Things

美味しい生ハムと旬の食材の組み合わせを楽しめる「アマランサス」。

1月24日に東中通沿いにオープンした、美味しい生ハムのコース料理が食べられるアマランサス。コンパクトで心地よいプライベート空間で、1日1組4名様まで限定というスタイルをとっているお店です。今回はオーナーでシェフの天野さんにオープンまでの経緯などいろいろ聞いてきました。

 

 

アマランサス

天野 徳之 Noriyuki Amano

1985年新潟市出身。海鮮料理居酒屋、肉料理専門店、フレンチ料理など幅広い飲食店での経験を経て2021年1月24日に「アマランサス」をオープン。興味のあることはとことん突き詰めて動く行動派。

 

さまざまな飲食店で働いて学んだ、料理の楽しさ。

――天野さんはこれまでどんなキャリアを歩んで来られたのでしょうか。料理には前から興味があったんですか?

天野さん:高校卒業して少ししてから居酒屋さんで働き始めて、その後も幅広いジャンルのお店で働かせてもらいながら、だんだん料理が好きになっていった感じですね。

 

――特に思い入れのある職場ってありますか?

天野さん: 6年間働いた居酒屋さんですかね。そこは主に海鮮料理を提供するお店で、魚を調理することの楽しさはもちろんなんですけど、人にも恵まれて、チームで働く素晴らしさを気づかせてもらいました。つながりがたくさんできたし、遊びにもいっぱい連れて行ってもらったりして、「仕事が楽しい」と思えるようになりましたね。

 

――好きな人たちと一緒に働くって楽しいですよね。

天野さん:あとは肉料理のお店でも6年働いたんですけど、そこのお肉が衝撃的な美味しさで。今思うと本格的に料理と向き合い始めたのはそこからだなって思います。「こんな美味しいものが作れるようになるんだったら、俺もっと頑張りたいな」って思ったんですよね。

 

 

――ちなみにそれはどんな肉料理だったんですか?

天野さん:加工食肉っていうジャンルで、フランスでいうと「シャルキュトリ」っていうんですけど、そこで初めて知ったんです。それ以来、お肉のパテ、レバーペースト、ソーセージ、加熱ハムとかを自分でも作るようになって、どんどん肉の世界にめり込んでいきました。

 

――じゃあかなり衝撃的な出会いだったんですね。

天野さん:シャルキュトリは種類もいっぱいあるし、四角い棒状の肉を切って出すんですけど断面の美しさが素晴らしかったり。あとは中に入れる食材の自由さみたいなのにも魅かれました。例えば日本だったら、猪でサラミ作るなら山椒を入れたり、鹿でテリーヌ作るってなったら鹿が食べているであろう山ぶどうをいれたりだとか。そういうこと色々できるのも楽しかったし、それで季節感が表現できるのも面白いなって思いました。

どんどんのめり込んでいくシャルキュトリの世界

――なんか奥が深そうですね。

天野さん:そこで働いているときに、養豚所にお願いして豚を育ててもらったりもしましたね。日本の豚って、海外と違って豚舎であんまり運動させずに育てるんです。ヨーロッパはモモを食べるためにモモを大きくしてから出荷するんですけど。日本はロースがメインになるので、ロースがスライスできるサイズに育ったらそれで出荷なんです。

 

――へ~、そんな違いがあるんですか。

天野さん:年齢でいうと日本のは18歳くらいの豚で、ヨーロッパは28歳くらいまで育てて脂がのって食べごろの豚を使ってるんです。それでシャルキュトリを作るからより美味しくなるってことを知って。だから自分もそういう大きい豚を育ててもらって仕入れて試したりしてました。

 

 

――独立前から自分なりのこだわりをもってやってたんですね。

天野さん:それで、やってるうちにもっと突き詰めたくなって東京に行くことにしたんです。新潟出身のシェフで、フレンチとジビエ(野生鳥獣)メインのシャルキュトリのお店をやっている方がいて。そこで働かせてもらえることになって猪、鹿、鴨、穴熊、キジとかありとあらゆる野生鳥獣を使った料理を勉強してきました。

 

――すごい行動力ですね。そのお店はどうやって知ったんですか?

天野さん:そこのシェフの方が出したジビエに関する本を見て知りました。それでその本持って直接訪ねて「この本見てきました」って言ったら、「働いてみるか」って言ってもらえたので、もう行くしかないなって思いましたね。そのときはまだ新潟で働いていたし、しかも結婚直前だったんです(笑)。お金なくてどうしようって思ってたんですけど、そのときちょうど盲腸になっちゃって。その保険がおりて、そのお金で東京に行きました(笑)

 

――なんかいろいろタイミングがすごいですね(笑)

天野さん:そこでは1年半くらい働かせてもらいました。ほんとに厳しかったんですけど、いい食材に触れることができたんで。シェフの面倒見もとても良かったし、その方のおかげで生ハム作りにも携わることができたんです。

 

ついにやってきた、最高に美味しい生ハムとの出会い。

――東京で働いて、その後はどうされたんですか?

