よみがえった小学校舎で、地元食材を使ったパンを楽しめる「パン工房Harmonie」。
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2024.06.18
100年以上も前から地域の人々に親しまれてきた和島の旧島田小学校が、面影はそのままに生まれ変わった複合施設「和島トゥー・ル・モンド」。以前、こちらの中にあるフレンチレストラン「Bague(バーグ)」を紹介しましたが、今回はブーランジュの「和島トゥールモンド パン工房Harmonie(アルモニエ)」に伺い、製パンや指導を担当している早川さんにお話を聞いてきました。


和島トゥールモンド パン工房Harmonie
早川 亜紀 Aki Hayakawa
1975年長岡市(旧和島村)生まれ。調理師専門学校を卒業し、給食調理員として働く。その後、東京の製菓専門学校に再入学して都内のブーランジュで修業をはじめる。専門学校の講師やパン職人として働きながら経験を積み、2021年より長岡市和島にある「和島トゥールモンド パン工房Harmonie」に勤める。観葉植物にハマっていて部屋中が緑でいっぱい。
パン職人と専門学校の講師を経験し「パン工房Harmonie」へ。
——早川さんはずっとパン作りに携わってきたんですか?
早川さん:私の実家はこの和島で仕出し屋をやっていたので、そこを継ぐつもりで調理師専門学校に入学したんです。卒業後は修業のために母校の桐島小学校で給食を作っていたんですけど、その間に実家の仕出し屋は兄が継ぐことになってしまったんです。
——その頃から小学校で働いていたんですね(笑)。それにしても継げなかったのは残念でしたね……。
早川さん:仕方がないので私はお菓子作りの道に進むことにして、東京にある製菓の専門学校に入学しました。
——調理ではなく製菓の道を選んだのは?
早川さん:小学校で給食を作っているときに感じていたのは、献立のなかでもデザートの人気が高いということだったんです。

——それで製菓の道を目指したんですね。でも、お菓子職人じゃなくてパン職人になったんですよね?
早川さん:専門学校に特別講師として来ていた、ブーランジュのシェフに影響を受けました。パンに対する情熱や理論的で丁寧な講義のおかげで、パン作りに興味を持つようになったんです。卒業後はそのシェフがやっているブーランジュで修業することになりました。
——まさに師匠ですね。
早川さん:一日の仕事が終わった後で、お店にある材料を使ってパン作りの練習をさせてもらえました。ときにはシェフも付き合ってくれて、丁寧に教えてくれたんです。おかげで始発で出勤して終電で帰宅する毎日でしたけど、多くのことを学ばせてもらえました。
——いい修業になったんですね。そのお店ではどのくらい働いていたんですか?
早川さん:6年間働いて、31歳の頃に家庭の事情で新潟へ戻ってきたんです。新潟では開校したばかりの製菓専門学校で講師を務めたんですけど、1年で辞めて再び上京することになりました。
——それはどうしてなんですか?
早川さん:校外研修の学生を受け入れてくれるパン屋さんを、開拓して回っていたんです。その際にいろいろなお店のシェフと話す機会に恵まれて、パン作りへの熱い思いを聞くうちに刺激を受けてパン作りの現場に戻りたくなってしまったんですよ(笑)

——職人魂に火がついちゃったんですね。
早川さん:都内のパン屋さん6軒で働いたんですけど、オーナーの考え方次第で作るパンがまったく変わってくるので、いろいろなことを学ぶことができましたね。その後はふたたび新潟に戻って長岡の専門学校で6年間製パンを教えていました。そのとき身につけた学生とのコミュニケーションの取り方は今の職場でも役に立っています。
——「パン工房Harmonie」には、どんないきさつで働くことになったんですか?
早川さん:実は一度、求人募集に応募したんですけど、タイミングが悪く他の方が採用された後だったんです。その後に「パン工房Harmonie」の方からお誘いの連絡をいただいたんですけど、今度は私が東京のカフェで働いてしまっていたんですよ。
——あらら……行き違いがあったんですね。
早川さん:「カフェをすぐ辞めることはできない」とお断りしたんですけど、「待ちますので」と仰っていただいて、2021年から働かせてもらうことになったんです。

ひとりひとりの個性に応じた作業指示を心掛ける。
——「パン工房Harmonie」のパンは、どんなことにこだわって作られているんでしょうか。
早川さん:「和島トゥー・ル・モンド」は、和島の魅力を伝える目的で作られた施設でもあるので、地元のものを食材として使うようにしています。
——例えば、どんなものを使っているんですか?
早川さん:和島に湧き出ている「霊泉(れいせん)」と呼ばれる超軟水の湧水や出雲崎で採れる海塩、地元の野菜を使っています。
——竹炭を使ったパンも珍しいですね。
早川さん:「竹炭ラウンド」はチョコレート入り、「竹炭キューブ」はカスタードクリームが入っています。竹炭で味が変わるわけではありませんが、ミネラルを含んでいてデトックスや便秘解消に効果があると言われています。

——他にもオススメのパンがあったら教えてください。
早川さん:オススメは……全部です(笑)。障がいを持つご利用者さん達と一緒に、全部のパンを一生懸命作っていますので。
——こちらは障がいを持つ方が一般就労できるようになるための仕事を身につける施設なんですよね。じゃあ早川さんがパン作りを教えているんですか?
早川さん:そうですね。ご利用者さんたちのできることを増やしていって、一般就労できるように指導するのも私の仕事です。
——難しいことも多そうですね。
早川さん:確かに自分で作った方が楽だと感じることは多いですね。相手が何をどこまでできるのか見極めなければ作業の指示も出せないので、ひとりひとりと向き合ってコミュニケーションを取ることが大切なんです。会話をして相手のことを知ってから、はじめて仕事をお願いすることができるんですよ。

——作業の指示を出す上で、工夫していることはありますか?
早川さん:どうしてもできない作業があったら、どうすればできるようになるのかを考えます。その上で誰もができるような工程のフォーマットを作って、マニュアルにまとめているんです。
——誰にでも作れる工夫をしているんですね。
早川さん:工夫した甲斐があって、できるようになってもらえたときは喜びも大きいです。あと、私たちでは思いつかないような柔軟な発想を持っているので、逆に気づきを与えてもらえることも多いんです。お互いに高め合えていけたらいいですね。
——素敵な関係ですね。ちなみに平日よりも週末の方が、お客さんは多いんでしょうか?
早川さん:そうですね。人が多く住んでいる地域ではありませんし、10時〜16時という営業時間もあって、平日は週末よりもお客様が少ないんです。だからもっと多くのお客様から足を運んでいただけるように、ここでしか食べられないような新商品を開発したいと思っています。ご利用者さんたちも元気よくお出迎えしてくれますので、ぜひお越しいただきたいですね。

和島トゥールモンド パン工房Harmonie
長岡市和島中沢乙64-1
0258-84-7429
10:00-16:00
水木曜休
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