1枚の板に4つの車輪が付いた乗り物「スケートボード」。飛んだり跳ねたり、ストリートで繰り広げられるさまざまなトリックが魅力です。そんなスケートボードの寿命、実はとっても短いんです。そこで短期間で消費されるスケートボードを、リサイクルの観点からインテリアに変化させたブランドがあります。「equal(イコール)」。今回は発起人のTaisei Hiraiさんに新しいスケートボードの価値についてインタビューして来ました。
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Taisei Hirai
1998年長岡市生まれ。国際トータルファッション専門学校を卒業後、横浜のスケートボードショップにて勤務。スケートカルチャーをこよなく愛し、自身もスケーター。スケートムービーの撮影も行っている。
――まずは「equal」とはどんなブランドか教えてください。
Taiseiさん:「equal」はインテリア雑貨のブランドです。スケートボードをリメイクして、モヘヤなどの素材を貼り合わせた「equal Interior Deck(イコールインテリアデッキ)」をメインに展開しています。
――Taiseiさんご自身はスケートボードをしているんですか?
Taiseiさん:はい。昔からスケートカルチャーが好きだったし、専門学校を卒業してからは横浜のスケートボードショップで働いていたこともあります。あと、トリックをしている姿を撮影してスケートムービーを作っていたことも。
――それでスケートボードをリメイクしたインテリアをはじめたんですね。
Taiseiさん:それもあるけど、もとはシルクスクリーンでTシャツを刷っていたのがはじまりです。自分でデザインをして、趣味からスタートしました。でも、シルクスクリーンをしている人が増えてきたから作るのをやめたんです。デザイナーではないからデザインで勝てないし、ライバルも多いし。それで「何かひとつ突き抜けたことがしたい」と思って考えたのが、自分のライフスタイルや環境を生かしたインテリアと雑貨の仕事だったんです。
――それでは「equal」のメインでもある「equal Interior Deck」について教えてください。どのようにして材料のスケートボードを集めているんですか?
Taiseiさん:スケートボードは、ずっと使えるわけではありません。オーリーなどのトリックを行うときに地面と接触して削れたり、板がめくれてきたり、早いと1~2ヶ月でダメになってしまいます。平均で6ヵ月ぐらいが寿命で、その後はゴミ箱にポイ。消耗品なんですよね。だからスケートショップにお願いして、いらなくなったスケートボードをもらってきて再利用しています。
――そんなに早くダメになるんですね。どんなキッカケでスケートボードに異素材を貼り合わせようと思ったんですか?
Taiseiさん:使わなくなったスケートボードを部屋に飾っている人はいるけれど、違う物にリメイクするとしたら脚を付けて小さなテーブルにするぐらいしか思いつかないですよね。そこで他には何ができるかを考えていたときに、新潟市にあるスケートショップ「しながわ商店」のオーナーから「実家の椅子修理工場を生かすべきだ」ってアドバイスをもらったんです。それでソファーの張替えをするときに出る端材(布)も再利用できるなって閃いて、布を貼ってみることにしたんですよ。
――ご実家が椅子修理工場……どうりでインテリアに辿り着くわけですね。じゃあ、「equal Interior Deck」の制作は実家の工場で?
Taiseiさん:そうです。工場で工業用の電動ヤスリを使って、ボロボロになったスケートボードの形を整えて、タッカーで裏地を張り付けて、生地を仕上げて、最後はロゴプレートとチェーンを装着して。すべて実家の工場で完結します。
――スケートボードというと、やっぱり好んで飾る人たちは若者を想像してしまいます。「equal Interior Deck」に興味を持つのも、やっぱり若者ですか?
Taiseiさん:はじめは普通の布を貼っていたから若者の方が興味を持ってくれていたけど、モヘヤとか落ち着いた素材を使うようになってからは大人の反応が良くなりました。
――大人も? それはどうしてですか?
Taiseiさん:多くのスケートボードは、売り場に並んでいる時点でデザインされています。だから乗らないでそのまま飾る人もいるんですよ。でも、ほとんどのデザインはストリートカルチャーに寄っているから、どうしても落ち着いた大人の雰囲気はありません。「equal Interior Deck」はモヘヤなどの素材を使うことで、どんな部屋にも馴染む大人のスケートボードになるんです。だからスケートボードに興味がなくても、乗ったことがなくても、シックなインテリアとして使ってもらえているんだと思います。
――確かにスケートボードは派手なデザインが施されているイメージがありますけど、「equal Interior Deck」は普通に大人の部屋に飾られていても違和感がなさそうですね。
Taiseiさん:それもあって、ロゴプレートはあえて飾ると見えない面に取り付けています。本来なら目立つべきなんでしょうけど、見えない所にこだわっています。見えないお洒落の演出です。
――それでは最後に、これからチャレンジしていきたいことを教えてください。
Taiseiさん:「equal Interior Deck」だけではなくて、まだまだ作りたい物はたくさんあります。ギターをはじめたり、レコードを集めたり、とにかくいろんなカルチャーからいろんなことを吸収して、これから作る物にそのインスピレーションを反映していきたいと思っています。
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