シチリアの郷土料理を新潟の食材で表現する、関屋の「sapurita」。
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2025.06.30
中央区関屋エリアの住宅街に「sapurita(サプリータ)」というお店がオープンしました。イタリアで経験を積んだオーナーの風間さんが、「ニイガタを食べよう、ニッポンを食べよう」をモットーに、新潟県産や国産の食材にこだわった料理をつくっています。風間さんに料理をはじめたきっかけや、食材にこだわる理由など、いろいろお話を聞いてきました。

sapurita
風間 理芳 Masayoshi Kazama
1973年新潟市出身。大学を卒業後、新潟県内の企業に就職。その後飲食に興味を持ち、東京の調理専門学校へ進学。卒業後はイタリアの郷土料理専門学校で学ぶ。イタリア、東京、鎌倉で経験を積み、自身のお店を鎌倉に構える。親の介護をきっかけに新潟に戻り、2025年に「sapurita」をオープン。お店の近くの麻雀教室が気になっている。

脱サラして、料理の道へ。
――早速ですが、風間さんが飲食業に興味を持ったきっかけを教えてください。
風間さん:叔父の会社で働いていたとき、飲食店との付き合いが多かったんです。いろんな飲食店を見ているうちに、流行っているお店とそうでないお店の違いがわかるようになって。そこから飲食に興味を持って、東京の専門学校で調理を学ぶことにしました。
――思いきって新しい道に進まれたんですね。
風間さん:社会人向けの専門学校があったので、そこに通いました。そのとき、卒業生がイタリアで料理している動画を見て、いいなと思ったんです。それで卒業後はイタリアに行って、現地の郷土料理専門学校で料理を学びました。学校を出た後は、ホテルや飲食店で働かせてもらいました。本当はイタリアに長くいようと思っていたんですけど、予定を早めに切り上げて帰国することにしました。イタリアで知り合った人が都内のイタリア料理店のシェフになったと聞いて、彼の下で勉強してみたいと思ったんです。
――ふむふむ。
風間さん:そこで働いた後は、イタリアで会った友達に誘われて鎌倉のお店で働いてから、そのまま鎌倉で自分のお店をはじめたんですけど、親の介護が必要になって新潟に帰ることにしたんです。

――それで、このお店をはじめることにしたんですね。店名の「sapurita」にはどんな意味があるのでしょうか。
風間さん:シチリアの方言で「いいこと、いいもの」っていう意味なんです。日本語にするなら「いいね!」ってときに使う言葉ですね。お店の名前はシチリアの方言にしたくて、現地で出会った友人に相談したらこの言葉を提案してくれました。
――お店のロゴを靴にしているのはどうしてなんでしょう。
風間さん:「コーラ親方、ひとつの型とともに」というシチリアのことわざが由来になっています。本来、靴をつくるには左右の木型が必要なんですけど、この靴職人の親方は、ひとつの木型だけで靴をつくっていたんです。他の職人から何を言われようと、「ひとつの木型でもいい靴をつくれる!」って言って聞かなかったそうです。
――とてもこだわりがある職人さんだったんですね。
風間さん:そこから「他人の評価を気にせず、常に同じように行動し、自分の道をまっすぐ進む人」を指すことわざとして使われるようになりました。そんな親方のように、我が道をまっすぐ進んでいきたいという思いを込めて、このロゴにしたんです。