天野さん:また新潟の肉料理専門店に戻って働かせてもらいました。とあるイベントで、日本人でパルマプロシュート(イタリアの生ハム)の称号を持っている岐阜出身の方に出会う機会があって。その人が作る生ハムをスライスしてもらって食べたときに、それがものすごく美味しかったんです。それまでシャルキュトリをずっとやってきてたんですけど、同じ保存食なのにこんなに美味しくなるのかと驚きました。しかもその方は新潟の豚を使って生ハムを作っていたんです。生ハムに興味を持つ大きなきっかけになりましたね。

 

――かなり美味しかったんですね。

天野さん:その生ハムと出会う前は、そこまで生ハムを意識したことはなかったんですけどね。

 

――普通の生ハムと何が違うんですか?

天野さん:一般的に食べられてる生ハムって、仕入れる前にもう骨が抜かれているものなんです。それをプレス機みたいな型にはめて圧縮・真空して日本に持ってくるものが多いんですけど、骨抜いた瞬間から酸化が始まるんです。しかも圧縮すると、肉の中にある脂とか肉汁も出ちゃいます。それだけでも塩分濃度が上がっちゃうから、しょっぱくなって、しかも酸化が始まっているから美味しさ落ちちゃいますよね。

 

――そうなんですか、知らなかった。

天野さん:うちは骨付きのまま一本仕入れています。さらに皮も取って、硬い酸化しているところも全部排除して、中身のやわらかいところだけをスライスして提供しています。本当に良いとこだけ使ってるんです。

 

――おおお、すごい贅沢な使い方をしているんですね。

 

口の中で香りが広がり、溶けていく生ハム

天野さん:このスライサーがすごくて、向こうが透けて見えるめちゃくちゃ薄くスライスできるんです。それができるのはアナログのスライサーだけで、電動だとそこまではできないんです。薄くスライスできるから、より生ハムのくちどけの感覚が分かってもらえるんです。ちょっと食べてみますか?

 

――いいんですか?ありがとうございます。

 

 

――(試食して)……んん、香りが全然違いますね。

天野さん:そうですよね。しかも噛むっていうよりは、口の中に入れると溶けていく感じがあると思います。それは骨付きの酸化していない一本物を仕入れているからなんです。

 

――本当に溶けました。あと生ハムというより「お肉を食べてる」って感じがすごいです。

天野さん:今の食べてもらったのは、熟成期間が18ヵ月で少し短めなので、より豚の肉の味が分かるかもしれないですね。

 

――すごい初歩的な質問なんですけど、そもそも生ハムってどうやって作るんですか?

天野さん:基本的には塩漬けして干すだけですね。海外だと生ハムは自然環境が作るって言われてます。山の風が豊かで湿度が安定しているところが良い環境とされているんです。だから一般的には日本は向かないって言われてますね。

 

――天野さんも自分で作られたりするんですか?

天野さん:まだ試している段階ですけど、一度作りました。これからどう改良していこうかなって思っているところです。塩分濃度落としてみたりとか、塩だけじゃなくて酒粕、糠床、味噌とかで漬けてみたりとかいろいろ試してみようと思ってます。生ハムって昔ながらの保存食ですよね、だから日本的な考え方でももっといろんなことできるんじゃないかって思うんです。

 

――日本的な考え方ですか。

天野さん:このお店では、米と合わせるために塩分濃度を上げて作ったのをひとつお出ししています。味噌蔵を改装した倉庫で生ハムを熟成させたので、ほんのり味噌の香りがするような生ハムになってます。

 

 

――コースはどういう構成になっているんですか?

天野さん:何種類かメインを決めて、それを軸にコース料理を作っています。まずは普通に2枚くらいスライスしたものを食べてもらって。次は温かい料理と合わせてお出しします。そうすると生ハムのくちどけっていうのがよく分かるし、香りも全然違うんです。

 

――メニューの変更は季節ごとですか?

天野さん:季節ごとというより、新潟で旬の食材が出てきたタイミングで変えてます。組み合わせは食材に合わせて生ハムを選んで合わせるような感じですね。生ハムの香りと、合わせる食材の相性を考えたりしながら。1回のコースで生ハムの種類はだいたい5~6種類くらい使っています。

 

――まだオープンしたばかりです。これからどんなお店にしていきたいですか?

天野さん:まずは長く続けられるように、お客さんに愛してもらえるお店になれるといいなって思っています。このコンパクトなスペースに1日1組4名まで限定にしているのも、目の前で食べてもらって、お客さんが喜ぶ表情を見られるのが嬉しいからだし、生ハムが最も美味しい切りたてのタイミングで食べてもらいたいからなんです。この近さで料理を作るのはかなり緊張感がありますけど、「美味しい」って言ってもらったら嬉しさでみんな吹き飛びます。

 

 

 

アマランサス

新潟県新潟市中央区寄居町332-61

080-8718-4195

17:30-22:30(最終入店20:00)

火・水曜休

  • She
  • Things×セキスイハイム 住宅のプロが教える、ゼロからはじめる家づくり。
  • 僕らの工場
  • 僕らのソウルフード


TOP