香りで人生の目的地を示す。
「aroma musique」
その他
2026.07.22
なりたい自分像をイメージして香りを調合する「調香セッション」や、アロマのワークショップを行う「aroma musique(アロマ ムジーク)」。主宰の大塚さんは、これまでの人生でたびたび生きにくさを感じることがあったそうです。そんなときいつも身につけていたお守りのような存在の「香り」が、現在の「aroma musique」の活動につながっています。
大塚 絵美
Emi Otsuka(aroma musique)
1982年新潟市生まれ。大学卒業後は専門学校の英語教員として働く。結婚を機に栃木県へ移住し、 誰もが平等に活躍できる社会づくりを推進する地域拠点に勤務。新潟へ戻ってから子育てをしながら、2023年より「aroma musique」をスタート。
感情とアロマを結びつける、
オリジナルの調香セッション。
――「aroma musique」は、どんな活動をしているのか教えてください。
大塚さん:香りと感情に着目したオリジナルの調香セッションや、香りを楽しむワークショップを行っています。ただ最近は調香セッションに力を入れていて、あまりワークショップの開催ができていないんです。
――ワークショップはなんとなくイメージできるんですが、調香セッションというのは?
大塚さん:「最近どうですか?」というお話から始めて、最後は「2ヶ月後にどんな気持ちでいたいですか?」とお聞きします。数十種類のアロマの中から直感で「好き」「苦手」を選んでいただくと、その方の感情の傾向が見えてくるんです。そこから、その方が目指したい「2ヶ月後の自分」に合わせて香りを調合していくのが、調香セッションです。完成したボトルには、ご自身で決めたテーマを書いてもらい、香りを使うたびに視覚と嗅覚の両方から「目的地」を思い出せるようにするんです。
――はぁ~、なるほど。香りは記憶を呼び起こす、ってよく言いますもんね。
大塚さん:まさにその通りです。 それに「あんなに気に入っていた香りなのに、今日はなんだか違って感じるな」という日もあって。そういう感じ方の違いも、自分の心や身体の状態を見つめ直すきっかけになります。調合した香りがだんだんと熟成されてまろやかになっていく、その変化もおもしろいですよ。
――時間の経過が、楽しみになりますね。
大塚さん:ありがたいことに、リピーターさんがたくさんいらして。悩みを解決して終わりではなくて、「また次の目的地を定めよう」と、とてもポジティブに足を運んでくださいます。きっと玉ねぎの薄皮を一枚ずつむくように、少しずつ気持ちが軽くなっていくのかもしれませんね。

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平等ではない社会、
生きづらさの狭間で。
――そもそも大塚さんがアロマに関心を持ったきっかけは?
大塚さん:大学卒業後、英語を教える教員として専門学校に勤めていました。当時、オープンキャンパスを盛り上げるために、上司の提案でアロマを取り入れることになったんです。そこで検定を取得して、見学に来る高校生と一緒に好きな香りを組み合わせるワークショップのようなことをするようになった……というのが、アロマとの出会いです。
――英語ではなく、アロマで惹きつけるなんて(笑)
大塚さん:そうですよね(笑)。でも私、大学時代からハーブティーをコレクションしていたんですよ。気分に合わせてブレンドしたり、落ち込んでいる友人に元気が出るハーブティーを淹れたりするのが好きで。だから、アロマも「香りを組み合わせればいいんだ」と自然に受け入れられたんですよ。
――それから今の活動に至るまでには、いろいろな出来事があったと思います。
大塚さん:専門学校を退職したあと、結婚を機に栃木へ移りました。そのときの転職活動で、「結婚している」「実家は県外」「前職は専門学校の職員」「子どもが欲しいと思っている」というだけで、働く機会が狭められてしまう現実に直面しました。悔しい思いをして、「自分らしく生きたい」と強く感じたんですよね。栃木で数年暮らしてから新潟に戻ってきたんですけど、そこでも「子どもを作るのはよいけど、3年働いてからにしてほしい」とか言われてしまって。新潟でも生きにくさを感じていたんです。もう誰も私のことを見つけないで、というくらいに。
――そんな状況から、どうやって前向きに?
大塚さん:あるとき、自分らしい生き方を考えるセッションや起業家支援などをしている人との出会いに恵まれたんです。彼女が主催する講座に参加してみたら、気持ちがふわっと楽になって。ふと「大塚さん、何か得意なことやずっと続けていることってありますか?」と聞かれて、「そういえば、アロマを学んで以降ずっと日常的に取り入れている」と気づいたんですよね。その後、その人が主催するかたちでアロマのワークショップを開催したら、参加者のみなさんがとても喜んでくださって。「まさか、こんなかたちで人の役に立てるなんて」と、とても嬉しくなりました。自分がワークショップを開く側になるなんて、思ってもいませんでしたから。


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お守りから道しるべに。
香りが伝えること。
――実際にセッションするときのことも聞きたいんですが、人の感情に向き合うって精神的な負担になりませんか?
大塚さん:私の場合は本や専門家の講義などから、日々の暮らしの中で感情をどう扱うかを学んでいるので、相手のお話を客観的に受け止めることができるんですよ。
――大塚さんにとって、アロマはどんな存在ですか?
大塚さん:職場で「苦しい」と感じていたときなんか特に、お守りのような存在でしたね。いつもラベンダーのオイルをつけたハンカチを持ち歩いていました。当時は、なんとか立ち上がるために必要なものでしたけど、今は楽しく生きるためのものです(笑)。セッションに来てくださる方にとっても、最初は立ち上がるためのものかもしれないけど、いずれは素敵な未来を描くためのものになるといいな、と期待を込めています。
――きっと大塚さん自身、大きな変化を感じているんですね。
大塚さん:以前の自分と今の自分が、同じ人間だなんて信じられないです。だって20代の頃の座右の銘は、「ピンチはチャンス」だったんですよ(笑)。当時は、ピンチが訪れることを前提に生きていたってことですもんね。感情について学んだおかげで、今は予期せぬ出来事にもちゃんと対処できるようになりました。
――「aroma musique」としての活動をしてよかった、と感じることも多いのでは。
大塚さん:何度も通ってくださる方は、悩みを解消するためにセッションを利用するのではなく、「調整」をしに足を運んでくださっています。最初は悩みや不安を抱えていた方が楽しそうに過ごしている姿を見ると、「なんて頼もしいのだろう」と嬉しくなります。中には、以前と表情がまるで違う方もいらっしゃいます。
――今後はどんな取り組みをしたいか、教えてください。
大塚さん:「香りと感情って意外なほど直結しているんだよ」ともっと大勢の人に知ってもらいたいですね。私がイベントに出店しているのも、この理由からなんです。最近は調香セッションが中心になっていたので、これからはワークショップも再開して、もっと気軽に香りを楽しんでもらえる場をつくろうと思っています。

aroma musique
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