週末の定休日だけ家賃も光熱費もなしで店舗を貸してもらって、週末限定でラーメン店を営業していたんです。
——すごく条件のいいチャレンジショップみたいな感じですね。でもその場所って、すぐ目の前に人気ラーメン店がなかったでしたっけ?
今泉さん:そうなんですよ(笑)。しかも同じ背脂醤油ラーメンを提供しているっていう……(笑)
——なかなかのチャレンジャーですね(笑)。実際にラーメン店を営業してみて、いかがでした?
今泉さん:リアルなお客様の感想が聞けて勉強になりましたね。その声を参考に日々ラーメンをブラッシュアップしていました。おかげで毎週通ってくれる常連のお客様もできて、とても励みになりましたね。でも惣菜店が閉店することになったので、2012年に独立して「らーめん源次郎」をオープンしたんです。
——いよいよ自分のお店を本格的にオープンしてみて、いかがでした?
今泉さん:いろいろ大変でしたね。想像以上にたくさん贈っていただいた祝花を見て、だんだん緊張してきました(笑)
——お祝いや応援で贈るものなのに、プレッシャーを与えることになってしまったんですね(笑)。
今泉さん:そうなんです。あまりのプレッシャーからか、味覚がおかしくなってしまって、何を食べても酸っぱく感じるようになってしまったんです(笑)。
——そんなことってあるんですね(笑)。他にも大変だったことはありますか?
今泉さん:それまでは家庭用のコンロや鍋でラーメンを作ってきたので、業務用の五徳や寸胴を使ってラーメンを作ることに慣れるまで手こずりました。スタッフを使うのもはじめてだったので、何から教えてどう指示を出したらいいのかもわからなかったんです。「背脂醤油らーめん」をはじめ「けにじろう」「油そば」の3種類でスタートしたんですけど、手が回らなくて1〜2ヶ月は「背脂醤油らーめん」だけにメニューをしぼって営業していましたね(笑)
——最初は本当にめちゃめちゃ大変だったんですね。
今泉さん:そんな困難を乗り越えて10年近く営業することができたのも、応援してくださったお客様のおかげですね。
——お店を新築する際は、どんなことにこだわったんでしょうか?
今泉さん:「和モダン」っていうんでしょうか……。お洒落な町屋のイメージで作ってもらいました。落ち着いた和の雰囲気にすることで年配のお客様も入りやすいし、お洒落な雰囲気にすることで若いお客様にも来ていただけるんじゃないかって思ったんです。
——窓の格子や木目を生かした調度、白い壁なんかに古民家のイメージが感じられますね。
今泉さん:ありがとうございます。カウンターやテーブル、小上がりも用意しておひとり様からファミリーまで、いろんなニーズのお客様に対応できるようにしました。新築だと予算内でいくらでも好きなように作れちゃうから、かえって難しかったですね。
——移転して変わったことはありますか?
今泉さん:場所が変わったことで新規のお客様が増えましたね。今まではおひとりのお客様が多かったんですけど、駐車場が広くなったせいかファミリーやカップルのお客様が増えました。
——環境に応じて客層も変わるんですね。人気があるのは、どんなラーメンなんでしょうか?
今泉さん:看板メニューの「背脂醤油らーめん」をしのいで、「けにじろう」が人気なんですよ。俗に言う「二郎系ラーメン」を自分流にアレンジしたラーメンなので「二郎系ラーメン」だと思って食べると、驚く方も多いかもしれません。うちのは細麺を使っているので、麺に合わせてスープやチャーシューもややあっさりしているんです。トッピングにも長ネギを使っているのでさっぱりして食べやすく、女性でもペロリと食べられちゃうんですよ。
——「源次郎」だけに「二郎系」ではなくて「次郎系」なんですね。移転オープン後の反響はいかがですか?
今泉さん:おかげさまで多くのお客様にご来店いただいています。テイクアウトメニューの販売や限定ラーメンの提供もはじめたいんですけど、今はまだ余裕がなくてなかなか手をつけられない状況なので、落ち着いてきたら徐々にはじめていきたいと思っています。
らーめん源次郎
新潟市西区新通2803-1
025-260-1777
11:00-15:00/17:30-22:00(火曜は午前のみ)
水曜、第3木曜休