食材も食器も。風間さんの「地産地消」の考え方。
――このお店のモットーは「ニイガタを食べよう、ニッポンを食べよう」なんですね。
風間さん:うちでは、できるだけ新潟県産を使うようにしています。これはイタリアでの経験が大きく影響していて。現地の人に、僕が以前住んでいた東京について聞かれたことがあったんです。「東京にはどんな名物があるの?」とか、「東京はどんな野菜が採れるの?」とか。でも、僕はその質問に何も答えられなかったんです。
――いざ聞かれると、自信をもって答えるのが難しい質問ですね。
風間さん:そのときに、自分の住んでいる街のことを何も知らないと痛感したんです。知ろうとする姿勢すらないのかも、って。伝統的な食文化を重視する「スローフード」の精神をイタリアで学んだからこそ、このお店では新潟県産、国産にこだわっています。食材だけではなく食器も新潟県産のものを使っていて、はじめて「地産地消」と言えると思っているんです。
――食べるものだけではなく食器も。
風間さん:うちでは、お皿やお茶を出すマグカップは「新津焼」や「秋葉硝子」を使っています。カトラリーも新潟でつくられたものを使用しています。新潟にいい食器がたくさんあることも、このお店を通じて伝えていきたいんです。

――さて、風間さんのオススメの一品を教えてください。
風間さん:「プッタネスカ」ですね。このトマトソースは鎌倉で出していたお店でも人気だったんですよ。トマトソースは素材と作り方で地方色をだせる、シンプルで面白い料理なんです。本当はナポリの郷土料理なんですけど、あえてシチリア風のソースで仕上げています。パスタは国内で生産された小麦を使用した純国産のパスタで、これを使っているところは珍しいかもしれませんね。


――パスタまで国産のものなんですね!となると、ワインも……?
風間さん:もちろん。新潟をはじめとした日本ワインだけをご用意しています。国産の食材でつくった料理には、国産のワインがいちばん合うと思っていて。洋食だと、ひとつの料理に一杯のワインを合わせるのがスタンダードですよね。でもうちの料理だと、ひとつの料理に赤、白、ロゼなどいろんなワインと組み合わせて楽しめますよ。
――ワインも国産だけとは。こだわりが徹底されていますね。
風間さん:ヨーロッパは硬水で、日本は軟水ですよね。軟水で育てられた食材を使った料理なら、軟水の土壌でつくられたワインが合うと考えています。食事のとき、口にするものから使うものまで、その土地でつくられたものを使うことが本当の「地産地消」なんじゃないかなって思うんです。
「sapurita」はどんな世代でも、ゆっくり話ができる場所。
――店内はとても落ち着いた雰囲気で、ずっと座っていたいくらいです。
風間さん:そう思ってもらえるなら嬉しいですね。お客さんにはゆっくりと楽しんでもらいたいので、お店に入ったらクローズまでいてもらえるようにしています。これにも理由があって、うちのメインのターゲットは60代の女性なんです。
――へ〜!それはどうしてなんですか?
風間さん:鎌倉でお店を出していたとき、自分よりも上の世代のお客様が多くて。当時80代の女性の常連の方が「私たちもおしゃれなお店に行きたいけど、行くと浮いちゃうからファミレスくらいしか行けない」って言っていたんです。そんな方でも気軽に来て、ゆっくり話ができるような場所が新潟にも必要だと思ったんです。
――鎌倉での経験が元になっていたんですね。
風間さん:その年代になると、子育てもひと段落して、家庭での会話も減っていくと思うんです。そんなときにお友達やご家族と心置きなく話しながら、料理が楽しめるお店があっても良いんじゃないかなって。

――素敵な考えです。風間さんのこれからの目標を教えてください。
風間さん:具体的に何かをしたいというわけではないんですが、この街がもっと魅力的になるといいなって思います。鎌倉にいたとき、その地域のお店や人がとても仲が良くて。どのお店に行っても知っている人がいたり、お店が満席のときは他のお店に声をかけて入れないか聞いたりしていたんです。そんなふうに、お店や人とつながり合えるような街になっていったらいいなと思っています。
――人の温かみが感じられるような街、ということですね。
風間さん:まずはこのお店が、地域とのつながりを大事にしていって、いつか地域を活性化できるような場所を作れたらいいな、と思います。いつになるかはわかりませんが(笑)、この街の魅力になるような場所をつくってみたいですね。

sapurita
新潟市中央区信濃町4-12 コンドミニアム信濃町101
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