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いつでも揚げたて。ここだけの味で常連さんを虜にする「からあげ亭」。

あるとき友人が「美味しいからあげがある」と教えてくれたのが、亀田にある「からあげ亭」さんの「デカから」。アツアツの状態で提供される拳サイズの「デカから」は、噛むと肉汁がジュワっと溢れでてきて、皮面はパリパリ。この味を知ってから、もう何度お店に通ったかわかりません。せっかくなので「デカから」のレシピも聞いちゃおうと意気込み、取材に行ってきました。

 

からあげ亭

三原 和義 Kazuyoshi Mihara

1978年阿賀野市生まれ。高校卒業後に上京し、21歳で新潟に戻る。起業までに警備業やサービス業、運送業などさまざまな仕事を経験。2009年に持ち帰り弁当のフランチャイズ店に加盟。その後独立し「からあげ亭」をスタート。

 

高校生の頃から起業を目指し、いざ食の世界へ。でも現実は厳しく……。

——「からあげ亭」さんはいつからあるお店ですか?

三原さん:2009年にお弁当チェーンのフランチャイズ店としてオープンしました。それから4、5年後に独立して「からあげ亭」をはじめたんですよ。

 

——三原さんがお弁当屋さんをはじめるまでのことも教えてください。

三原さん:高校生の頃から「どんな仕事でもいいから、とにかく起業したい」と思っていました。何をするか分からないからありとあらゆる職種をやってみようと、警備業やパチンコ店、車屋、運送業といろいろな仕事をしましたね。それがけっこう役に立っていて、店の修繕なんかも自分でしちゃいます。

 

 

——起業のきっかけは?

三原さん:勤めていた会社が倒産しそうになったんですよ。どうしようか悩みましたけど「食の仕事は安定している」と聞いたことがあったから、飲食業にチャレンジしようと思いまして。それほど知識があるわけじゃないから、大きな店を構えるのではなく「弁当屋にしよう」と思ったんです。

 

——それで最初はお弁当のフランチャイズ店として、起業されたわけですね。

三原さん:はじめたはいいけど借金がどんどん膨らんじゃって。いくら売っても経営が厳しくなる一方でした。それで、店を潰しちゃう前に自分の力でやってみようと「からあげ亭」として再スタートしたんです。独立してからは、おかげさまでなんとかやっていけるようになりました。

 

——ほっ。それはよかったです。ご自分のお店を持たれたとき、高校生の頃からの夢を叶えた喜びはありました?

三原さん:「やっと自分の店を持てた」とは思ったかな。でも「とにかく必死に仕事しなくちゃ」って気持ちの方が強かったですね。家庭もあったし、少しでも早く店を軌道に乗せようって無我夢中でした。

 

思いきって聞いてみた。人気のからあげの秘密。

——実は私、以前から「からあげ亭」さんのファンなんです。無理を承知でからあげのレシピ、聞いてもいいですか?

三原さん:うちの「デカから」はひとつ140グラム。ブラジル産の鶏もも肉を使っています。しょうゆベースの下味に1日以上漬け込んで、肉汁を閉じ込めるためギュッと丸めて成形します。揚げ時間は11分ちょっと。それだけの時間、高温の油で揚げても焦げないのは、仕込みの段階に秘密があります。詳しくは内緒ですけども(笑)

 

——てっきり国産の鶏肉がいいもんだと思っていました。ブラジル産の鶏肉も美味しいんですね。

三原さん:国産鶏は旨味が強いけど、ちょっと筋肉質でもあるんです。その点、ブラジル産の鶏肉は柔らかくて脂がしっかりのっているから、からあげにぴったりなんですよ。もし国産の鶏肉の方が安くなったとしても、うちはブラジル産の鶏肉から変えないでしょうね。

 

——それに11分も揚げるんですね。そういえば、以前「デカから」を注文したときもそれくらい待ったような。「ちょっとしか注文していないのにごめんなさい」と思いながら(笑)

三原さん:とんでもない。こちらはその逆で「お待たせして申し訳ない」と思っていますから(笑)。でも実は、そこがこだわりでもあるんです。揚げ置きはしたくないので、からあげ以外の揚げ物もすべて注文を受けてから揚げています。だって揚げたてに勝るものはないじゃないですか。

 

 

——他にも美味しさの秘密はありますか?

三原さん:徹底的に食材にこだわっているところでしょうか。メニューにも書いている通り「ワンランク上」のお弁当を目指しています。価格はちょっと高めですけど、とにかく美味しいものを選んでいます。ご飯には梅干しじゃなくてゆかり、のり弁にはちくわの磯辺揚げの代わりにとうもろこしを揚げたもの。ちょっとした「うちらしさ」がチラホラあります。他のお店が提供していない弁当をお出ししたいんですよ。

 

——「デカから弁当」の他にはどれが人気ですか?

三原さん:ハンバーグ系の弁当もすごく人気がありますよ。あとは肉野菜炒め弁当、からあげを炒めた味噌チャオ、黒酢チャオを頼まれる方も多いかな。味噌チャオはちょっと辛めでお酒にも合うし、黒酢チャオは酢豚っぽい感じですかね。

 

——いろいろ試したいけど、どうしたって「デカから」を頼んじゃうんですよね。

三原さん:いつも決まって同じメニューを注文されるお客さま、多いですよ。ずっとひとつのメニューばかり召し上がって、飽きるとピタッと来店されなくなる。しばらくしたらまた同じメニューという方が。それぞれの弁当に固定ファンがいるから、メニューの入れ替えができないんです(笑)

 

「他では食べられない味」は、ライバルもコロナ禍も関係なし。

——お弁当の配達もされているそうですね。

三原さん:スポーツの試合やイベントがあるときにご注文いただきますし、夜勤がある職場の皆さんにもご愛顧いただいています。ランチの配達は珍しくないけど、夕方も配達する弁当屋って少ないから、他のお店に浮気されないんでしょうね。多いときは通常営業の他に配達だけで300食作ります。「ヒマだろうな」と思われてもおかしくないような店ですけど、実はそれなりに稼働させてもらっています(笑)

 

——ところで、最近からあげ専門店が増えましたよね。その影響はありました?

三原さん:影響はまったくないですね。どこでも食べられるものだったらお互いに削り合っていたかもしれませんけど、「ここしかない味」だから遠方からも来てくださる方がいるんだと思います。

 

 

——コロナ禍のダメージは大丈夫でした?

三原さん:以前からテイクアウトが前提の弁当屋ですから、新しく容器を手配する必要も、配達がなくなることもなかったのでラッキーでしたね。弁当屋じゃなかったらコロナ禍を乗り越えられなかったかも。たまたま弁当屋だったから生き残れたようなものです。僕、運がいいんですね。

 

——これからはどんなお店にしたいですか?

三原さん:行き着くところの究極は、メニューを絞って、毎日営業しなくてもやっていけるスタイルかもしれませんよね。全部削ぎ落とすと、そこにたどり着くのかもしれないな。よく妻とも話すんですよ。「歳を取ったら、ふたりでからあげだけ売るのもいいよね」って。

 

 

 

からあげ亭

新潟市江南区亀田緑町3-1-21

TEL 025-381-0303

営業時間 <平日>10:00~LO13:50 16:30~LO18:50、<土日祝日>10:00~LO18:50

※掲載から期間が空いた店舗は移転、閉店している場合があります。ご了承ください。
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