長岡花火の名実況でお馴染み、
「FMながおか」の佐野護。
カルチャー
2026.07.30
8月2日、3日の2日間は「長岡まつり大花火大会」。長岡空襲の慰霊と平和への祈りを込めて打ち上げられてきました。2005年からは、7.13水害、中越地震、豪雪など度重なる災害からの復興を祈願するミュージックスターマイン「フェニックス」、その後「天地人花火」なども加わり、現在では秋田の大曲、茨城の土浦と並んで日本三大花火大会のひとつに数えられています。そんな長岡花火の実況を担当しているのが「FMながおか」アナウンサーの佐野護さん。今回は花火大会を前に、佐野さんからコミュニティラジオや長岡花火についての思いを聞いてきました。
佐野 護
Mamoru Sano(長岡地域情報基盤株式会社)
1973年長野県生まれ。FMながおかアナウンサー、取締役放送局長。小学生のときから両親の実家がある長岡市(旧与板町)で暮らす。大学卒業後は流通業を経て1999年にコミュニティラジオ局「FMながおか」へ入社。「MOVING ON(ムービング オン)」をはじめとした番組を担当し、2006年より長岡まつり大花火大会の実況を務める。
リスナーの生活を邪魔しない、
「気にならない放送」を心掛ける。
――佐野さんの実況を聞きながら、長岡花火を毎年楽しませてもらっています。
佐野さん:それはそれは、ありがとうございます。
――佐野さんがラジオの仕事に興味を持ったのは、いつ頃なんですか?
佐野さん:以前は大型スーパーに勤めていて、店の看板を背負いながらテレビやラジオ、イベントに出演して、商品紹介をしていたんですよ。それで……何か勘違いしてしまったんでしょうね……メディアの仕事をやってみたいと思うようになったんです。
――それでラジオの仕事に?
佐野さん:「FMながおか」の求人広告を見つけて応募しました。確か開局した翌年だったんじゃないかな。入社してからは番組内のコーナーやロケを経験して、3ヶ月後に番組を担当することになりました。すべての作業をひとりでやらなければならないので、最初は緊張の連続でしたね。
――特に生放送は緊張するでしょうね。ラジオで話すときに、心掛けていることってあるんですか?
佐野さん:ラジオっていうのは、仕事や家事をしながら聞いている方が多いんですよ。そうした生活の邪魔にならないよう「気にならない放送」を心掛けています。そのためには、あらかじめ原稿にしっかりと目を通して、アクセントがおかしくならないよう、噛んだりしてリズムが悪くならないよう気をつけているんです。
――流れるような放送を心掛けているっていうことでしょうか。
佐野さん:そうです。あとゲストを迎えてお送りするインタビュー番組では、いかに気持ちよく話してもらえるかを大切にして、自分の意見や主張はなるべくしないように気をつけているんです。

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コミュニティラジオの強みを生かし、
情報発信を続けた新潟県中越地震。
――今までコミュニティラジオに携わってきたなかで、印象に残っていることはありますか?
佐野さん:2004年に起こった新潟県中越地震でしょうね。あのときは局に何泊もして情報発信をしていました。SNSも普及していませんでしたし、スタッフの人数も限られているので、情報を集めるのもひと苦労だったんですよ。そこでリスナーから情報を集めることにしたんです。
――混乱しているなかでの情報ですよね。間違ったものもあるんじゃないかと心配ですが……。
佐野さん:その心配はありましたが「いただいた情報を信じよう」ということになりました。そしたら情報がどんどん集まってくるようになったんですけど、一方では生活情報についての問い合わせ電話が相次いでかかってきてしまったんです。対応に追われながらも、その問い合わせについて調べたアンサーをラジオで流しました。
――すごいレスポンスですね。
佐野さん:コミュニティラジオだからこそ、できたことですよね。お馴染みのパーソナリティが話している聞き慣れた声だから、リスナーに安心感を与えることができたんじゃないでしょうか。この震災がきっかけで、コミュニティラジオの必要性を感じていただけましたし、「FMながおか」も認知されることになりました。

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長岡花火の名物実況で心掛けている、
意外なポイントとは。
――長岡花火の実況放送は、どうしてはじまったんでしょうか?
佐野さん:河川敷で花火を観ている方にはアナウンスや音楽が聞こえているんですけど、それ以外の場所で観ている方には聞こえないので、ラジオでアナウンスや音楽を聞きながら花火見物をしていただこうということで放送がはじまったんです。そのおまけとして実況も入れることになりました。
――放送をする上で心掛けていることがあったら教えてください。
佐野さん:スポンサー企業や花火の紹介をする、長岡花火でお馴染みの「打ち上げ、開始でございまーす」っていうアナウンスの邪魔しないことを大前提にしています。
――そこがいちばん大事なんですね。他にも気をつけていることはありますか?
佐野さん:解説をお願いしている花火師の方から、できるだけ専門的な知識を話していただくよう心掛けています。私の花火に対する知識も、20年やってきたなかで教えていただいたものなんですよね。
――佐野さんは、どんなことを大切に実況しているんでしょう?
佐野さん:できるだけ花火の背景を紹介するようにしています。企業が提供している花火って、イメージカラーを使っていることが多いんですよ。例えばあるテニスをはじめとしたスポーツ用品メーカーでは、コーポレートカラーの青と緑を使った花火になっています。
――なるほどー。
佐野さん:あるクリーニング会社では白い花火を打ち上げるんですが、これは「汚れを真っ白に落とす」という意味が込められているんです。また冷暖房機メーカーの花火が青から赤に変化するのは、クーラーやヒーターを表しているんですよ。色に込められた企業の思いなんかも知っていただけると、より楽しんでいただけると思います。

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これからも生活に寄り添いながら
FMラジオで人を助けていきたい。
――佐野さんは長岡をどのような街だと感じていますか?
佐野さん:歴史からの学びを大切にして、今に生かしている街なんじゃないでしょうか。長岡藩の「常在戦場」や「米百俵」といった教えだったり、長岡空襲や中越地震からの復興だったり……。そうした教えから学んだ「長岡スピリッツ」が息づいているように思えますね。
――なるほど、では、これからのコミュニティラジオのあり方について、考えていることがあったら教えてください。
佐野さん:SNSが主流になっている世のなかですけど、アナログなラジオもまだまだ生活に寄り添いながら、人を助けることができると思っているんですよ。そのためにも聞いているだけで長岡がわかる情報ステーションとして、軸をしっかり持ちながらぶれることなく続けていきたいですね。
――力強いお言葉、ありがとうございます。
佐野さん:7月21日から「FM++(エフエムプラプラ)」という、コミュニティFM向けスマートフォンアプリに参加しているんです。これからは今まで届かなかったエリアにも、インターネットを利用して放送をお届けできるようになります。
――それは楽しみですね。最後に、今年の長岡花火を楽しみにしている読者にひとことお願いします。
佐野さん:いかに花火を楽しんでいただけるかを考えて、鑑賞していている方と感動を共有しながら実況放送ををしています。今年の花火もぜひ一緒に楽しみましょう。

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