居酒屋から焼きそば専門店に生まれ変わった、西蒲区巻の「YAKISOBAとも」。
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2025.07.12
新潟市西蒲区の住宅街に、新潟では珍しい焼きそば専門店があります。「YAKISOBAとも」のメニューは、塩焼きそばとソース焼きそばの2種類のみという潔さ。茹でたての麺でつくる焼きそばは、ほかでは味わえない食感と小麦の風味を感じます。前身である居酒屋から20年、店主の長沼さんに焼きそばへのこだわりとお店を続けるコツを聞いてきました。

YAKISOBAとも
長沼 知美 Tomomi Naganuma
新潟市西蒲区出身。学校を卒業後は地元の建設会社で6年間勤め、2003年に母と「和風ダイニングとも」をオープン。以来、親子ふたり二人三脚で営業し、20年の区切りで業態を焼きそば専門店に変更。2023年9月に「YAKISOBAとも」をオープンした。3児の母で、休日は子どものサッカーを見学するのが楽しみ。
北海道産小麦100%、もちもち食感の平打ち生麺が自慢。
――メニューは塩焼きそばとソース焼きそばの2種類なんですね。
長沼さん:うちはメニューを絞って提供しています。出来立て熱々の焼きそばを食べてもらいたいので、注文をいただいてから生麺を茹でて、鉄板で一気に焼き上げるんです。

――へえ、麺もその場で茹でるんですね! 麺は平打ち麺ですが、焼きそばでは珍しいですよね。
長沼さん:小麦の味ともちもちの食感を楽しんでもらいたいので、平打ち麺にしています。麺はThingsさんの記事にも載っていた太洋軒製麺所さんにつくっていただいているんです。
――ほかにもこだわりの部分があれば教えてください。
長沼さん:味付けのベースはおたふくソースですが、ブレンドしたオリジナルソースを使用しています。焼きそばってガツンと濃いものが多いんですが、新潟の人の味覚に合う味付けにしました。豚肉は鉄板で焼いてからオリジナルソースとは別のタレに漬け込んでいるので、炒めた野菜との相性も良くて飽きずに食べられると思います。

――なぜ焼きそば専門店をオープンしようと思ったんですか?
長沼さん:新潟ってラーメン屋はたくさんあるけど、焼きそばを食べられるお店ってなかなかありませんよね。ご家庭の味やお祭りの特別感もいいんですけど、近くに1軒くらい本格的な焼きそばを食べられるお店があってもいいんじゃないかなと思ったのがきっかけです。
――もともと長沼さん自身も焼きそばがお好きだったとか?
長沼さん:いや、実はそうでもなくて(笑)。居酒屋から別のお店をやろうと思ったときの選択肢のひとつが焼きそばでした。でも調査を兼ねていろんな焼きそばを食べ歩いたときに、あるお店で食べた焼きそばがとても美味しくて感動したんです。その焼きそばのおかげで、お店をやる決意が固まりました。

細かいことは気にしない、おおらかな性格の親子でお店を切り盛り。
――「YAKISOBAとも」は親子で営業されていますよね。居酒屋のときも、ふたりで切り盛りされていたんですか?
長沼さん:はい、母とふたりではじめました。前のお店では料理を母がつくって私はそれ以外の配膳や接客を担当でした。
――長沼さんはその間、お子さんを育てながらですよね。大変じゃなかったですか?
長沼さん:私が出産や育児で毎日お店に出られない期間もあったので、アルバイトの子に来てもらっていました。みんな本当に良い子たちばかりで、歴が長い子だと8年くらい勤めてくれましたね。
――長く働ける良い職場だったのですね。
長沼さん:アルバイトの子に本当に恵まれたなと思ってます。うちの常連さんと結婚して、寿退職した子もいるんですよ。

――親子でお店に立っていて、喧嘩したり意見が食い違ったりすることはなかったですか?
長沼さん:それがあんまり思い当たらないんですよね。忙しいときにお互いイラッとしたり口調がキツくなったりはあるんですけど、喧嘩することはほぼなかったと思います。ふたりとも、あんまり深く考えないタイプなので。
――こうしてお話していても、ふたりの穏やかな様子がわかります。長沼さんから見て、お母さんのいいところってどこですか?
長沼さん:フラットなところですね。誰がいいとか悪いとか嫌だとかそういう感覚がないですし、ずーっと自然体なんです。あんまり物事を引きずらないところは、私も受け継いだところがあるかも知れません。

訪れたお客さんがホッとして、少し幸せな気分になれるお店にしたい。
――ラーメン屋や焼きそばのお店って回転率をよくするイメージがありますが、ここはのんびり過ごせそうですね。
長沼さん:コンセプトとして、居心地の良いお店づくりをしたいと思っています。だから小上りも居酒屋のときのままですし、子連れの方にものんびり過ごしてほしくて、うちはひとり1品頼んでね、という制限もありません。お子さまやご友人同士でのシェアもOKです。

――玄関や小上りの雰囲気が何となく懐かしいような気分になります。
長沼さん:「実家に帰ってきたみたい」とたまにお客さんに言われます。焼きそばが美味しいのはもちろんですが、食べて、過ごして、少し幸せな気分になれるお店にしたいんです。

――今、お店をやっていて一番大変だと感じることってなんですか?
長沼さん:とにかく暑いことですね。夏場はクーラーをつけていても鉄板の熱気で厨房が灼熱です。
――熱中症、本当にお気をつけください……。
長沼さん:ほかには、お店が忙しくてお待たせしてしまうのが心苦しい部分です。お客さんが優しい方たちばかりで助けられているので、感謝しかありません。
――これから、ランチに焼きそばを食べる選択肢が増えるといいですね。
長沼さん:最近は湯沢や長岡など遠方から焼きそばを食べにきてくれる方も増えました。新潟はラーメン屋が多いからこそ、もちもちの美味しい麺を焼きそばで食べるというのもスタンダードになって、地元の味として根付いてほしいなと思います。

YAKISOBAとも
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